願い事はなんですか?






七夕、それは年に一度だけ、織姫と彦星という恋する二人が出会うことができる日。
巨大な天の川を白鳥座の助けを借りて二人は出会うことができるのだ。

当然、このロマンティックなお話はこの時期の恋人たち、そして恋する人たちにとっては特別なもの。
もっとも、お話自体よりも、短冊に願いを書くことの方が大事なのかもしれないが。


そう、たとえばそこで・・・・・ぎゃーぎゃー騒ぎながら我先にと願い事を吊るしている彼女らのように・・・・



っていうか、まだ会議中よあなたたち・・・・・



「ちょっと祥子、そこは私が吊るすんだってば」
「いいえ、聖さま、一番上は絶対に譲りません」
「一番上以外も阻止するつもりですね祥子様」
「独り占めはずるいです祥子さま!令ちゃん一番背が高いんだから一番上に吊るしてよ!!」
「できなくはないけど・・・・・あとで祥子が怖そうだし・・・・」
「なさけないわね令、なんのためにそれだけ身長があるのよ」




まだ会議も半ばだというのにこの有様。
日が日なだけにこの事態を収拾して会議を続行するのは不可能だろう。
あぁ、また明日余計な仕事が増えてしまった・・・・・
ちなみに、令の身長は決して短冊を上につけるためにあるんじゃないと思う。
江利子にはそんなこと言うだけ無駄だろうけど。




「・・・・なんか、すごいことになってますね」
「そうね・・・・祐巳ちゃんは吊るさないの?」
「うぇっ!?わ、私ですか・・・・・?」




こういう行事は真っ先に楽しみそうなのに、珍しく祐巳ちゃんは消極的だ。
なにかあるのだろうか・・・・?




「えっと、私は後で吊るそうかな〜・・・・って」
「あら・・・・ということは、あまり人には見られたくないお願いなのかしら」
「はぅっ!い、いえ、そういうわけでは・・・・・・」




その態度ですべてを語ってるわよ、祐巳ちゃん。
ふむ、しかし祐巳ちゃんがなにを書いたのかは気になるわね。




「ふっふっふ、これはなにかな〜祐巳ちゃん?」
「あ、っちょ、返してくださいよ白薔薇さま!!」
「え〜っと、なになに・・・・・『平均点よさようなら』?それに『とりあえずBカップ』と『脱・ぷにぷに』?」
「あぅぅぅ・・・・」




人の願望を勝手に朗読するのはよくないわよ、聖。


よくはないけど・・・・・



「う、く、ぶははははっ!!む、無理!祐巳ちゃんサイコー!!」
「わ、笑っちゃ悪いわよ聖・・・・ぷ、くくくく・・・・・・」
「うぅ・・・・だから内緒にしとこうと思ったのに・・・・」




あぁ可笑しい。さすが祐巳ちゃん、期待を裏切らないわね。




「いや、さすが祐巳ちゃんだよ。ここまで笑わせてくれるとは・・・・でもぷにぷには存続希望かな〜」
「ちょっ!?抱きつかないでくださいってば!それがあるから、脱・ぷにぷになんですってば!!」




どさくさにまぎれて祐巳ちゃんにくっつくんじゃないわよ、聖。
でも他の二つはともかく・・・・それは私も同感だったりするのでとりあえず静観してみる。
それに私が止めなくてもそろそろ・・・・




「白薔薇さま!!祐巳を離してください!!」




ほら、きた。
祥子には祐巳ちゃんアンテナでもついてるのかしらね。




「いえ、盗聴器と盗撮用カメラで監視してるからですわ、お姉さま」




妹は犯罪者だった。




「ばれなければ平気です」




いや、平気じゃないから。
祐巳ちゃん青くなってるし。




「は、ははは・・・・そ、そうだ、蓉子なにか書こうよ、皆のを参考にしてみてもいいしさ!」
「そ、そうね、それじゃぁまずは皆のを見せてもらおうかしら」




祐巳ちゃんを哀れに思ったのか、乾いた笑いを発しながらも話題をそらす聖。
私もあまりこの話を深く追求したくないので、それにのることにした。
祐巳ちゃんが青くなりっぱなしだし。





