金の閃光は聖夜を駆ける 〜 Right now to you 〜4

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「えと、こんばんはなのはさん、お久しぶりです」
「久しぶりティアナ、元気だった?」
「はい!・・・・って、さっきも映像では会いましたけど」
「でもやっぱり実際に会うのとは違うよ〜」
 
 
 
 
突然のティアナの訪問に、驚きながらも嬉しそうに話すなのは。
でも、私の視線はティアナの後方に釘付けだった。
あれは、あの黒い物体は・・・・・・私の車!
 
 
 
 
「(えと、必要かと思いまして・・・・)」
「(GJティアナ!ありがとう〜!)」
 
 
 
 
念話をしながら、心中で感激のあまり涙を流す。
シャーリーといいティアナといい、私は人材に恵まれている。
 
 
 
 
「あ、フェイトちゃんの車持ってきてくれたんだね」
「あ、はい・・・・」
「もぅ、ダメだよフェイトちゃん、ティアナだって予定があるんだから」
「うん、ごめんティアナ、ありがとう」
「いえ、いつもお世話になってますから、これくらいは・・・・」
 
 
 
 
めっ!という顔で怒るなのはに、デレデレしつつも、ティアナにお礼を言う。
怒った顔も可愛いよ、なのは。
 
 
 
 
「でもティアナ、この後どうやって帰るの?」
「あー・・・・」
「考えてなかった、とか言わないよね」
 
 
 
 
ただ車をお持ちすることだけ考えていたので、なんて言われたら本当に申し訳ない。
そして、帰るあてもないティアナに車を持ってこさせたのか、という疑惑の篭ったなのはの視線がもっと痛い。
 
 
 
 
「いえ、一応連絡はしてあるんですけど・・・・・」
「連絡?」
「はい、そしたら迎えに来るってスバ「ティィアァァァーーー♪♪♪」ル・・が・・・・あぁぁ」
 
 
 
 
ティアナの声を遮るように放たれた超音波。
そしてカッ飛んでくるのは、ティアナのバイクに乗ったスバル。
ティアナもだけど、スバルも運転うまくなったなぁ、なんて場違いな感想を抱いてしまう。
一方ティアナは、何故だか頭を抱えているのだけれど。
 
 
 
 
「迎えにきたよティア!会いたかっ」
「アホスバルゥ!!」
「もげふぅっ!?」
 
 
 
 
バイクから降りると両手を広げて駆けてくるスバルにむかい、ティアナの渾身のボディブローが炸裂した。
うわ、あれは痛そう・・・・・
 
 
 
 
「人の名前を大声で叫ぶなって、何度言ったら分かるのよ!」
「あぶぶっ、ご、ごめん、ティア〜」
 
 
 
 
そしてスバルの襟を掴んでガクガクと揺する。
さっきのボディブローといい、なかなか強烈な愛情表現だ。
いや、相手がスバルだからだろうけど。
 
 
 
 
「えと、その、二人とも・・・・」
「あ・・・す、すみません!」
「ゲホゲホ・・・あー苦しかった。あ、なのはさん、フェイトさん、お久しぶりです♪」
「あ、うん、久しぶり・・・・」
「にゃはは、二人とも相変わらずだね〜」
 
 
 
 
声をかけると、我に返ったティアナが慌ててスバルの襟を離す。
そのスバルはというと、先程の愛情表現のダメージなど微塵も感じさせず、私達に笑顔で挨拶をする。
うーん、逞しい。
 
 
 
 
「でも、これでティアナも無事に帰れるね、よかった」
「ご心配おかけしてすみません、なのはさん」
「ううん、気にしないでティアナ。元々はうちのフェイトちゃんのせいなんだし・・・・」
「うぐぅ・・・・」
 
 
 
 
頭を下げるティアナににっこりと微笑むと、直後に突き刺さるような視線をこちらに向けるなのは。
早く帰りたいがために車を放置してきて、更にそれを部下に持ってこさせたのだから自業自得とはいえ、その視線は激しく痛い。
ごめんねなのは、ティアナ。
でも公私混同、って言葉が私から無くなることって多分無いと思うんだ。
 
 
 
 
「フェイトちゃん、最近ほんと開き直るよね・・・・・」
「なのは絡み限定だけどね」
「はぁ・・・・・」
 
 
 
 
あれ?声に出てた?
とか思ったけど、とりあえず言い切ったら溜め息をつかれた。
ティアナとスバルもそのやり取りを見て苦笑いしている。
 
 
 
