ヴィヴィオの日記R3 ○月×日
悪だくみはするものだとどっかの偉い人も言ってました。 「こんにちは〜」 「ん……あぁ、ヴィヴィオか」 「こんにちはシグナムさん、はやてさんいますか?」 「主はやてなら奥の書斎だが……」 「了解です、おじゃましま〜す♪」 挨拶だけすませて、シグナムさんに言われた書斎に向かう。 最早勝手知ったる八神家である。 「はやてさ〜ん」 「……んぉ、なんやヴィヴィオか、よぉ来たな」 「おじゃましてます……何読んでるの?」 「んー、なんというか……この間行った世界の童話みたいなもんやな」 「へぇ……私も後で読んでもいい?」 「ええよ、棚に入れとくから好きに持ってったらええ」 元々読書家のはやてさん、書斎には色んな本が積まれていて、この大きな書斎もそろそろ一杯になりそうだ。 無限書庫にあるようなのとはまた違った本が読めるので、私も時々こうして本も借りに来たりする。 「なんや、今日は本を借りにきたんか?」 「違う違う、ママ達のこと。来週末もらったチケットで出かけてくるってさ」 チケット、とは先日はやてさんに手配してもらったリゾートのペア宿泊券。 自分達こととなると休みをちゃんと取らないうちのママ達。 だったら強制的に休ませてしまえ、と勝手に休暇プランを考えて最後はチケットだけ放り投げたのだ。 休むことに抵抗がある割に、幸せオーラ全開の二人は頬が緩みっぱなしになっている。 主にフェイトママの方がだけど。 そんなわけで、二人は来週末、泊まりがけでデートに繰り出すことになっていた。 「あぁ、日程決まったんか」 「うん、だから来週末は私、一人なんだ」 「さよか」 「……」 「……」 「……」 「……」 「普通そこで、じゃあ私が一緒にいてあげるよ、キラッ☆ ……とかやるもんじゃないのっ!?」 「せんわボケッ! 何を期待しとるんやっ!?」 「チッ……」 うら若き乙女が誘ってるっていうのに、一向に乗ってこないはやてさん。 むぅ、なのはママがこうすればフェイトママなら一発なのに……いや、基準が間違ってるか。 仕方ない、プランBに変更しよう。 「じゃあ泊まりにきてもいい?」 「まぁええけど……ちゃんとママ達に了解もらっとくんやで?」 「でも別にいつものことじゃない?」 「そうやけど、旅行中に娘の所在が分からなくなったりしたら、フェイトちゃんあたりは半狂乱になるで?」 「あー……うん、分かった、ちゃんと伝えとく……」 少々げんなりした顔でそう言うはやてさんに、私も苦笑を返す。 フェイトママの過保護スキルは、私がこの年になってもまだまだ健在だった。 いまだにキャロさんやエリオさんに対してもそうだから、きっと私が大人になっても変わらないと思う。 時々困るけど、フェイトママらしい、と思ってしまう以上もう諦めるしかない。 「じゃあまぁ、とりあえず来週末くるね」 「了解や、ヴィータやリインが喜ぶやろ」 「はやてさんは?」 「んー……微妙?」 「ひどっ! それはひどいよはやてさ〜ん……」 「あはは、冗談や。にぎやかなんは私も歓迎やからな」 むぅ……こんなに好かれてるんだから、もう少し嬉しそうにしてくれたっていいのになぁ…… 相変わらずガード堅いんだから…… ふふん、でも同じ一つ屋根の下、寝室に忍び込むことだってそう難しくは…… 「言うとくけど、ちゃんと客間用意しとくから私の部屋に忍び込んできたらあかんよ」 「ぐぅっ……」 「ヴィヴィオももう小さい頃とちゃうもんなぁ、一人でちゃんと寝れるよなぁ?」 「う、ぐ……も、もちろんだよはやてさん……あはは……」 先手を打たれて反論する隙間もない。 悲しいかな、どうやら私の戦いはまだまだ当分続くらしい。 ふ……いいんだ、簡単になびかないはやてさんだから好きなんだもん。 ……でもなぁ…… 「じゃあ一緒にお風」 「入らへんから」 「……」 ……ガード、固すぎだよはやてさ〜ん……とほほ…… ...Fin あとがき(言い訳)久しぶりのヴィヴィオの日記Rです。 ……ていうか、日付見てびっくり、普通に一年前ですね前回のUPwww あれもこれもと手を出すので、気がつくと連載がたまっててぎゃー、って感じです(^^;) とりあえずこれは予告通りSS娘の企みの裏話にあたります。 つれないはやてに猛アタック中のヴィヴィオですww コンプエースではアインハルトが出てきたので、本編のヴィヴィオはそっちなんでしょうけど、 せっかくなんで、日記のヴィヴィオはヴィヴィはやでいこうかと思います。 需要のほどは分かりませんけどねー(笑) 普通に短編ではそのうちヴィヴィオ+アインハルトなんかも書きますよきっと♪ 2010/6/3著
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