「・・・・渚砂」
びくっ
「渚砂」
ずりずり
「渚砂、大丈夫だから・・・・」
おどおど
「渚砂・・・・・いい加減に諦めなさい」
ふるふる
「・・・・いくら薬が苦くても飲まなきゃ治らないでしょう」
「やですぅ・・・・」
「はぁ・・・・・」
渚砂が風邪を引いて早三日、一向に治る気配が無いと思ったらなんと薬を飲んでいなかった。
だからこうして、薬を飲ませようとしているのだが・・・・この有り様だったりする。
ちなみに冒頭の会話でいけないことを想像した貴方・・・・・
とても正しいけれど流石に今はそれどころじゃないのよ、分かってちょうだいね？
「苦いです、美味しくないです、うえぇ〜です・・・・」
うえぇ〜・・・って、それはそうだけれど・・・・・
「風邪が治らないとお出かけできないわよ？それでもいいの？」
「・・・・やですぅ」
「じゃあこのお薬を」
「もっとやですぅ」
・・・・相変わらず妙なところで頑固ね渚砂。
「仕方ないわね・・・ならいっそ口移しで・・・・！」
ふみっ
「・・・・なにをしているのかしら」
「この私を足げにするなんて・・・貴女くらいなものよ深雪・・・・」
「それはごめんなさい、つい足がでてしまったのよ」
「・・・・はしたないわよ」
「誰かさんほどじゃないわ」
言い切る深雪の足に靴はなかった。
それを優しさと言うべきか、それとも確信犯と言うべきか。
・・・・たぶん両方よね。
「口移しがダメだって言うなら、どうやってあの状態の渚砂に薬を飲ませるのよ」
「決まってるじゃない・・・・釣るのよ」
これで、と言って深雪が取り出したのは・・・・・
「ケーキ？」
「そうよ」
「マグロじゃあるまいし、いくら渚砂だって・・・・」
もぞもぞ・・・もぞ？
「・・・・」
じー・・・・
「ほら、釣れそうよ」
「そ、そんな・・・・・」
た、確かに、渚砂だからケーキに釣られるのは分かる。
分かるけど・・・・・
「私よりケーキがいいの渚砂！？」
「なにと比較してるのよ貴女は・・・・」
「だって！私とのデートじゃ釣れなかったのに、どうしてケーキで釣れるのよ！？」
「知らないわよ・・・・」
深雪は呆れた顔をするけど、私にとっては大問題なのよ！！
「じゃあきっとケーキの方が大事なんでしょ」
そう言って深雪はフッと鼻で笑った。
現職は退いたとはいえ元エトワールにこんな態度をとるのも彼女だけだ。
というか最近は特に多い。
花嫁、もといエトワール候補の強奪ぐらい大目にみてくれてもいいでしょうに・・・
「ほら、さっさと薬を飲ませるわよ」
「はいはい、分かったわよ・・・」
私の恨みがまし視線もきっぱり無視。
学園最強の称号を送るならやっぱり深雪しかいなと思った。
・
・
・
・
・
「はい渚砂、あーん？」
「あ〜ん」
「美味しい、渚砂？」
「むぐあむ、美味しいです〜♪」
幸せそうにケーキを咀嚼する渚砂。
あぁ、やっぱり渚砂は可愛いわ、そうでしょう？
え、深雪？
せっかく深雪にもこの可愛い渚砂を見せてあげようと思ったのに、
途中で呆れた顔して出てっちゃったわ、どうしてかしら？
「ふふ、まだ沢山あるわよ。はい、あーん？」
「あ〜ん・・・むぐむぐ」
まぁ渚砂を独り占めできることには変わりないし、問題は無いわね。
風邪が治ったらたっぷり可愛がってあげるから、早く良くなってちょうだいね渚砂？
＜おまけ＞
出番の無かった玉青ちゃんはというと・・・・・
「むー！むむー！！」
猿轡をかまされて自室に転がされていたりする。
「むぐー！！（おぼえてらっしゃい静馬さまー！！）」
＜おまけ２＞
渚砂ちゃんが全快したら更にたっぷり可愛がろうと思っていた静馬さまはというと・・・・
「うぅ・・・渚砂〜・・・・」
「馬鹿は風邪引かないって言うのだけれど・・・・」
「ほっといてちょうだい深雪っ！！」
渚砂ちゃんの風邪をもらってしまい、
呆れ顔の深雪さまに看病をされているのでありました。
...Ｆｉｎ
あとがき（言い訳）やっとこ仕上がりましたストパニＳＳ第一弾。
一回データが飛んで、一部もう一回書き直したんで微妙につらかったです（泣）
にしても、うーん、いまいちキャラを掴みきれてない気がする・・・・・
一応アニメ版をベースに書いてるんですけどね〜（＾＾；）
今回玉青ちゃんの扱いがあれなんで、次あたり玉青ちゃんのリベンジ編でも書こうかしら？（笑）
まぁストパニＳＳは相当まったりな更新速度になるかと思いますが、
興味のある方はお付き合いいただければと思いますので、よろしくお願いします〜♪ではでは♪
2007/7/18著
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