私のだから














「あーっ、もうヴィヴィオったら〜」
「えへへ〜」
 
 
 
 
部屋のドアを開けると、きゃっきゃっとなのはとヴィヴィオのはずんだ声が聞こえてくる。
今日は書類整理で時間をくった私より教導だけのなのはの方が早かったらしい。
ひょこっと顔だけだして中の様子を窺うと二人はベッドの上でくっついてごろごろしていた。
何これ可愛い私も混ざりたいんですけれど。
 
 
 
 
「あ、フェイトちゃんおかえり〜♪」
「おかえり〜♪」
「うん、ただいまなのは、ヴィヴィオ」
 
 
 
 
いそいそとなのはとヴィヴィオがいるベッドに近づく。
私が帰ってきたことに気がついたなのはとヴィヴィオが嬉しそうにこっちを向いた。
つられて私もニコッと笑う。
二人のこの笑顔だけで生きていけそうな気がするよ私。
 
 
 
 
「あ、あのね、なのは、ヴィヴィオ……」
「はぁーい、じゃあフェイトちゃんも帰ってきたことだし、第一回高町家会議を始めまーす♪」
「はじめまーす♪」
「……へ?」
 
 
 
 
制服のジャケットを手早く脱いでハンガーにかけ、混ぜて混ぜてとベッドに私があがったところで、なのはがそんなことを言い出した。
急にどうしたんだろう、ていうか高町家会議ってなに?
わわわ、私も高町家でいいのかな?
 
 
 
 
「え、ハラオウン家かテスタロッサ家会議の方がよかったフェイトちゃん?」
 
 
 
 
かくん、とヴィヴィオを抱えこんだ状態でなのはが首を傾げる。
一緒にヴィヴィオの首もかくんと揺れる。
首の代わりに私のハートもずきゅんと揺れる。
 
 
 
 
「いえ全然いいです高町家で」
「にゃは、よかった♪」
 
 
 
 
むしろ高町家がいいですそれはもう。
異論なんてあるはずがない。
 
 
 
 
「じゃあ高町家会議の議題なんだけどねー」
「うんうん♪」
「フェイトちゃんのバリアジャケットの変更を求めまーす♪」
「まーす♪」
「……うん?」
 
 
 
 
高町家。
なんて良い響きなんだ高町家……!!
……とかなんとかちょっとした感動にうち震えながらなのはの言葉に頷いていたら議題は私のことだった。
まーす、って……なんで急にそんな話に?
しかもどうしてバリアジャケット。
 
 
 
 
「だってフェイトちゃんのバリアジャケット露出が激しいんだもん」
「はぁっ!?」
「ヴィヴィオもカッコいいフェイトママの方がいいよねー?」
「うん♪」
「あ、うん、それは心がけて……っていやいやいや」
 
 
 
 
もちろん普段からパパとして、いや違ったもう一人のママとして、なのはとヴィヴィオの前ではカッコよくあろうと思っているけど、それとバリアジャケットはどう関係するのだろうか。
いやそもそも露出激しいってどの辺が?
インパルスフォームは割とカッコいいと自分では思ってたんだけど、なのはとヴィヴィオにとっては違うんだろうか?
 
 
 
 
「そんなに露出してるかなぁ……?」
「してるよ!太ももとかいっぱい出てるよ!」
「うん?まぁ太ももは確かに多少……」
「肩とか腕だってたくさん出てるし……!」
「……んん?」
「女の子があんなに露出しちゃいけないの!」
「ないの〜♪」
「……え」
 
 
 
 
そう言ってびしっ、と私を指差すなのは。
それはちょっとお行儀が悪い……あぁほらヴィヴィオが真似するし……いや可愛いけど、二人揃って可愛いけどさ。
しかしこれは、ひょっとしてひょっとしなくてもなのはが言ってるのはインパルスフォームのことじゃなく……
 
 
 
 
「……ソニックフォームのこと?」
「うん!……なんの話だと思ったの?」
「いやインパルスフォームのことかと……」
「インパルスがだめなら私のアグレッサーもダメだと思うんだけど……」
「あぅ、そ、そうだよね……」
 
 
 
 
どうしてそういう勘違いするのかな?って苦笑するなのは。
うぅ、だってバリアジャケットって言ったら普段はインパルスだったから……
いや露出って言った時点で気付くべきだったよねと私も思うけど。
 
 
 
 
「……でも本当になんで急にその話?」
「それは……ほらこれ、この間の写真……」
「ん……あぁ、この間の撮影の……」
 
 
 
 
これ、となのはが持ってきたのは私となのはが写った写真。
それは今度管理局から出る広報の表紙になるとかで、バリアジャケットで撮った物だった。
なるほど、確かにこのアングルだと太ももとか肩の露出が多い。
でもソニックフォームはスピード重視のジャケットだからどうしたって装甲は薄くなるわけで……
 
 
 
 
「そんなだから『はいてない』とか言われるんだよフェイトちゃん!」
「ぶっ!?はいてるよ!?ていうかレオタードタイプなのにおかしいよねその話!?」
「だってそういう人がいるんだもん!」
 
 
 
 
いやいやだってバリアジャケットだよ?
はいてるも何もレオタードみたいな物なのに関係ないよね!?
 