 
「うー、でもスバルもティアナのためなら何処からだって駆けつけるよね?」
「なっ!?」
「当然です!例えそれが宇宙の果てだって、別の次元だってへっちゃらでふぶぶぶっ!?」
「恥ずかしいこと言ってんじゃないわよ、バカ!!」
「焚きつけてどうするのフェイトちゃん・・・・」
「いや、だって、スバルなら分かってくれるかと思って・・・・」
 
 
 
 
私の言葉に同調し、拳を握り力説するスバルの頬を、ティアナが両手で思いっきりつねりあげる。
顔が真っ赤だけど、あれはあれで喜んでると私は思う。
初々しいなぁ〜と思うけど、いつかうちの奥さんみたいに呆れた顔をするようになるのだろうか?
・・・・なるんだろうなぁ、きっと。
 
 
 
 
「まったく・・・・じゃあなのはさん、フェイトさん、私達はこれで失礼しますので・・・・・」
「うん、フェイトちゃんが手間かけちゃってごめんねティアナ。この後はもう邪魔しないから、スバルとゆっくりしてね?」
「な、なのはさんっ!?」
 
 
 
 
思いがけないなのはの言葉に再びティアナは赤面する。
なのははしてやったり、って顔で笑ってる。
 
 
 
 
「にゃはは、ごめんごめん。じゃあスバル、この後はしっかりティアナをエスコートするんだよ?」
「ちょ、どっちも同じじゃないですか!?」
「はい!任せてくださいなのはさん!」
「あはは、まぁとにかく仕事も今日はもう終わりだし、二人でゆっくりしなよティアナ」
「くぅ、ふぇ、フェイトさんまで・・・・・」
「えへへ、ほらティア、後ろ乗ってよ〜」
「乗るわよ!乗ればいいんでしょ!・・・・ていうか、アンタが運転していくの?」
 
 
 
 
言い放った後、疑いの眼差しでバイクの後部席を見るティアナ。
大丈夫!と胸を張るスバルに対し、ティアナは更に微妙な顔をする。
さっきの運転を見る限り、そんなに危なくはなさそうなのだけれど・・・・?
 
 
 
 
「・・・・退く気は無いのよね?」
「うん!ティアは仕事で疲れてるんだから、気を使わなくていいんだよ?」
「はぁ・・・・分かったわよ・・・・だけど安全運転厳守だからね?」
「もちろん!」
 
 
 
 
絶対退かない、という感じのスバルにとうとうティアナが折れる。
安全運転・・・・ってことは、やっぱり運転乱暴なのかな?
 
 
 
 
「それじゃあなのはさん、フェイトさん、また今度!」
「うん、二人ともいつでも遊びにきてね」
「はい!今度はゆっくり遊びに来ます♪」
「またねスバル、それから色々ありがとうティアナ。今度またスバルがお休みの日に休暇出せるようにするからね」
「べ、別に合わせなくてもいいですよ!」
「えー、ティアひどい〜」
「うっさい!」
「ぶー。・・・・じゃあ失礼しますなのはさん、フェイトさん」
「失礼しま・・・・って、ちょっとスバル、スピード出しす・・・・キャァァァーーーーー!?」
 
 
 
 
相変わらずの掛け合いを続けながら、二人が頭を下げる。
それに手を振って応えようとしたのだが・・・・なんだかあっという間に見えなくなってしまった。
どうやらティアナが懸念していたのは、安全の精度ではなく、スバルがスピードを出しすぎることにあるようだ。
 
 
 
 
「あれは・・・ちょっと怖そうだね・・・・・・」
「うん・・・・あ、私はちゃんと安全運転を心がけてるからね?」
「ふふ、知ってるよフェイトちゃん。いつも私やヴィヴィオのことを想って運転してくれてるもんね」
「もちろん、そんなの当然だよ」
 
 
 
 
隣で苦笑しているなのはに向かってそう言うと、とびきり優しい笑顔で返してくれた。
なのはとヴィヴィオを想って行動するなんて、私にとっては当たり前のことだけど、
なのははどんな小さなことでも気がついて、こうやって笑ってくれる。
それがとても嬉しい。
 
 
 
 
「あ、そうだ車を車庫に入れちゃわないと」
「うん、そうだね・・・・くしゅんっ」
 
 
 
 
そういえば、せっかく持ってきてもらった車が出しっぱなしだったと気づき、
車庫に入れてプレゼントを回収しようとか考えていると、隣のなのはから小さいくしゃみが聞こえた。
よく考えればなのははミニスカサンタの格好のままで、そんな格好で外にいたら寒いのは当たり前だ。
 
 
 
 
「ごめんなのは、寒かったよね」
 
 
 
 
慌ててなのはに自分の上着をかける。
なのはの格好も考えず外で長話させるなんて・・・・あぁもう、私のばか!
 
