クリスマスカラー






 
 
 
 
毎日寒いなーと布団から出づらくなった12月。
関西の方があったかいイメージがあるとかどこかのチャンピンが言うとったけど、絶対関西の方が寒いと思う。
ヒートアイランド代表の東京になんかに負けへんで。
 
 
 
 
「くしゅっ」
「ちょぉ、怜大丈夫?」
 
 
 
 
飛び出したくしゃみに竜華が心配そうに覗き込む。
すぐに私を気にかけてくれるところは素直に嬉しいありがたい。
今日に至ってはいささか複雑な気分やけども。
 
 
 
 
「暖房も少しいれますか?」
「そやな、怜が風邪ひいたら大変や」
「寒いなーて思うから寒いんやでー」
「冬でも半袖かます先輩が言うことやないと思います……」
 
 
 
 
そう言ってわらわらと私の周りに集まってくるセーラ達。
いやいや、確かにセーラを基準にされたらあかんけど、それ以前に皆その格好に疑問とかないん?
なぁ?
 
 
 
 
「怜可愛いやん」
「似合うとるで」
「……ありがとう」
 
 
 
 
にこーっと清々しい笑みを浮かべる竜華とセーラに引きつった笑みでなんとか返す。
ぷるぷると震えている拳が炸裂しなかったのは私の我慢の賜物に違いない。
いや、ぐーで殴ったところでセーラの方なんてびくともせーへんとは思うけど。
 
 
 
 
「泉はよく着たなぁそれ……」
「……逆らいようがないですから」
「まぁ、そやな……」
「そういう園城寺先輩こそよく着ましたね?」
「……気がついたら着てたんよ」
「え」
「膝枕から起きたらもうこれやったわ……」
「そ、そうなんですか……」
 
 
 
 
そうなんよ……と、げんなりと呟けばいっそう泉から同情の視線が寄せられた。
嬉しいような憐れなような。
そう、今日は部室でクリスマスパーティーやるでー、とセーラに誘われ(っていうかあんたも引退やったよな?)、放課後部室へ足を伸ばしたところまでは至って普通に制服だった。
まだ飾り付け中だから、と竜華と二人休憩室に押しやられたので、それならゆっくりしてようかー、と例によって膝枕でうたた寝したのがまずかった。
そやけど誰が予想できようか、起きたらサンタコスさせられとるやなんてそんなこと。
 
 
 
 
「……エロ竜華」
「なんで!?」
 
 
 
 
私が寝てるすきに何してくれたんやアホ竜華。
どうせ船Q達にのせられたに違いない。
 
 
 
 
「えー、あかんのー?」
「……足がすーすーする」
「可愛えよ?」
「そういう問題やなくて……」
「可愛えよ?」
「……ええわもう」
 
 
 
 
にこにこと可愛いを連呼する竜華には何を言っても通じない。
へたれで押しが弱いくせにどうして変なところでこうも頑固になるんやろ?
ぺたーっと背中に張り付いてくる竜華をひっぺがすのももうめんどくさい。
……なんでこれがええんやろ、私。
 
 
 
 
「愛の力とちゃうかな」
「愛が重いわ……」
 
 
 
 
それでも好きなものはしょうがない。
なんや言うても竜華が楽しそうだからまぁええか、って思ってしまう。
竜華は私に激甘やけど、私も竜華に甘い気がする。
 
 
 
 
「おーし、準備完了。乾杯するでー」
 
 
 
 
クリスマスケーキにお菓子と簡単な料理とテーブルはいつのまにか結構豪華だ。
その中から竜華がグラスを二つ持ってくると金色に輝くシャンパン(ノンアルコール)をグラスに注いだ。
一方は私に、もう一方は竜華が。
 
 
 
 
「メリークリスマス、怜」
「……メリークリスマス竜華」
「来年もよろしくなー」
「……気が早いわ、あほ」
 
 
 
 
チンッ、と響いたグラスに映った自分の頬はサンタの衣装に負けないくらいに赤かった。


...Fin


あとがき(言い訳)

ちょーご無沙汰してますごきげんようキッドです。
生きてます。入院してました。@私の母上様がw
コミケの締切り付近と重なったり仕事のこともあったりして、
本当に12月はあっという間に過ぎてしまいました……
3か月もまともにHPとか更新してなかったとかいつぶりよ的な(^^;)
そんな感じで過ぎちゃいましたが、KimiさんからもらったイラストにSSをつけてみましたわんわん。
若干竜怜の書き方を忘れている様な気がしないでもありません(苦笑)
あ、コミケにもなのはの方で出店しますので、よろしくお願いしますー☆
三日目12/31、東地区「レ」ブロック30aにて出没してますのでどうぞよろしくー&来年もよろしくねー(>▽<*)

2013/12/30著


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