「あ、紅薔薇さま、見てくださいよ、一番上につけたんですよ♪」
「祥子さまのガードがなくなりましたから」




由乃ちゃんたちは、祥子がいない隙にちゃっかり笹の一番上を奪取したらしい。
他にもいたるところに短冊がつけられていた。





「皆たくさんお願いしたのね、いったいなにを・・・・・え?」




手近にあった短冊を手にとって私は言葉を失った。
これも、あれも・・・・あぁ、あそこにあるのも・・・・
書いた人間はバラバラなのに、皆内容は似たようなものだった。




『将来は祐巳と結婚して、祐巳似の女の子を授かりますように  祥子』
『祐巳ちゃんをお嫁さんにできますよーに♪子供は祐巳ちゃんに似てぷにぷにだといいなー  聖』
『祐巳さんと修道院に入って一生を添い遂げられますように。祐巳さんと私に似た子を授かればなおいいです  志摩子』
『祐巳さんをお嫁さんにする!もちろん子供は祐巳さん似よね、うん  由乃』
『祐巳ちゃんと結婚したいな・・・皆が怖そうだけど。あぁ、でも祐巳ちゃん似の女の子もほしいな・・・皆が怖いけど  令』
『祐巳ちゃんがお嫁さんっていうのもいいわよねー、生まれてくる子供も面白い子希望♪  江利子』



「・・・・・・」
「お姉さま?」
「蓉子?」
「紅薔薇様?」




とりあえず、突っ込みどころは山ほどあるのだが、その前にすべきことがある。




「そうね・・・・それじゃあ私も書こうかしら・・・・・」




そして短冊を書いてそれを真ん中の一番見やすいところに吊るした。




『あなたたち、いっそ星になってみる?  蓉子』




ひゅおぉぉぉ〜〜〜・・・・・・・・




後になって聞いた話だが、
この時、夏なのにもかかわらず、室内の温度が急激に低下し凍えそうなほど寒いのに、
怒りのオーラを纏った私の周りだけが果てしなく熱くて、そのギャップがいろんな意味で怖かった、
と、祐巳ちゃんが語ってくれた。




「でもね祐巳ちゃん、正直私、あれを書いたのを少し後悔しているのよ?」
「そ、そうですよね、あれはちょっと怖かったし・・・・・」
「だって・・・・・・」
「え・・・?」




「カトリックの学校なんだから、星じゃなくてマリア様のもとに送るべきよね」




そう言ったら、祐巳ちゃんは卒倒しそうなほど青くなっていた。




・・・・なにかまずいこと言ったのかしら、私?





あとがき(言い訳)

皆さまごきげんよう、久々に即興でSSを書き上げたキッドです。
製作時間約1時間、編集およびUP作業1時間半・・・・・
回線が遅いのでUPの時間がかなりかかるのがイタタタ、です(^^;)
まぁとりあえずですね、今さっき、仕事しながら今日は7/6か〜って思いましてね・・・・
あれ、明日って七夕じゃん、とようやく気づいたので書いてみました(をぃ)
例によって例のごとく、ギャグ仕様+祐巳ちゃん総受け&蓉子さま至上主義にてお送りしております(笑)
あ、でもちゃんと甘々も書きたいんで、後日続きをUP予定。
なお、注意書きもしましたが、7/7はまだ祐巳ちゃんは山百合会に入ってない!とか野暮な突っ込みは禁止です。
だって書きたかったんだもん。

ではでは、ここのとこ蚊と格闘してて寝る時間がただでさえ減ってるんでそろそろ寝ます。
(って、言っても現在時刻夜中の1時だったり(汗))
それではまた後日〜、ごきげんよ〜(キ^^)ノ



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