小さなお姉さんは、好きですか?パート2

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
トントントン・・・・・
 
 
 
 
包丁を扱う音がリビングに響く。
局員になってからは、基本的に寮生活で、
あまり自炊とかはしてないんだけど、とりあえず普通の物が作れる程度には身体が覚えているみたい。
あとはこれをお鍋に入れてっと・・・・・
 
 
 
 
「スバル・・・・」
「ん、どうしたのギン姉?」
「本当に私も手伝わなくていいの?」
「大丈夫だよギン姉、もうこれで終わりだし」
 
 
 
 
そう言ってお鍋に蓋をすると、納得したのかギン姉はリビングへ戻っていく。
その表情は渋々といった感じだったけど。
それを見て私は、やっぱり可愛いな〜って思っちゃうんだけどね。

ギン姉が小さくなっちゃってから、早三日。

原因だと思われるロストロギアの解析が進んではいるものの、いまだギン姉を元に戻す方法は分かっていない。
最初は仕事があるからと、何がなんでも出勤しようとしてたんだけど、
 
 
 
 
「ちょうどいいからしばらく休め」
 
 
 
 
と、部隊長命令(お父さん命令)が下されたため、不承不承ながらもギン姉はお休みすることになった。
そして私も、いい機会だから溜まってる有給を消化しろと上から言われ、ギン姉と一緒にお休みと相成ったのだった。
 
 
 
 
「ん、よし、こんなもんかな・・・・」
 
 
 
 
出来上がったお味噌汁とおかず、それからご飯を配膳すると、ギン姉の待つ食卓へと運んでいく。
 
 
 
 
「出来たよギン姉ー、食べよー♪」
「うん、ありがとうスバル・・・・」
「ん?どうしたのギン姉?」
「ごめんねスバル、色々してもらっちゃって・・・・」
 
 
 
 
複雑そうな表情をしていたギン姉に声をかけると、ギン姉は申し訳なさそうに呟く。
気にしなくていいのにな〜と思うけど、ギン姉らしくて思わず笑ってしまった。
 
 
 
 
「ちょ、どうして笑うのよスバル!」
「あはは、ごめん、ギン姉らしいな〜って思ってさ。そんなの気にしなくていいんだよ?」
「だって、してもらうばっかりなのよ、気にするに決まってるじゃない」
「うーん、まぁ分かるけどね〜」
 
 
 
 
几帳面で責任感が強くて、ずっと私の面倒をみてきてくれたギン姉にしてみれば、
自分が面倒をみられるだけ、という現状が不満で仕方ないのだろう。
 
 
 
 
「でもギン姉、私は嬉しいよ?」
「スバル?」
「私の方こそ今まではしてもらうばっかりだったから」
 
 
 
 
小さい頃は、それこそ甘えてばかりで。
大きくなってからは、職場も寮も別々だったから。
こんな風にギン姉の役に立てることも、全然なくて。
 
 
 
 
「だからね、こんな時くらい甘えてくれた方が、私は嬉しいよギン姉」
「・・・・うん、ありがとうスバル」
「あぅ・・・・うん」
「?」
「な、なんでもない!」
 
 
 
 
うぅ、やばい・・・・それやばいよギン姉・・・・・
遠慮がちに微笑むギン姉は、反則的に可愛かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ごちそうさまでした」
「いえいえ、お粗末様でした」
「あ、スバル、下げるのぐらいは自分でやるから・・・・」
「ん、そう?じゃあギン姉はこっちお願い」
 
 
 
 
お盆に乗せた分を手渡すと、落とさないように真剣な表情で運んでいく。
本人にしてみれば必死なんだろうけど、なんだか凄く微笑ましい。
 
 
 
 
「んしょ、と・・・・スバル、次は?」
「んー、洗い物は私がやるから、ギン姉はお風呂お願い」
「分かったわ」
 
 
 
 
洗い物は身長がキッチンに届かないから、ちょっと難しい。
代わりにお風呂のお願いをすると、ニッコリ笑ってパタパタと駆けていく。
たぶん、少しでも自分に出来ることがあって嬉しいのだろう。
次は?と聞かれて、一瞬、もういいよーと答えかけたのは内緒だ。
私はというと、その間に洗い物を簡単にすませ、カップにホットミルクを用意する。
昔はこうやってギン姉が洗い物やミルクの用意をして、私がお風呂担当だったんだけど、今は微妙に逆転している。
ギン姉が小さくなっちゃったのは大変だけど、こうして色々してあげられるのはやっぱり嬉しかったりする。
 
 
 
 
「スバル、お風呂は今入れてるから」
「んー、ありがとうギン姉。じゃあ、はい、ミルク。熱いから気をつけて」
「えぇ、ありがとうスバル」
 
 
 
 
ギン姉にカップを渡して、私も自分の分を持ってリビングに行く。
 
 
 
 
「ん、確かに熱いわね」
「うん、沸騰してたから」
「何もそこまで暖めなくても・・・・」
 
 
 
 
いや、ちょっと余計なこと考えてて、暖めすぎちゃっただけなんだけどね。
火傷しないように、ふーふーしながら言うギン姉に心の中で突っ込み返す。
すっとぼけた妹でごめん、ギン姉。
でも、そうやってカップ抱えて、ふーふーしてるギン姉も見たかったんだよ。
 
 
 
 
「スバル?」
「ううん、なんでもない」
 
 
 
 
呆けた頭で、いっそこのままでもいいかもしれない、なんて思い始めるくらい、今のギン姉は本当に可愛いのであった。

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

こちらも倉庫にてひっそり公開。 

2007/11/20著

夏コミ先駆けの先行公開第二段!
同人誌版では、くはーっ!!な梶川さんの素敵絵がつくんだぜぃ!!(笑)

2008/7/26著


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