つながれちゃって困っちゃう?
今日は2月20日、 ヴァレンタインも終わり聖さまと江利子さまが、紅薔薇姉妹から制裁を受けた数日後。 マリア様が見守る学園は今日も平和である・・・・ 「ふふふふ・・・いくら白薔薇さまと黄薔薇さまとはいえ、アレだけやればしばらくはおとなしいはず・・・・ あぁ!ようやく祐巳との平和な学園生活が帰ってきたわ!!」
祥子さまは日頃の恨みをはらしたうえ、 祐巳ちゃんとのデートが決まっているのでご機嫌です。
「うふふふ・・・・(ギラギラ)」
祥子さまは不気味な微笑を浮かべながら歩いていきます。
「・・・・一矢報いねば」
そして、そんなギラギラした祥子さまを凝視するお方が・・・・
ピンポンパンポーン
≪学園内平和度予報≫ マリア様が見守る学園は今日も平和です♪ ・・・・しかしところにより波乱の予感です。 なお一般生徒にとってはいつも通り平和なので、 わざわざ近寄って巻き込まれないように注意しましょう♪ ピンポンパンポーン
・・・・きっと今日も素晴らしい一日になる事でしょう♪(ぇ)
T・Side 祐巳
「ん〜・・・・・」 「?」 「むむ〜・・・・」 「どうしたの祐巳さん?」 教室に入ってからひたすらうなっていた私を心配して、志摩子さんが声をかけてくれる。
「ん〜・・・なんかね〜・・・ついこの前にも感じた嫌〜な予感がヒシヒシと・・・」 「まぁ、それは便利ね」
いえ、あの、便利って言うんでしょうか、志摩子さん? おまけに対・白薔薇さま&黄薔薇さま限定な気がするし。
「だって危険予知ができるのでしょう?すばらしいじゃない」 「あ、あはははは・・・・」
うん、そうだね。感知した後、回避できるなら、そう思うよ。 今だってほら、メキメキと嫌な予感が増大中・・・・・
(ガシッ!!)
「ぎゃあ!!・・・って、白薔薇さま!!」 「ということはすでに覚悟してるって事だよね♪」 「・・・・・へ?」 「じゃあ志摩子、祐巳ちゃんもらってくから。 あ、今日は会議無いから令と由乃ちゃんにも、そう伝えといてね〜♪」 「はい、分かりましたお姉さま」
志摩子さん物分かり良すぎ!
「さぁ、祐巳ちゃん♪お姉さんといいトコ行こうね〜♪」 「いやぁぁぁぁーーー!!志摩子さん助けてーーー!!」 「頑張ってね、祐巳さん」 「っ!!!!見捨てられたーーー!!」
ひどっ!笑顔で切り捨てた!
「はっはっはっはーーーー♪」 「ぎゃぁぁぁぁーーーー!!」
こうして私は、またしても白薔薇さまに連れ去られたのでした。 ・・・・・志摩子さんの薄情者〜・・・・・・グスン。
・・・そして、あっという間に連れ去られてここは薔薇の館・・・なんだけど・・・・
「・・・・で、白薔薇さま、これはどういう事なんでしょうか?」 「餌」 「・・・・・・」
いや、分かんないし。
「いえ、分かるように説明していただけませんか?」 「なにを?」 「ですから・・・・・どうして私が、 手錠で机の脚に拘束されなければならないんですかーーー!!!」
そう、今現在、私は左手を手錠で薔薇の館にある机の脚に拘束されていたりする。
「だから餌だってば」 「なんの!!」 「蓉子の」 「・・・・・はぁっ!?」
もしもし、白薔薇さま?今なんとおっしゃいました?
「ふっふっふ・・・これぞ!エビでタイを釣る!!」
エビですか、私は。
「いや・・・藁しべで長者を釣る、かな?」
・・・・・・もういいです。 「江利子、早くつれてきてくれないかな〜♪」
U・Side 蓉子
「・・・・・なにがしたいの、江利子?」 「通せんぼ」 「・・・・・・」 当の江利子は私の目の前、教室の前の出口に立ち両手を広げて出られないようにしている。 わざわざ放課後になぜこんな事をしてるのかは知らないけど・・・・邪魔。 ・・・・・後ろから出てやろうかしら。 「・・・・・はぁ、それで、なんでそんな事してるの」 「蓉子をつかまえようと思って」 「つかまえてどうするのよ」 「食べちゃう」
・・・・・バカ? これが私の親友だなんて・・・・そう思い私は頭を抱える。 「私がそう簡単に言う事を聞くと思う?」
そう私が牽制球を投げると・・・・・
「いいわよ、別に。蓉子が相手にしてくれないなら祐巳ちゃん食べちゃうから」 「・・・・・(ピク)」
なんですって・・・・・なにを言い出すの、このでこちんは!!