 
 
 
「ううん、平気。ティアナやスバルと話せて嬉しかったし」
「うん、でも・・・・・」
「えと、じゃあ、ね、フェイトちゃん・・・・・」
「ん・・・?」
 
 
 
 
ずーん、と落ち込んでいく私になのはは笑いかけてくれるけど、私のうだうだは止まらない。
情けない・・・・・
だけどなのはは、そんな私を見上げると、ちょっぴり言いにくそうに口を開く。
何かな?と首を傾げると、シャツの袖の端をきゅっと掴まれた。
 
 
 
 
「あの、ね・・・・・・」
「うん」
「ぎゅって、して・・・・・」
「!?う、うん・・・・」
 
 
 
 
上目遣いでそんな爆弾を落っことすなのは。
寒さのせいだけでなく頬と耳が赤くなる。
きっと私も同じだろうなって思うけど、今はそれよりなのはに触れたい。
両腕でなのはを包み込むと、ぎゅっと抱き締めた。
 
 
 
 
「えへへ・・・・暖かいねフェイトちゃん」
「うん、私も暖かい・・・・」
 
 
 
 
なのはも同じように抱き締めてくれて、背中に回された手が優しく撫でてくれる。
ねぇ知ってるなのは?君とこうしているだけで、私の胸の中はいつも暖かいもので一杯になるんだよ。
好きって気持ちで、愛しいって気持ちで、一杯になって溢れ出しそうになるんだ。
 
 
 
 
「あ、フェイトちゃん、さっきも言ったんだけど・・・・・」
「ん?何、なのは?」
「あのねフェイトちゃん・・・・おかえりなさい・・・・・」
「・・・うん、ただいまなのは・・・・・・」
 
 
 
 
囁かれた言葉に、沢山の気持ちが溢れ出す。
我慢できず、私はなのはを強く抱き締めると、その唇を自分のそれで塞いだ。
最初はびっくりした顔をしていたなのはも、しょうがないなぁっていうように目を細めて、私の動きに合わせてくれる。
私はそれに甘えると、角度を変えて幾度もなのはの唇を啄ばんだ。
君がくれる想いを、少しでも君に伝えたいから。
 
 
 
 
「ん・・・もう、フェイトちゃんってば・・・・んっ」
「んむ・・・なのは・・・・」
「ゃん・・・・むぅ、お返しっ・・・ん」
 
 
 
 
戯れるように、二人して唇を啄ばみ合う。
溢れた想いも、後からどんどん湧いてくる沢山の想いも、全部君が掬ってくれる。
こんな風にどんな時でも頑張れる勇気と力を、君が私にくれるんだ。
だから、何があっても、どんなところからだって、私は必ず帰ってくるよ。
君がおかえりと言ってくれるこの場所が、私が帰ってくる場所だから・・・・・・

 
 
 
 

...fin

 
 


あとがき(言い訳)

フェイトさんはパパで婿で嫁なんだぁぁぁーーーー!!!(いきなり何)あ、ママが抜けた(笑)

・・・・よーするに最後のイチャイチャを書きたいがために、クリスマスSSに手を付けてたキッドです。
いや、だってイチャイチャが書いてて一番楽しいよ?(笑)

えー、そんなわけで、とりあえずここまででクリスマスSS完結です、イエィ♪
いや、私生活のバタバタで随分と更新が遅くなりました、すみませんm(_ _;)m

え、何で師匠がいたのか?親子三人のクリスマスはどこいった?それよりなにより、いちはち禁をさっさと書け?
んー・・・・、まぁそれは漏らしてた通り、外伝ってことで。
その内、HPUP用か、それとも同人誌のどちらかで補完したいと思います。反響しだいかねー(^^;)
同人誌一冊目は別の作品予定だし。

何冊刷ればいいか全然分からないんだよね・・・・50部くらいでok?
・・・とか言ったら、友人達に怒られました。挨拶周りで配ったら25部くらいしか残らないでしょ!・・・と。
さすがにそれはアレかしら?とか思いつつ価格表とにらめっこ。
小部数だと割高になるので、いっそ200部くらい刷って、のんびり配布していこうか〜、な方向に今のとこなってます。
ご意見ちょうだいな♪

あ、ちなみに次のSSはバレンタインSSになりそう。
つーか、とりあえずもう着手してます。元々のっちさんから相互用にリクもらってたし。
間に合うかどうかは、いつも通り微妙ってことで(笑)んではまた次のSSでお会いしましょう〜。
ごきげんよー(キ^^)ノ

2008/2/12著


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