純白の行方 「似合うわよ、祐巳ちゃん」 「えぇ、ほんと。よく似合っているわよ、祐巳」 微妙に嘘っぽい。 「はぁ、どうも・・・・」 『今度内輪でパーティがあるからあなたもいらっしゃい』 そう言ってお姉さまに連れてこられた都内某所のホテル。 着いた早々に小部屋に押し込まれ、何事かとあたりを見回せば中にいた蓉子さまと目が合って、 あぁ蓉子さまも来てたんですね〜・・・・・、なんてのんきに思ってたらにこやかに微笑みながら・・・・
「すぐに済むから怖がらなくていいのよ、祐巳ちゃん」 「・・・は?」 「大丈夫、やさしくするわ、祐巳」 「え、いや、だから何が・・・・って、ぎゃぁぁぁーーー!!」 ・・・人の着衣を問答無用にひっぺがし始めたのです。 「ちょっ、まっ・・・・!」 「ダメ、待たない♪」 いやー!蓉子さま楽しんでるぅーーー! 「だってそんな・・・・」 「祐巳!暴れるのはおよしなさい!!」 いや、抵抗するでしょう普通? っていうか、ちっともやさしくないですお姉さま。 「だってこういう時はやさしくすると言っておくものでしょう!?」 建前だけですかお姉さま!! それに人のモノローグに突っ込まないでください!! 「ごめんね祐巳ちゃん、こういう事は初夜までとっておいて独り占めする予定だったんだけど祥子が・・・」 「独り占めなんかさせませんわお姉さま」 「・・・・ね?だから折半することで落ち着いたのよ」 「そうですかぁ・・・・」 ・・・・当事者のいないところで勝手に決めないでください。 「さて、おしゃべりはもういいわね。ふふふふふ」 「そうですね、そろそろ。ふふふふふ」 「あははは・・・・って、やっぱりイヤーー!!」 誰か助けてーーー!! ・・・30分後。 いや、単にパーティ用に、 お姉さまが用意してくださった服に着替えただけなんだけどね・・・・ その、ショックは引きずってるわけで・・・・ 「うぅ、もうお嫁にいけない・・・・」 「いつまでしょげているの?裸なんて見られても減るものじゃないでしょう?」 減ります!確実に何かがすり減るんですお姉さまっ・・・!! 「大丈夫よ祐巳ちゃん。お婿にきてくれればいいんだから♪」 嬉々としてそう答える蓉子さま。 なぜお婿かっていうと、 実は着せられたのはドレスじゃなくて、なんと、純白のタキシードだったのです!! (小笠原系列による完全オーダーメイド品) でまぁ冒頭のセリフにつながるわけでして・・・・ 「似合うわよ、祐巳ちゃん」 「えぇ、ほんと。よく似合っているわよ、祐巳」 微妙に嘘っぽい。 「はぁ、どうも・・・・」 小柄で狸顔の私より絶対お二人の方が似合うと思うんですけど。 後はほら、聖さまや (ガチャ) 「ねぇー着替え終わったー?」 令さま・・・ 「ノックもなしに空けちゃだめですよ聖さま・・・」 ・・・と・・か・・・・って、 「なんでいらっしゃるんですか聖さ・・・ぎゃうっ!!」 「なんでーって、もともと祐巳ちゃん争奪杯の開催記念パーティじゃない(すりすり)」 開催記念・・・?え?なんの? 「だから祐巳ちゃん争奪杯の(さわさわ)」 ・・・・はぁ・・私のですか・・・へぇー・・・ 「そうそう。っていうか祐巳ちゃん、思考ついてきてないね(むぎゅう)」 私はプライズ(賞品)なんですねー・・・・ 「あの、聖さま、そろそろやめといた方が・・・」 「えー、せっかく触り放題なのにー?こんなチャンス滅多に無「聖・・・」 あ、極上の紅薔薇スマイル・・・・ 「そんなにマリア様への片道切符が欲し「すんませんでしたぁぁ!!(土下座)」 「(聖さま早っ!)」 「(うぅ、だから言ったのにぃ〜・・・)」 「(さ、さすがはお姉さま・・・)」 四者四様の反応ではあるものの、根底にあるのが恐怖なのは変わらない。 ぜぇーったいに蓉子さまだけは怒らすまいと、固く心に誓った。 「(ガチャ)向こうの準備はすんだわよー・・・って、あら?」 あ、江利子さままで・・・ということは全員いるんだろうなー・・・・はぁ。 「あら、あらあらあら♪ふふふ、なかなかいい眺めね聖」 「なっ!江利子っ・・・」 「あら?お気に召さなかったのなら言い方を変えるわ。無様ね、聖」 「・・・_| ̄|〇」 容赦無いです江利子さま。 聖さま<江利子さま=蓉子さまなんですね。 「・・・はっ、あの、じ、準備もすんだようだし移動しましょう!」 「そ、そうね!皆を待たせては悪いわ!」 我に返った令さまとお姉さまが必死に場をつなぐ。 健気で泣けてきます。 「そうね、それじゃ移動しましょうか?」 「えぇ、妹たちの勇気を無駄にはできないわね」 クスリと笑みをもらしてそう続ける蓉子さまと江利子さま。 努力じゃなくて勇気って・・・自分で言いますか江利子さま・・・ (ガシッ) 「さ、行くわよ」 (ずるずるずる) 何喰わぬ顔で聖さまを引きずっていく江利子さま、 そしてその後に令さまとお姉さまが怯えながら続く。 私は・・・・まだ魂が抜けていた。 そして、そんな私を見かねたかのように蓉子さまが声をかけた。 「祐巳ちゃん」 「え、あ、はい。な、なんでしょう?」 蓉子さまは私のうろたえ様に苦笑した後こう続けた。 「大丈夫よ」 「・・・へ?」 なにがですか? そう聞き返そうした私の耳元で、彼女は囁いた。 「祐巳のタキシードもウェディングドレスも、誰にも渡さないから・・・・・」 それにより、結局最後まで私が放心した状態のままなってしまった事は言うまでもない・・・・ .....fin
あとがき(言い訳) 皆様ごきげんよう♪4/1よりめでたく無職(笑)になりましたキッドです! いや、普通は笑い事じゃないんですけどね、ちょっと労働環境がひどかったので、ほっと一息って感じです(^^;) とりあえずしばらくはゆっくりして免許とったり、創作活動にいそしみたいな〜って思います。 と、いうわけで復活第一弾、お題SSの「純白の行方」です! スーツスーツスーツ・・・タキシードでもいいじゃん♪(殴)という構想からスタートしたこのSS、 やっぱり締めは蓉子さまのキャー!な殺し文句でした♪ だって「祐蓉好きに捧げる10のお題!」だしね〜。うちの場合「蓉祐」だけど。 まぁとにかく、宣言どおり蓉子さまには、タキシードもウエディングドレスも掻っ攫っていただきましょう!(笑) まだまだ本調子ではありませんが、まったり更新を再開していく予定となっておりますので、 皆様これからもどうぞお付き合いくださいませm(_ _)m それではまた〜、ごきげんよ〜(キ^^)ノ 2007.4.4
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