「もちろん蓉子が相手してくれても食べちゃうけど」 「・・・・・そんな事、私がさせると思う(ピクピク)」
言うに事欠いて、祐巳ちゃんを食べるですって・・・・!!
「ふっふっふ、妨害しようとしても無駄よ」 「・・・・・なんでよ(ピクピクピク)」 「だってもう、聖が捕獲してるもの。待っててね祐巳ちゃん、今行くから〜♪」 「(ブチッ)江利子―――――!!!」
限界。なに考えてるのよこいつらは・・・・!!
「それじゃお先に〜♪」 「待ちなさ――――い!!!」
さっ、と身を翻して江利子は駆け出してゆく。 いけない、このままでは祐巳ちゃんは聖と江利子の毒牙に・・・・・ 冗談じゃない! 私は江利子を追いかけて走り出した。(廊下は走っちゃいけません)
「ふふん、捕まえられるもんなんら捕まえてごらんなさい♪」 「くっ・・・!!」
さすが江利子。楽しければなんでもする。 シスターに見つかる可能性もなんのその、もの凄いスピードで廊下を駆けて行く。 こっちだって全力で走っているのに、離されないようにするので精一杯だ。
そのまま追いかけっこは続き、校舎を飛び出してもまだ終わらない。 どこまで行くのかと思っていたら江利子が入っていったのは薔薇の館。 ここに祐巳ちゃんがいるに違いない。 江利子の後を追って階段を上りビスケットの扉を開けるとそこには・・・・!!
「祐巳ちゃん!!」 「・・・っ!!蓉子さま!!」
私は彼女に向けて手を伸ばす。
「来ちゃダメです!蓉子さま!!」 「えっ?」
祐巳ちゃんがそういった瞬間・・・・・≪ガッチャン!!≫
「なっ・・・・!?」
あっという間の早業。 気がつくと私の右手は祐巳ちゃんと同じように、机の脚に手錠で拘束されていた。
「やったー!蓉子ゲットーーーー!!」 「聖!!」 「祐巳ちゃんを見て油断したわね蓉子。聖がいるって言ったでしょう」 「江利子・・・くっ・・・!!」
迂闊だった。 祐巳ちゃんの名前を出されて完全に頭に血が上っていたから。 聖と江利子にこうも見事に乗せられるなんて・・・!! まさに絶体絶命、この状況をどう打開すればいいものか・・・・
V・薔薇の館にて
聖さまと江利子さまに捕まってしまった蓉子さまと祐巳ちゃん。 迫り来る聖さまと江利子さまの魔の手、その時蓉子さまと祐巳ちゃんは・・・!! 「ごめんなさい、蓉子さま。私さえ捕まらなければ・・・・」 「祐巳ちゃん、貴女のせいじゃないわ」 「でも、でも・・・・」 「そんな顔をしないで、祐巳ちゃん。貴女には笑顔の方が似合うわ」 「蓉子さま・・・」 「もちろん、どんな表情の祐巳ちゃんも私は好きだけど」 「・・・・(真っ赤)」 「それでも、大切な貴女には悲しい顔をさせたくないのよ」 「蓉子さまぁ・・・・」 「祐巳ちゃん・・・・」
・・・見詰め合う蓉子さまと祐巳ちゃんは、 完全に二人の世界へ旅立っていたりする。 君達神経図太すぎ。
放置された聖さまと江利子さまは・・・・あ、固まってる。 「・・・・江利子」 「・・・・なにかしら、聖」 「なんか、面白くないね・・・・」 「ええ、面白くないわね・・・・」
放置されたあげく忘却された聖さまと江利子さまは、当然面白くありません。 こちらに注意を取り戻す為に攻勢に転じます。
「祐巳ちゃん・・・・」 「蓉子さま・・・ぎゃう!!」 「ふっふっふ、私を忘れるなんていい度胸してるね、祐巳ちゃん。御礼にたっぷり可愛がってあげよう♪」 「い、いいです!!結構ですぅ!!」
二人の世界に浸っていた祐巳ちゃんと蓉子さま。 それを聖さまは、祐巳ちゃんを後ろから羽交い絞めにする事で打ち砕きます。 突然の事にうろたえながらも、祐巳ちゃんは聖さまの危険な発言、 もとい実力行使を拒否します。
「遠慮しなくていいってば♪」 「してません!!」
しかし、そこは聖さま。人の話なんて聞いちゃいません。
「あぁ〜やっぱ祐巳ちゃんの抱き心地はいいな〜♪」 「・・・・聖」 「(ビクゥ!!)」
くっついたまま祐巳ちゃんの頬にスリスリしていた聖さまは、蓉子さまの一声に条件反射で固まってしまう。 そのまま蓉子さまが特大の雷を落とそうとするが・・・・
「いい加減に祐巳ちゃんを離しなさ・・・・キャア!?」 「うふふ、可愛い声だすじゃない、蓉子」 「江利子!!」 「よ、蓉子さまぁ・・・!!」
