夏の風物詩?














「え、なのはまだ宿題終わってないの?」
「うっ……」
 
 
 
 
局内で一緒になったフェイトちゃんの言葉がぐさっと私の胸に刺さる。
夏休みも残すところあと数日になった八月末、私の宿題は僅かばかり残っていた。
 
 
 
 
「や、ごめ、そういう意味じゃなくて……ほら、なのは早くから手をつけてたから……」
「うー……うん、まぁ、大体終わってはいるんだけどね……?」
 
 
 
 
長期休暇をいいことに、ここぞとばかりに管理局から私達には仕事が入る。
はやてちゃんは捜査に駆り出されてたし、フェイトちゃんもいつもより長い航海に出てた。
当然私にもみっちり教導の予定が入ったし。
だからその分、早めに宿題片づけなきゃ、って皆早くから宿題は進めていた。
……進めてはいんだだけど。
 
 
 
 
「……国語?」
「と、漢文……」
「そ、そっか……」
 
 
 
 
……そう、苦手ってほら、誰にでもあるものじゃない?
国語とか漢文とか古文とか……国語はともかく後者の二つはね、あまり必要ないと思うんだけど……
 
 
 
 
「なのは……」
「うぅ、ごめんなさい……」
 
 
 
 
そんなこと言ってても宿題はなくならないよ、と苦笑するフェイトちゃん。
その通り過ぎて返す言葉が何もない。
 
 
 
 
「あ、じゃあ明日なのはの家に行ってもいいかな?」
「ふぇ?」
「実は私も少しだけ宿題残ってるから、一緒にどうかな、って」
 
 
 
 
そう言って笑うフェイトちゃん。
もしかしたらフェイトちゃんはもう終わってるのかもしれないけど、
私のために提案してくれてるんだって分かるから、すごく嬉しい。
 
 
 
 
「ふぇ、フェイトちゃ〜んっ!」
「わわっ、な、なのは、ここ局内……」
「もぉー! フェイトちゃん大好き!」
「はぅっ……」
 
 
 
 
思わずがばっと抱きつくと、オロオロしながらも抱きとめてくれるフェイトちゃん。
フェイトちゃんの優しさに応えるためにも頑張らないと、だね。
 
 
 
 

 
 
 
 
「……フェイトちゃん、それ、何?」
「えーっと……」
 
 
 
 
翌日、私の部屋にやってきたフェイトちゃんは、大きな模造紙を背負っていた。
 
 
 
 
「フェイトちゃん、まさか……」
「そのぉ……自由研究、がまだだったり……あはは」
 
 
 
 
その一言に軽く目眩がする。
確かに宿題が少し残っている、というフェイトちゃんの言葉は嘘ではなかった。
嘘じゃなかったけど……こ、こ、この時期に自由研究とか……!!
 
 
 
 
「あ、ほ、他の宿題は全部終わってるんだよ? ただその、これだけ忘れてたっていうか、ね……?」
「ふぇ、ふぇ、フェイトちゃーんっ!!」
「ごごごご、ごめんなのはー!?」
 
 
 
 
フェイトちゃん分をチャージして宿題を乗り切るどころか、二人してラストスパートを駆け抜けることになったのでした。

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

八月も残すところあとわずか!
ということでこの時期の学生さんとかが直面してそうな内容で書いてみました。
学生諸君、宿題終わったかい?
キッドはラスト三日で大半を仕上げるタイプでした、あっはっは(ダメじゃん
まぁ間に合わないよりはいいよね!ということでまだ残ってる子は頑張って〜(^^;)

2011/8/28


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