小さなお姉さんは、好きですか?パート1

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ちょっと失敗しちゃってね」
 
 
 
 
うん。
 
 
 
 
「でも怪我とかはしてないし」
 
 
 
 
うん。
 
 
 
 
「それに今対処法調べてもらってるし」
 
 
 
 
うん。
 
 
 
 
「だから全然大丈夫・・・・って、スバル聞いてる?」
「うん、聞いてるよ・・・・安心してギン姉」
「そう、それならいいんだけど・・・・・」
「うん、大丈夫。ギン姉は私が、絶対に幸せにするからね」
「・・・って、ちっとも聞いてないじゃない!?」
 
 
 
 
そう言って叫ぶギン姉を無視して、私はその小さな身体を抱き締めた。
思いっきり、脳天をはたかれたけど。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ことの始まりは一つの任務。
ロストロギアの回収と、それを持ち出した犯人の逮捕。
ロストロギア自体も、犯人の魔導師も大したレベルではなく、割とよくあるクラスの事件だった。
話を聞いた時は、ギン姉なら大丈夫だろうと思ったし、実際に問題は無かったらしい。

最後に、そのロストロギアが発動をするまでは。

ギン姉のチームが犯人を拘束、ロストロギアを回収しようとしたところで、それは起きた。
突然ロストロギアが光を放ち発動、光が収まった頃には、ギン姉の身体にある異変が起きていた。
そう、身体が縮んでいたのだ。

そんなわけで、ギン姉が任務中に事故にあったと聞いて、飛んで来た私が見たものは、
元よりはるかに小さくなり、どこか不貞腐れた感じのするギン姉と、その様子に苦笑しているマリーさんの姿だった。
 
 
 
 
「可愛い!可愛いよギン姉!」
「ちょ、ちょっとスバル!?」
 
 
 
 
そして冒頭の流れにつながり、現在に至る。
見た目もだけど、抱き心地も申し分ない。
それを思う存分堪能してると、またギン姉にはたかれた。
酷いよギン姉。
 
 
 
 
「もうっ、離してちょうだいスバル。私はまだ仕事を片付けなきゃいけないんだから」
「え、仕事するのギン姉?」
 
 
 
 
どちらかと言うと、ニュアンス的には仕事出来るの?といった感じに口にすると、ギン姉の眉が大きく跳ね上がる。
あ、まずい、怒らせた。
 
 
 
 
「なっ、身体が縮んだって仕事くらい出来るわよ!」
「ご、ごめ、怒らないでギン姉、いたたたっ」
 
 
 
 
腕を振り回すようにして、ぽかぽかと叩かれる。
見た目は可愛いけど、さすがはギン姉、的確にパンチをいれてくるので結構痛い。
 
 
 
 
「まぁまぁ、とにかくスバルが迎えにきたことだし、今日は帰ってゆっくりすればギンガ?」
「ちょ、マリーさんまで私を子供扱いする気ですか!?」
 
 
 
 
そう言って今度は、マリーさんにくってかかるギン姉。
多分余所でも同じような扱いだったから、私が来た時すでに機嫌が悪かったんだろうなぁ。
 
 
 
 
「いいじゃないギン姉、ここのところずっと働きっ放しだったんだし」
「スバル、でも・・・・・」
「そうだよギンガ、解析はこっちで続けておくし、今日はスバルとゆっくりするといいよ」
「・・・・はい」
 
 
 
 
渋々といった感じに返事をするギン姉に、私とマリーさんは揃って苦笑する。
解析の結果はまた明日聞きに来ると約束して、マリーさんのところを後にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ギン姉、手を繋・・・・」
「大丈夫だから」
 
 
 
 
本当は抱っこしたかったんだけど、それだとまた怒りそうだったから、手にしたんだけど・・・・
差し出そうとした手は、すげなくギン姉に振り払われてしまった。
しばらくはそのままで歩いて行き、そしてギン姉は・・・・
 
 
 
 
「・・・・ふみっ!?」
 
 
 
 
こけた。
 
 
 
 
「ちょ、大丈夫ギン姉!?」
「う・・・だい、じょう、ぶ・・・うぅ」
 
 
 
 
いや、そんな涙目で言われても、ちっとも大丈夫そうに見えないってば。
 
 
 
 
「もう、しょうがないなぁ〜」
「きゃっ、ちょっとスバル」
「よっと、暴れたら落ちちゃうよギン姉」
「だ、だって・・・・・」
 
 
 
 
ひょいっとギン姉を持ち上げて抱き上げると、ギン姉は真っ赤になって抗議してくる。
 
 
 
 
「んー、お姫様抱っこの方がよかっ、イタっ!痛いってばギン姉」
 
 
 
 
軽口を叩こうとしたら、またはたかれた。
今日のギン姉は、ちょっと暴力的だ。
 
 
 
 
「スバルのバカ・・・・・」
「イタタ、もうどうしてダメなのギン姉?ちっちゃくなってるんだから、これくらいいいじゃない」
「だって・・・・」
「だって?」
「・・・・私の方がお姉ちゃんなのに・・・・・・」
 
 
 
 
拗ねたようにそう言って、プイッとそっぽを向くギン姉が可愛くて、私はつい笑ってしまった。
 
 
 
 
「ぷ・・・・あははは!」
「ちょっ、笑うことないじゃないスバル!!」
「ご、ごめ、だってギン姉、可愛いんだもん」
 
 
 
 
また怒らせちゃう、って分かってても笑うのを止められなくて、案の定ギン姉は完全に拗ねちゃった。
でもねギン姉、こういう時くらい甘えてくれたっていいんだよ?
だって・・・・
 
 
 
 
「私はいつものギン姉も、今のギン姉も大好きなんだから、ね?」
「っ!?・・・バカ」
 
 
 
 
それだけ呟いて、顔を赤くしたまま私の肩口に顔を埋めるギン姉は、最高に可愛いと思った。

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

倉庫にてひっそり公開。 

2007/10/7著

2008年夏コミにて同人誌化が決定!
なのはSS館にて夏コミに先駆け、先行公開開始!!

2008/7/15著


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