特大の落雷を阻止し、背後から蓉子さまを奇襲した江利子さまは、 聖さまが祐巳ちゃんにするのと同じように、蓉子さまを羽交い絞めにした。
そう、このお方を忘れてはいけない。 面白い物にはとことん喰らいつく、 スッポンのごとき鳥居江利子さま。・・・・・ノリノリです♪
「ナイス!でこちん!」 「誰がでこちんよ!!このアメリカ人!!」 「なんだとこのでこちん!!」 「人の頭の上で喚かないでよ・・・」
なんだか微妙に仲間割れをおこしつつも、それぞれの獲物はしっかりと掴んで離さない。 しっかりしてるんだか、してないんだか・・・・・
・ ・ ・ 「はぁはぁ・・・こ、この話は後でしよう」 「ぜぇぜぇ・・・そ、そうね。また後で話合いましょう」 「・・・・バカ」 「ふふん、私達の獲物なのに、そんな事言ってていいの、蓉子」 「そうだよ、蓉子。祐巳ちゃんは私の手の中なんだよ?」 「くっ・・・・!!」 逃げ道の無い蓉子さまと祐巳ちゃん。 このまま聖さまと江利子さまの毒牙にかかってしまうのか!!?
「さぁて、それじゃそろそろ・・・・」
ピ――――!ピ――――!ピ――――!ピ――――! 突然甲高い音が鳴り響く。 何事かと皆があたりを見回す中江利子さまだけが青ざめている。 「せ、聖、ちょっと・・・」 「なに?どうしたの江利子?」 「いいからちょっといらっしゃい!!」
聖さまを祐巳ちゃんからひっぺがし部屋の隅へ連れて行く。 (注・この先の会話は蓉子さまと祐巳ちゃんには聞こえていません。)
「ちょっと、ほんとにどうしたのよ江利子。」 「まずいのよ、聖。これを見て。」
そう言って江利子さまが取り出した機械には、学園周辺MAPと赤い点が示されている。 「これって・・・ひょっとして今朝つけた発信機!?」 「そうよ。もの凄いスピードで学園に向かっているわ。」 「いったいどうして・・・!?」 「そんな事より速く逃げないと私達の命が危険にさらされるわ!!」 「もうさらされてる気もするけど・・・」 「うるさいわね!グズグズしてると置いてくわよ!!」 「ちょっ・・・!一人で逃げないでよ江利子!!」 ダダダダダダダッッ
「なっ・・・!ちょっと、どこ行くのよ二人とも。ていうかコレ外しなさいよー!!」 「蓉子さまぁ〜きっともう聞こえてませんよ〜」 「ああ!もう!どうするのよコレ!!」 「お、落ち着いてください蓉子さま。とりあえず身の危険は去ったのですから・・・・」 「・・・・ふぅ。そうね、二人で脱出方法を考えましょう」 「はい、蓉子さま♪」
ようやく落ち着いた蓉子さま。ふと真剣な顔になり祐巳ちゃんに言います。
「・・・・ごめんなさい祐巳ちゃん、貴女を危険な目に遭わせてしまって。 大切な人一人守れないなんて・・・・情けないわ・・・・」 「そ、そんな!蓉子さまのせいじゃありません!!」 「でも・・・・」 「わ、私の方こそ蓉子さまの足を引っ張ってばかりで・・・・」 「そんな事ないわ、祐巳ちゃん。あなたがいてくれるだけで、どれほど幸せな事か・・・・」
ドドドドドドッ・・・・・
「蓉子さま・・・・・」 「祐巳ちゃん・・・・」
ドドドドドドッ・・・・・
「・・・ドドドドッ?・・・祐巳ちゃん・・・?」 「・・・・私じゃありませんよ・・・?」
またしても二人の世界に旅立ちかけた二人。それをさえぎるように地響きが・・・?
ドドドドドドッ・・・・・
バンッ!! 乱暴に開け放たれたビスケットの扉の向こうには・・・!! 「祐巳〜〜〜〜〜!!」 「祥子!!」 「お、お姉さま!!」 「いいところに来てくれたわ祥子、この手錠をなんとか・・・・」 「無事なの!!」 「二人とも無事よ、だからコレをなんとか・・・・」 「あぁ、よかった祐巳、間に合ったのね!」 「え、あ、まぁ・・・でもお姉さま、今日はお家の御用事があったのでは・・・・?」 「ええ、でも祐巳の助けを求める声が聞こえたのよ!!」 「私の声は・・・?」
突如として乱入した祥子さま。 蓉子さまアウトオブ眼中(古っ)、妹の事しか見えてません。 ていうか聖さまといい、祥子さまといい、 皆さん祐巳ちゃんレーダーがついてるんでしょうか?
