例え遠く離れても














平凡な小学三年生、だったはずの私の生活が一変してから一ヶ月。
あっという間なのか、それともゆっくりなのか、よく分からない中で毎日は過ぎていく。
増えていくビデオレター、写真、思い出、それから……会いたい気持ち。
順調にいって一年、早くても相応の時間がかかる裁判。
すべてが終わって会えるようになるのは、まだまだずっと、先のこと。
 
 
 
 
「フェイトちゃん……」
 
 
 
 
それでもこうして、私はここにやってくる。
海鳴臨海公園。
私達の、始まりの場所。
 
 
 
 
「にゃはは……いるわけないのにね……」
 
 
 
 
何してるんだろ、って頬をかく。
その拍子に指に触れた髪の先が風で揺れる。
出会った頃よりちょっと生温かい、湿り気を帯びた風はもうすぐ夏になることを告げていて。
フェイトちゃんにも夏の海鳴を見せてあげたいな、って思ったりして。
 
 
 
 
「……まぁ夏だけじゃないんだけど……」
 
 
 
 
春も、夏も、秋も、もちろん冬も、その先の春ももっと先の夏も、ずっとずっと、十年後だって、きっと。
私はフェイトちゃんに色んな物を見せたいなって……うぅん、一緒に、見たいなって思うんだ。
この寂しさはきっと、その時のためのもの。
絶対に捨てない、どこまでだって持っていく。
 
 
 
 
「だから……早く帰ってきてね、フェイトちゃん……」
 
 
 
 
いつまでだって、私はフェイトちゃんを待っているから……

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

MAD見てたら書きたくなって書いてみた。短くてすまそ。
まぁあれだ、恋とか愛とか超えちゃう特別な人っているもんだよね、とw
あ、参考MADこれねw→ http://www.nicovideo.jp/watch/sm14801922?mypage_nicorepo

2011/6/23


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