Precious Memories

―おまけ1―



「そういやなんだって帰ってきたとき、泣いてたのさ?」



泣いている亜希が落ちついてきたところで、気になってたことを聞いたんだけど・・・・答えは意外なものだった。



「んー?うー・・・・だって涼ちゃんがほかの人と抱き合ってるから・・・・」



抱き合っ・・・ってなんだそれは!?



「ちょっ、いつの話だそれは!?」
「さっき。綺麗な人だった。あれ、生徒会長でしょ?」



・・・・あんたのせいか静香さん。

しかしなんだってそういうタイミングで目撃するかな・・・・・



「違う!あ、いや、ひっつかれはしたけど、あれはそういうんじゃないから!!」



なにはともあれ、きちんと誤解をとかないと、お付き合い早々破局という事態になりかねない。



「・・・・ほんとに?涼ちゃん楽しそうだったよ?」
「楽しくない!!つーか静香さんは・・・・」
「ふーん、『静香さん』なんて呼んでるんだ」
「いや、だからそれは・・・・・」



あぁぁぁ・・・・、なんか素直にドツボにはまって行く気が・・・・・



「浮気者」
「ぬぁっ!?だ、誰が浮気者だ!!」



違う、断じて浮気ではない!つーかまだ付き合う前じゃん!



「だいたい静香さんは私じゃなくて姉さんの彼女だっつーの!」
「えっ・・・・京ちゃんの?」
「そう!その"京ちゃん"の!!」


「えーっと・・・・姉妹どんぶり?」

「違う!つーか変な想像すんな!」





そういう言葉をどこで覚えてくるんだコイツは!?



「とにかく!私と静香さんはそういう関係じゃないから!だって私が好きなのは亜希なんだから!!」



しーん。



・・・・ものごっつい静寂。



今とてつもなく恥ずい、というかまずい台詞を口走った気が・・・・・
だって、ほら。亜希の目がらんらんと輝いている。

危険だ。

こういう時の亜希はそこはかとなく危険だ。



「ねぇ涼ちゃん」
「な、なに?」



じりじり



「嘘じゃないよね、今の台詞」
「う、うん、まぁ・・・・」



ずりずり



「告白もしてもらったし、恋人同士なわけだし・・・・」
「いや、その、さっきの今だし、まだちょっと、早いんじゃないかな〜・・・って」



ずりずり  どん 


あぅ、背中に壁の感触が・・・・・



「涼ちゃん!」
「はいっ!?」
「愛に時間は関係無いのよ!!」
「順序ってものがあるだろう!!」
「順序?告白したでしょ、恋人同士になって、ちゅーもしたし・・・・私は準備OKだし」
「いや、私がよくないから!!」



主に、心の準備とか、心の準備とか、心の準備とか・・・・

いや要するに心の準備だけなんだけどさ。



「涼ちゃんゲットォーー!!」
「うげっ!いや、ちょっ、まっ・・・・・にぎぁぁぁっっ!?



ここが私たちの部屋である以上、当然ながら誰も助けてはくれないわけで・・・・



結果、私の悲鳴だけが虚しく響くのであった・・・・・・






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