「私の祐巳をこんな目にあわせるなんて・・・!!」 「ちょっと祥子・・・・」 「白薔薇さまと黄薔薇さまね!!そうでしょう、祐巳!!」 「ひゃいっ!そ、そうです。」 「祐巳、待っててちょうだい!すぐにあの二人に制裁を加えてくるから!!」 「だから、それより先にコレを・・・・」 「私の祐巳に手を出そうとしたことをたっぷりと後悔させてあげるわ!!」 「無視するな〜〜〜!!」
「白薔薇さま黄薔薇さま!積年の恨みここにはらされり〜〜〜!」
ドドドドドドッ・・・・・ 来たときと同様、地響きと共に走りさって行く祥子さま。 もうリリアンの生徒としてのたしなみはどこへいったのやら・・・・・ そして蓉子さま、最後までアウトオブ眼中(だから古いってば) 「・・・・・姉の私を無視するだなんて・・・・・」 「あ、う、ほ、ほらお姉さまは夢中になると周りが見えなくなるタイプですから・・・」 「・・・・はぁ、そうね。さりげに私の祐巳、とか聞こえたけど・・・・」 「あはははは・・・そ、それよりコレどうしましょうか?」 「・・・・ええほんとに」
「あ、でもやっと、完全に蓉子さまと二人っきりになれて嬉しいかも・・・なんて♪」 「祐巳ちゃん・・・私も嬉しいわ。貴女といられるのなら、何処でもかまわないもの」 「蓉子さま・・・・」 「祐巳ちゃん・・・・」
つながれてようがなんだろうがおかまい無し。 今日は(も)ひたすら二人の世界な蓉子さまと祐巳ちゃんでした。
一方その頃・・・・ 「見つけましたわよ!白薔薇さま、黄薔薇さま!!」 「うわぁぁぁ!!もう見つかった!!」 「逃がしませんわ!!」 「祥子、許して!!ちょっとした出来心(?)なの!!」 「オーホッホッホッホ!!二度とそんな気が起こらないようにしてさしあげますわ!!」
「「ギャァァァァァ―――――!!!」」
「悪は滅びるのよ――――!!!!」 白薔薇さまと黄薔薇さまの悲鳴を上げる中、祥子さまの歓喜の叫びが響き渡る。 マリア様が見守る学園は今日も(一般生徒にとっては)と〜っても平和である。 ちなみに、蓉子さまと祐巳ちゃんがどうやって脱出したかというと・・・・ 「あ、手錠なら白薔薇さまと黄薔薇さま直伝のピッキングテクで私が外しました。エヘヘ、蓉子さまに褒められちゃった♪」 白薔薇さま、黄薔薇さま、ひたすら自分の首を絞めすぎな今日この頃。 どうせこの後蓉子さまにも特大の雷を落とされるんだし、 もう少し学習して欲しいな〜、と、切実に願う祐巳であった・・・・ おまけ
≪衝撃!!マリア像の前の惨劇!!≫ 『白・黄薔薇さまと紅薔薇のつぼみの間になにが!!』
・・・後日、そんな内容のリリアン瓦版(号外)が出回った事は言うまでもない。
あとがき(言い訳) ごきげんよう〜♪相変わらず書き上げ遅すぎなキッドです。 てかやっぱり長っ!予定の倍だよ、自分(汗) やっぱり短くなりませんでした、ただでさえ時間少ないのに・・・シクシク(泣) え〜今回のネタは美月さんが、ロープで祐巳ちゃんを、ベッドにぐるぐる巻きにする ネタで書いた後のメールのやりとりから、ロープもいいけど手錠も(ぇ) 的に発展して、私が書くことになりました。 (どんなメールのやりとりしてるんよ(笑) あ、ちなみにシリーズ(笑)の日付は今年(たしか2004)ので書いちゃってます。 (携帯のカレンダー見ながら(笑) とりあえず蓉×祐の第3弾(?) (蓉×祐)←(聖&江)の構図かな? まぁ今回、聖さまのねらいは祐巳ちゃんだけっぽかったけど。 ていうか江利子さま、蓉子さまねらいかと思いきや、 『蓉子が相手してくれても食べちゃうけど』ってあなた、無差別ですか―――!!(爆) ちなみに祥子さまについては・・・何も言うまい(笑) いや、どのキャラも大好きなんですよ。 ただ私のSSでは蓉×祐以外は報われないだけで(爆) えっと大学始まっちゃってちょいと時間が足りないんですけど頑張って書くんで、 とてつもな〜く、生暖かい目で見守ってください。ではでは、ごきげんよう(*^^)ノ
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