アルストロメリア


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
帰ってきた麻帆良の地。
離れていたのはたった数日だったというのに、懐かしく感じる。
今の私には完全にこの場所が、そしてここにいる大切な人が中心となっている。
 
 
 
 
「お嬢様は元気だろうか・・・・・」
 
 
 
 
口をついて出たのは、その大切な人の事。
私などがそう呼ぶのすら、本来ならおこがましいことだ。
けれど、彼女は受け入れてくれたから。
この身に流れる血の性も、溢れ出る程の想いも。
 
 
 
 
「予定よりも遅くなってしまった・・・・早くお嬢様の元へ行かねば・・・・・」
 
 
 
 
そう思い、足早に雑踏をすり抜ける。
しかし曲がりなりにもメインストリート、進んでも進んでも人込みを脱しない。
いっそ走るべきか、と思い始めた頃、視界の端に鮮やかな色彩を捉えた。
 
 
 
 
「・・・・花屋か」
 
 
 
 
いつもなら何かしら、お土産を用意するのだが、
今回の仕事は、人里からは随分離れたところだったため、
お嬢様へのお土産は調達出来ていなかった。
 
 
 
 
「覗いてみるか・・・・」
 
 
 
 
花の良し悪しはよく分からないが、お嬢様に似合う花なら沢山あるはずだ。
そう思い店の中に足を運ぶ。
中に入ると、店員のお姉さんが声をかけてきてた。
 
 
 
 
「いらっしゃいませ、どのような花をお探しですか?」
「ああ、はい、友人に花を贈りたいのですが・・・・・」
「そうですか、それではこちら等は・・・・」
 
 
 
 
その方がいくつかの花を紹介してくれるが、どうもしっくりこない。
 
 
 
 
「後はそうですね・・・・花言葉で選んでみてもいいかもしれませんね」
「花言葉、ですか?」
「ええ、何かありますか?」
「えっと・・・・・」
 
 
 
 
占い好きのお嬢様のことだ、花言葉には詳しいだろうし、調べればすぐに分かるだろう。
迂闊なことをすれば自爆しかねない。
お嬢様をお守りしますとか、その、あ、愛してますとか、そういう系統のは・・・・うん。
前者は怒られそうだし、後者は・・・・私がもたない。
あ・・・だけどこの間お嬢様に見せていただいた本にあったあれなら・・・・・
 
 
 
 
「あの、すみません・・・・・」
「はい?」
「えっとですね・・・・・・・・」
 
 










 
 
・・・・さて、買ってはみたものの、お嬢様は喜んでくださるだろうか?
少し不安に思いつつも、お嬢様の部屋のドアをノックする。
 
 
 
 
「は〜い」
「あの、ただいま戻りましたお嬢様、刹那ですが・・・・」
「せっちゃんお帰りー!!」
「うわわゎゎっ!?お、お嬢様!?」
「あーん、寂しかったえ〜せっちゃ〜ん」
「も、申し訳ありません、お嬢様・・・・・」
 
 
 
 
抱きついてきたお嬢様の感触にうろたえながらも、抱き締め返す。
やはり少々長めの仕事だったので、かなり寂しい思いをさせてしまったようだ。
 
 
 
 
「あれ、せっちゃんそれどないしたん?」
「え、あぁ、その、お嬢様に差し上げようかと思いまして・・・・・」
「ウチに?」
「はい」
「ありがとうせっちゃん!ほんま嬉しいわ〜♪」
 
 
 
 
本当に嬉しそうにお嬢様が喜んでくれる。
よかった、買ってきて正解だったみたいだ。
そのまま花束を渡すと、お嬢様は何かに気がついたみたいに首を傾げた。
 
 
 
 
「んー、せっちゃんこれって・・・・」
「えと、あの、この間見せていただいた本に載ってましたので・・・・花言葉はですね」
「むむ、言わんでもええよせっちゃん、ウチは占い研の部長やで?」
「はい・・・・その、今の私の気持ちとでも言いましょうか・・・・」
「えへへ・・・ありがとうなせっちゃん、ウチも同じ気持ちや・・・・」
 
 
 
 
少し頬を染めて微笑んでくださるお嬢様に、私も笑い返す。
よかった、ちゃんと伝わったみたいだ。
 
 
 
 
「ほな、上がってお話聞かせてな?この子も水に入れてやらんとやし」
「はい、お嬢様」
 
 
 
 
こんなに気軽に話せるようになるとは思わなかった。
1年前の私には想像も出来なかっただろう。
今でも護衛としての立場を忘れたつもりは無い。
だけども・・・・・
 
 
 
 
「私はとても幸せですよ、お嬢様・・・・・・」
 
 
 
 
お嬢様に贈った花の名前はアルストロメリア。
花言葉は『幸福な日々』
それは正に、今の私達のためにあるかのような言葉だった。

 

  
 

...Fin


 


あとがき(言い訳)

ども久々にネギま!SSの更新です♪
あー、でもなんか文章まとまってない気がします(汗)ごめんなさい。
あんまりオタオタしないせっちゃんを書きたかったんですが、微妙に失敗したような・・・・ま、いいか(ぇ)
後は花言葉ネタとかも結構好きです♪
まぁ本によって色んな花言葉があるんですが、今回のは幸福な日々、ということで。
なんていうか、19巻のせっちゃんが幸せ全開だったもので、つい書いちゃったSSです(笑)
早くパクティオーしちゃえー(笑)

2007/7/31著


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