それはただの不注意だった。
「……不注意で頭からこけるんか」
「足が動かんくて」
「いやそれはもう不注意やなくて運動不足やろ……」
呆れたように溜息をつくセーラ。
授業の最後、体育の時間に校庭で転んだ私は保健室へと連行された。
体調が悪かったわけやない。
ただちょっとぼーっとしとったら目の前に地面があったとかいうそれだけで。
「よぉ分かったわ……不注意と運動不足両方やな」
「なんで校庭の土は砂利なんやろ……」
「全部芝にしたら金かかるやん。まぁすりむいたんが膝だけでよかったな」
デコやったら笑えへんで、とセーラは苦笑した。
うん、そやな。
手が間に合わんかったら顔面ダイブになるとこやったわ。
「……そういえば竜華は?」
「んぁ? あぁ、そろそろ戻って……」
「怜ーーーーっ!!」
「きたみたいやな……」
廊下を駆け抜ける音と叫ぶ声。
セーラが呆れ顔で呟くと同時に保健室のドアが荒っぽく開かれる。
「怜っ!!」
「竜華」
「何で私がいない時に転ぶん!!」
知らんわそんなん。
「戻ったらいないし、転んだいうから驚いたわ」
「ん……心配かけてごめんな竜華」
用具の片づけを手伝わされていた竜華は私が転んだタイミングではちょうどおらんかった。
まぁ目の前でこけたらこけたでどの道すっとんできてくれそうやけど。
「いや、気にせんでええよ……ほら、鞄と着替え」
「ん……え?」
「心配せんでええよ、私がちゃんと家まで送ったるからな」
「……」
そう言って私が着替えるのを待ってから背中を差し出すようにして竜華が屈んだ。
……いや私部活出たいんやけど。
ていうか歩けるで私。
膝すりむいただけや。
「怜? 私なら平気や、怜一人しょって帰るくらい……」
いやだからそういうことやのうて……ええわ、もう。
「そういうことやから……セーラ、後頼むな?」
「部長が丸投げとか勘弁してほしいわ。しゃあないなー……まぁ適当にやるわぁ。怜も頑張りや〜」
「ちょお、なんで怜なん。頑張るんは私やで?」
あーはいはい、はよ帰り〜、と竜華とそろってセーラに保健室から追い出される。
助けてくれる気ゼロとかさすがやわ。
頑張りようがないと思うで?
校内から家まで羞恥プレイとか。
「竜華……」
「んー?」
「なんや注目されとると思わへん?」
「私はそうでもない思うけど……」
びしばしと方々から突き刺さる同級生や下級生達の視線の数々。
……あぁうん、そやな。
竜華が注目されてるんはいつものことやもんな。
……でも今日はそれとは違うと思うわ。
「そや、なぁ怜、なんか私にしてほしいこととかない?」
今すぐ下ろしてほしいわ。
「……なんでもしてくれるん?」
「ええよー? 足動かせんと不便やろ?」
過保護って言うんやで、分かってへんと思うけど。
「そやな……それやったら……」
ほんまに私が下ろしてほしいて言うたら竜華は下ろしてくれるんやろか?
そんな考えがちらりと頭をよぎるけど、それやったらこの羞恥プレイの前にしたかったわ。
それに、一度乗ってしまったこの背中からは少し、いや結構離れがたい。
……結局のところ私は優しい竜華が好きなんや。
「……今日は泊まってってな、竜華」
「……え。」
添い寝の追加オーダー、してもええよな、竜華?
...Fin
あとがき(言い訳)ということで書き始めちゃました。怜竜大好きだぁぁぁぁっ!ww
ただ、うん、いまいちまだキャラが掴みきれてないですねやっぱ;;
回想での会話が増えてるとはいえどうにも咲みたいに麻雀してると独白系が多くてね;
やり取りと言う名のいちゃいちゃがもちょい増えてほしいですっていうかもう千里山主役でよくね?ww
でも白糸台と阿知賀が決勝なんだろうな……超ショボン。
アニメ丸々一話くらい怜竜のサイドストーリーとかやってくんないかな割とマジで(笑
つか一人称迷うね、アニメとコミックスで違うから。
コミックスの「うち」にしたい気もするけど基本アニメの「私」にして、
会話に応じてたまーにうち、とかうちら、って使う方が書きやすいかなー、ということでアニメ準拠に。
……うん、まぁどの道可愛いからどっちでもええわwww
2012/6/22著
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