 
 
 
「だから……!」
「いやでもね……」
 
 
 
 
だから変えて、いやでも機能性が……と言い合う私となのは。
なのはとたくさん話せるのは嬉しいけどできればもっと別の話題の方がいい。
なのはの耳にはいてないだとか入れた奴……一人は確実に分かるけど――にいっそソニックフォームで切りかかりたい。
だって六課解散までの残り少ない貴重な三人で過ごす夜なのに、なんだってはいてない。
はいてるのにはいてない。
 
 
 
 
「それに変えるにしても……ん?」
「ふぇ?」
「……むにゃ……」
「「……あ」」
 
 
 
 
だけどそんな私達の話は子供には退屈なものだったらしい。
ふと気がつくと私となのはの間でヴィヴィオはすやすやと眠っていた。
あぁ、ごめんねヴィヴィオ、せっかく起きててくれたのに……
 
 
 
 
「うー……」
「ごめんねフェイトちゃん……」
「うぅ……いや、私も熱くなっちゃったし……」
「ん、でもごめん……」
 
 
 
 
可愛い寝顔にぐすんぐすんと唸る私を、なのはがそっと撫でてくれる。
髪を梳く優しい手の感触に、さっきまで少し言い争いのようになって熱くなっていた頭がすっと冷えた。
見ればなのはも同じようですっかり大人しくなっている。
しゅんとした様子は可愛らしいけど私はなのはに笑ってほしい。
 
 
 
 
「いいよなのは、なのはは私のためを思って言ってくれたんでしょ?」
「だって……っのなのに……」
「……なのは?」
 
 
 
 
だから気にしないで?
そう抱き寄せて髪に口づけたけど、なのはから零れた言葉に髪を撫でる手が止まる。
ねぇ、今なんて――
 
 
 
 
「なの……」
「……って、フェイトちゃんは……私のなのに……」
「っ!……なのは……」
 
 
 
 
そう言ってなのはが私のシャツにしがみつく。
間近で感じるなのはの匂いと言葉にくらくらした。
そうか、なのはは別に私のバリアジャケットがどうのじゃなくて、私が他の人にそういう目で見られるのが嫌だったんだ。
それなら分かる、私だって他の人が性的な目でなのはを見るなんて気分が悪い。
 
 
 
 
「なのは……」
「私、も……フェイトちゃんの、だもん……」
「っ!?〜〜っ!」
 
 
 
 
あぁでも、お願いだから、こんな体勢でそんな可愛い事を言わないでほしいんだけど。
なのはの前では私の理性なんて紙っぺらよりよっぽど薄い。
我慢何それ美味しいの?
食べれませんいただきます。
 
 
 
 
「だから……にゃぁっ!?」
「……」
「フェ、フェイトちゃん?」
「……なのはが悪い」
「ふぇ?」
「……私をその気にさせるなのはが悪いんだぁぁ!」
「え、ちょ、ふぇぇぇ!?」
 
 
 
 
私はがばっと抱きあげたなのはの耳元に口を寄せる。
そして――
 
 
 
 
「私のものだってたくさん感じさせてあげるから……」
 
 
 
 
……そう耳元で囁いた。
真っ赤になって私の腕の中であたふたとするなのは。
だけど逃がしてなんてあげないんだ。
やがてコクリと小さく頷いたなのはを抱きしめて、私となのははソファーへと二人で沈む。

……その夜、どれだけなのはが可愛かったのかは私だけが知っている。



 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

バリアジャケットにかこつけてイチャイチャしたかっただけですが何か(ぉ)
前にフェイトさんの太ももがぁーっていうイラストが公式であったなぁと。
はいてるとかはいてないとかww
でも個人的にはなのはさんのエクシードモードのインナーだけとかの方がえっちぃ気がするんですがどうでしょう?w
「なのは上着着てっ!?」「ふぇ?」とか訓練後にやってるといいなと思います(笑)

2012/7/1


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