お星様と貴女に願おう 七夕の翌日、前日の騒ぎは嘘のようにいつもどおりの日々である。 ・・・・・散らかりっぷりはしっかりと残っているのだけれど・・・・・・・ 「片付けくらいきちんとしてほしいわね、まったく・・・・・」 とりあえず、薔薇の館内がこんな状態では仕事もできない。 仕方なく一人で片づけを始めた。 「まったく、聖も江利子も散らかすだけ散らかすんだから・・・・・」 そう、この大量の紙屑の原因は聖と江利子だったりする。 几帳面な祥子や令は散らかしたら片付けるし、志摩子や由乃ちゃん、祐巳ちゃんもそうだ。 ところがあの二人の場合、やりたい放題で後は知らない、というタイプなので手におえない。 昨日も皆が帰った後、３人で残ったのだけど・・・・・・ 何を思ったのか、突然江利子が紙吹雪をばら撒き始めたのだ。 当然そうなれば聖も便乗するわけで・・・・・ めでたく薔薇の館は紙吹雪の館となったのである。 ・・・・ようするに、床が紙だらけになっただけなのだが。 「おまけにやっぱり二人とも来ないし・・・・・・」 昨日はもう遅かったので片付けは翌日、ということになったのだが・・・・・ 二人とも当然のごとく逃げ出したらしい。 あれほどサボらないようにと言っておいたのに・・・・・・・ 「後で絶対締め上げ・・・・ん？」 などと、不穏なセリフをはきかけたところでそれに気がついた。 私がいつも座っている椅子に何かが置いてあるのだ。 「・・・・短冊？」 手に取ってみるとそれは短冊だった。 その短冊には見覚えのある字で書かれていた。 「祐巳ちゃん・・・・・・」 それは祐巳ちゃんが私宛に書いたものだった。 あぁもう、可愛い事をしてくれるじゃないか。 これを放置したりしたらバチが当たるというものだ。 私は残っていた短冊を取り出して、ゆっくりと丁寧に、短冊に文字を綴った。 そしてそれを祐巳ちゃんがしたのと同じように、彼女がいつも座る椅子の上にそっと置いた。 これを見たら彼女はどんな反応をするだろうか？ 「ふふ、楽しみね・・・・・」 祐巳ちゃんのお星様と私への願い事。 私はきっと叶えてみせるから、貴女もサボっちゃだめよ？ と、笹に下がった星飾りに言いつけたのであった。 その星飾りを作ったのが聖と江利子だったと後に知って、激しく後悔したのだけれど・・・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「あれ、お前まだそれ飾ってるのか？」 「ちょっと祐麒、ノックもしないで入ってこないでよ」 「したよ、さっきから何度も。いないのかと思ったけどなんだかブツブツ聞こえてくるし・・・・」 「・・・・なんか言ってた、私？」 「よくは聞き取れなかったけど・・・・笹を眺めてにやけてるのだけははっきり見えたよ・・・・」 「・・・・・・」 どうやらこれを貰った時の事を思い出して、トリップしてたところを祐麒に見られたらしい。 ・・・・・だからって弟よ、お姉ちゃんを哀れみのこもった目で見るのはやめなさい。 「二人とも〜、急がないと学校に遅れるわよ〜」 「うわっ、もうそんな時間！？」 「だからさっきから何度も呼んだのに・・・・・」 「き、聞こえてなかったんだからしょうがないじゃない！」 「はいはい・・・・ほら、置いてくぞ」 「あ、ちょっと待ってよ祐麒・・・・・・」 バタン！ トントントン・・・・・・ そして誰もいなくなった室内で、窓からの風に吹かれて揺れる笹には二つの短冊が吊るされていた。 その短冊にはこう書かれていた。 『来年の七夕も蓉子さまと一緒に迎えられますように　　祐巳』 『来年も再来年もその先の七夕もずっと、祐巳ちゃんと一緒に迎えるわ　　蓉子』 祐巳と蓉子、二人だけの秘密の七夕は今も続いているのであった・・・・・・ ........fin あとがき（言い訳） ごきげんよう皆様！七夕ＳＳ二本目が仕上がりました！！！ うむ〜・・・・・しかしながらですね、ちと微妙な感じになってしまった気がするのですよ。 もちっとスムーズにラブラブを目指したんですが・・・・え、ある意味十分ラブラブ？ でもね〜・・・・イチャイチャも書きたいのよ（爆） だって最近書いてないんだもん（＾＾；） 七夕ＳＳ三本目も考えているのでそっちでは、ぜひ二人一緒のところを書きたいものです。 そうそう、それから消えたと思っていたマリみてエアライン第4話、 なんと別のファイルにバックアップがありました！！！（喜） と、いうわけで、予定よりも早くこちらもＵＰできそうです♪ とはいえ、まともに更新できるのは土日だけなんで、 例によっての〜んびり、とお待ちくださいませ（＾＾；） ではではまた次の作品で♪ それではまた〜、ごきげんよ〜（キ＾＾）ノ →マリみてＳＳＴＯＰへ