金の閃光は聖夜を駆ける 〜 Right now to you 〜2

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「シャーリー、現場は?」
「車の方に地図データを送信しましたので、ナビに従ってください」
「分かった」
 
 
 
 
私達は転送ポートでミッドの地上に降りると、私の車で現場へと急行する。
 
 
 
 
「・・・フェイトさん、物増えましたね」
「後写真とかも・・・・」
「う・・・・」
 
 
 
 
仕事で二人を乗せるのは久しぶりだったのだけれど、やっぱり突っ込まれてしまった。
 
 
 
 
「いや、だって、ねぇ?」
 
 
 
 
元々は仕事のために、と思って買った車だったけど、
なのはと更にヴィヴィオという家族が増え、ミッドの地上で使う場合は専ら家族車として活躍していた。
 
 
 
 
「なんか、フェイトさんって、ママっていうか・・・・」
「すっかりマイホームパパですねぇ」
「あぅ・・・・」
 
 
 
 
うぅ、なんで皆そう言うんだろう。
やっぱり私、パパなのかな?
・・・・まぁ、なのはとヴィヴィオと一緒なら、パパでもいいかぁ。

『あなた♪』
『パパ♪』

なぁに、なのは、ヴィヴィオ・・・・なんて感じに。

うふ、うふふふふ、えへへへへ。
 
 
 
 
「フェイトさん顔、顔!」
「緩んでます。ついでにハンドル操作も緩んでます〜!」
「おっとっと」
 
 
 
 
危ない危ない、つい別世界に浸っていた。
いやいや、現実の二人に早く会うためにも頑張らねば。
妄想はひとまず置いといて、私は現場へと車を走らせた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ここ・・・みたいだね」
「はい、フェイトさん」
 
 
 
 
車を停めたのは高級レストラン街の一画。
すでに初動の地上部隊が、あたり一帯を封鎖している。
 
 
 
 
「こちらですハラオウン執務官!」
「遅くなりました、現状は?」
「はい、刃物を持った犯人が未だ立て籠もり、進展はありません。一帯の封鎖は完了しました」
 
 
 
 
しかも話を聞くと、男は魔導師らしく、威嚇のシューターも打ってきているらしい。

・・・ちなみに、高町フェイトです、籍入れました。
でも職場では面倒なので、ハラオウンなフェイトです。
 
 
 
 
「レストランMoonlight・・・・」
「はい、犯人はあそこで立て籠もっています」
 
 
 
 
その名前には聞き覚えがあった。
当初、なのはと一緒に来ようかと考えていたレストランだ。
結局は家でゆっくりすごそうという話になったのだが、予約しなくて本当によかった。
・・・・いや、なのはならやっつけちゃいそうだけど、それはそれで怖いし。
 
 
 
 
「執務官?」
「いえ、何でもありません」
 
 
 
 
自分の考えに苦笑しつつ答えると、私はシャーリーへと向き直る。
 
 
 
 
「シャーリー、上からの指令は?」
「交渉及び突入問わず、速やかな事件の解決を。ただし人質の安全を最優先に行動せよ、とのことです」
「まぁ、そうだろうね・・・・」
「交渉の方は現在陸士隊員があたってるそうです」
「じゃあそのまま交渉は続けてもらって、ティアナは私と突入待機を・・・・」
 
 
 
 
ドオォン!!
 
 
 
 
「っ!?」
 
 
 
 
私の言葉を遮るように、突然爆音と共にレストランの壁の一画が破壊される。
隊員の誰かが早まったのかと思ったが、どうやら内側から破壊されたらしい。
相手は魔導師であるらしいから、不思議な事では無い。
 
 
 
 
「び、びっくりした・・・・」
「随分荒っぽいですね・・・・」
「うん、そうだね・・・・」
 
 
 
 
痴話喧嘩のもつれで、いくらなんでもこんなに派手にやるかな〜?
なんて思った私達に向かって、先程の陸士隊員が遠慮がちに声をかけてくる。
 
 
 
 
「あの・・・・」
「はい?」
「その、事件概要なのですが、どんな風に伝わってますか?」
「えと、痴話喧嘩のもつれと伺ってますが・・・・」
「それがその・・・振られたらしいんです・・・・」
「あー・・・・」
 
 
 
 
その場に、なんとも言えない微妙な空気が漂う。
よりにもよってクリスマス当日に振られれば、それは確かにショックだよね・・・・
 
 
 
 
「んー、まぁ、でもこのまま立て籠もられても困るし、なんとかしないとね」
 
 
 
 
同情する要素はあるものの、このまま放置し続けるわけにもいかない。
っていうか、放置したら私が帰れない。
 
 
 
 
「説得は難しそうだし、突入準備ですか?」
「うん、ティアナは店の裏手からお願い」
「はい!」
 
 
 
 
簡単な打ち合わせをすると、それぞれの持ち場につく。
私は交渉を引き継ぐ形で、犯人の男性の前に立った。
当然バリアジャケットを装着し、バルディッシュも起動させている。
つまりはこれ以上抵抗するなら、強行手段も辞さないという意思表示であった。
 
 
 
 
「時空管理局執務官、フェイト・T・Hです。この場は完全に包囲しました、武装を解除し投降してください」
「けっ、エリートのお出ましかよ。お前なんかに俺の気持ちが分かってたまるか!」
 
 
 
 
けれど立て籠もり犯の男性は、臆する事無くがなりたてる。
分かってたまるか〜、って言われてもねぇ・・・・
 
 
 
 
「・・・武装を解除しないのな「ちくしょう!どいつもこいつも、人が振られたってのに何がクリスマスだ!」
 
 
 
 
いや、だってそれ関係ないし。
しかも遮られた・・・・
 
 
 
 
「・・・・抵抗を続けても無「あぁそうさ!どうせ俺みたいなダメな男の相手をしてくれるのは、暇な管理局の連中だけなんだよなぁ!」
 
 
 
 
あ、また遮られた。
いや、暇じゃないよ、すんごく暇じゃないよ。
なのはとヴィヴィオが待ってるんだからさぁ。
 
 
 
 
「いっそ俺なんか死んだ方がいいんだあぁ「じゃあ死ねば」ぁぁぁっ!?」
 
 
 
 
なんだか段々ムカついて来たので、強制的に終了させることにした。
 
 
 
 
『Flash move』
 
 
 
 
ザシュッ!
 
 
 
 
「がっ・・・・!?」
 
 
 
 
Flash moveで後ろへ回り込む。
そして非殺傷設定なので、手加減無用とばかりにザンバーで切り裂いた。
ドサッと倒れこむ男を尻目に、私は声を上げる。
 
 
 
 
「シャーリー!」
「市街地飛行許可はとってありますフェイトさん!」
「ありがとう!」
「後の事は任せてください!」
 
 
 
 
シャーリーの返事を聞いて、私は飛行魔法を発動すると一気に空へと飛び立った。
目指すは妻(なのは)と娘(ヴィヴィオ)の待つ我が家。
 
 
 
 
「シャーリーさん、私要りませんでしたね・・・・」
「んー、まぁ事件は無事解決、ってことで、ね?」
 
 
 
 
なのは、ヴィヴィオ、今帰るからね!

 
 
 
 

...To be Continued

 
 


なかがき(言い訳)

あけました、おめでとう。
結局年内に更新できないわ、まだまだ続くな状況です(えへ)
とりあえずやっと事件編が終わったので、次回は愛しのなのは様登場予定。

引き続き、生暖かい目をしたまま待っててちょ♪

2008/1/1著


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