ファ○タ














「フェイトちゃーん、どれにするー?」
「さっさと決めちゃいなさいよー?」
「あ、うん……えーっと……」
 
 
 
 
皆で遊びにきた休日、お昼時になったのでファミレスに入った私達。
食べ物を注文して、皆でドリンクバーを取りに来たのは良いんだけれど……
 
 
 
 
(……うーん、結構種類ってあるんだなぁ……)
 
 
 
 
思ったよりもたくさん数があるジュースやお茶に私は立ち尽くしていた。
セルフサービスと言うのはいいんだけれど、ジュースだけでも数種類あるし、ホットのお茶も含めると、選択肢は意外とある。
熱いお茶、と言うほどの寒さではないからジュースの方に絞るとして……
 
 
 
 
「うーん……」
「何をそんなに悩む必要があるのよ」
「まぁ別に合わへんかったら違うのにしてもええんやし」
「決めかねてるならなのはちゃんとお揃いとかいいんじゃないかな?」
「ふぇ、私?」
 
 
 
 
うんうん唸っている私を早く決めろと急かすアリサ。
他の皆はそれほど気にしてはいないみたいだけど、確かにいつまでも待たせる訳にはいかない。
私はすずかの助言どおり、なのはと同じものを頼む事にした。
なのはのカップの中身は緑色……メロンかな……これだね。
 
 
 
 
「あ、待ってフェイトちゃん、それ……」
「え……?」
 
 
 
 
ぽちっ、とメロンのボタンを押したところでなのはから待ったがかかる。
慌てて手をひっこめたけど、押しちゃったボタンは戻らない。
下に置いたコップの中に緑色の液体がなみなみと注がれていく。
 
 
 
 
「あー……」
「え、え……? わ、私何か間違えたかな?」
「いや、うーん、どうだろう……」
「?」
 
 
 
 
てっきり何か間違いを犯したのかとなのはを見るけど、うーんと首を傾げたなのはもいまいち自信はないらしい。
周りの皆も意味が分からず首を傾げているし……ど、どうしたのかな、なのは?
 
 
 
 
「……ね、フェイトちゃん、それ飲んでみて?」
「え……あ、うん……」
 
 
 
 
一口でいいから、とちょっと急かされるようにして、注がれたばかりのメロンジュースを私は口に含んだ。
 
 
 
 
「……っっっ!?」
「あー……やっぱり。フェイトちゃん、炭酸だめだもんね……」
「あっ……!!」
 
 
 
 
飲んだ瞬間、口とのどにしゅわーっと広がる独特の刺激。
私はあまりこの刺激が得意じゃない。
なのはに言われ、ぱっとジュースのボタンを見ると、確かに『メロンソーダ』と書かれていた。
メロン、には違いないけどソーダも入ってるものなのか。
 
 
 
 
「ばかねー、炭酸ダメなのにメロンソーダ選んでどうするのよ」
「えっと、余計な事言っちゃってごめんねフェイトちゃん?」
「うぅぅぅ……」
 
 
 
 
やれやれと首を振るアリサと、申し訳なさそうにしているすずか。
別に取り返ることが出来ないわけじゃないし、ちゃんと見ないで押した私が悪いんだからすずかのせいでもない。
ただ自分のうかつさにちょっとへこんでたり、もったいないなぁって思ってるだけなんだ、うん……
 
 
 
 
「んー……ねぇフェイトちゃん、ちょっとこっちも飲んでみて?」
「え、だってなのはのもメロン……あれ?」
 
 
 
 
スッとなのはから差し出され、受け取ったグラスは確かにメロンの緑色。
でも私の物よりなぜだか少し、白っぽく濁っていて……口に含むと僅かな炭酸の刺激のあと、それが溶けるように消えた。
 
 
 
 
「あ……うん、これなら飲める、かも……?」
「にゃはは、じゃあそれあげるね。私はフェイトちゃんのメロンソーダをもらうから」
「え、あれ、でも、どっちもメロンソーダ……?」
「ふふふ、秘密はこれだよフェイトちゃん」
 
 
 
 
トントン、とジュースのパネルを叩くなのは。
見ればそこには『メロンソーダ』と『カルピス』の文字。
……え?
 
 
 
 
「私のメロンソーダはカルピス入りの方だったの。フェイトちゃんが頼んだのはこっち、普通のメロンソーダ」
「あぁ……だから見た目と味がちょっと違うんだ」
 
 
 
 
てっきり一種類だけだと思っていたけど、どうやら違ったらしい。
メロンジュースにソーダを入れてるように、更にカルピス入りなんていうのもあるんだね。
 
 
 
 
「私はどっちも好きだから、それはフェイトちゃんにあげるね♪」
「うん、ありがとうなのは」
「にゃはは、どういたしまして♪」
 
 
 
 
ニコニコ笑うなのはにつられて、私も一緒に笑顔になる。
やっぱりなのはは凄く優しい。
 
 
 
 
「私、そういうなのはが大好きだよ」
「ふぇぇっ!? ふぇ、フェイトちゃん!?」
「? どうかしたなのは?」
「あぅ……な、なんでもないの……」
「……?」
 
 
 
 
正直に自分の気持ちを伝えてみただけなんだけど……
赤くなって俯いてしまったなのはに、何か変なこといったかな? と私は首を傾げたのだった。
 
 
 
 
「……で、いつまで続くの、この桃色空間は」
「うーん、お家に帰るまでじゃないかな?」
「せめて料理がくるまでって言ってほしかったわ……はぁ……」

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

てことで実話ネタからですこんばんは☆
今日、あめいろの七色(ナナシキ)さんと原稿の打ち合わせに行った漫画喫茶での一コマから脚色しました。
漫画喫茶ってあれよね、フリードリンクじゃない普通。
で、七色さんがメロンソーダとか炭酸好きなんだわ。
だから一杯目がメロンソーダで二杯目も私がとりに行く時メロンソーダ、またかよ、なんて会話をしたんだけれど。
ふと私は一回目と同じメロンソーダを押そうとして気がついた。
一つ違うのを挟んだ隣にメロンソーダがもう一つあることを。
これはあれか、別物なのか、そういや左上に最初のやつはカルピスとか書いてない?

……ってことで両方ぽちっとなwww

……出てきたものは当然色が違いましたwwww

そして両方持って行ってどう違うのか、と検証を(笑)
結果、まぁようするにカルピス入ってる方が口当たりが良くて炭酸がきつくないなぁ、と分かりました。
まぁ別に私が炭酸飲めないってわけじゃないんだけど、あんまりしゅわしゅわきついものは好きじゃない訳で。
そんなこんなで代わりになのはさんとフェイトさんにちょっと設定を変えた形で表現していただきました。
カルピスメロンソーダ、美味しかったです(笑

2011/9/25


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