行方不明














その事件は急に起こった。
いや、そりゃ事件なんて急に起こるものだけどさ、でも内容によっては原因だってある程度推測できるものじゃない?
なのにその事件に関しては青天の霹靂と言っていい程突然で、しかも理由がまったく分からなかった。
 
 
 
 
事の発端は日曜日。
久しぶりにゆっくりできるお休みが取れて、私はなのはと一緒に遊びに出ていた。
 
 
 
 
「フェイトちゃんとカラオケとか、久しぶりだね〜♪」
「そうだね、楽しみだな。あ、フリータイムでいいかな?」
「うん♪」
 
 
 
 
ちゃんと軍資金も用意したし久々のデート、ゆっくりと楽しみたい。
そう思って昼過ぎからフリーで入って、夜まで歌ったりゲームをしたりして楽しんだ。
途中でお腹が減ったから少しご飯やポテトなんかもつまんだりして。
……そう、ここまでは何も問題なんてなかったんだ……
 
 
 
 
「お会計3,310円になります」
「はい……ん?」
 
 
 
 
フリー料金と中で食べた二人分、長くいた割には安いからフリーっていいよね♪……なんて思いながら開いたお財布。
ぺらっと野口さんだけ三人ばかしこんにちは。
……おや?
 
 
 
 
「……あれ、おかしいな……?」
「フェイトちゃん?」
「私の諭吉さんがいない……」
「え?」
「あ、いや、とりあえず大丈夫……」
 
 
 
 
慌てて野口さん三人と小銭で精算をすませると、お店を出て改めて財布の中を確認する。
……無い。
 
 
 
 
「なんで、どうして……?」
「今日入れたの?」
「うん……ほら、ATMから引き出した明細書……」
「ほんとだ……今日の11時……一万円引き出してるね……?」
 
 
 
 
引き出した記憶もあるし、野口さん達の後ろに諭吉さんを入れ、明細書をしまった記憶もちゃんとある。
手元にある明細書が何よりの証拠だ。
 
 
 
 
「その後お財布出したりは?」
「んー……改札入ってすぐ、自販機の前で一回出したけど……その時は小銭しかいじってないし……」
 
 
 
 
そしてその後はここで財布を開くまで一度も鞄から出したりはしなかった。
 
 
 
 
「電車の中とかですられた?」
「……の割には千円札が残ってるっておかしいよね。やるなら財布ごといくだろうし」
「そっか……そうだね……?」
 
 
 
 
うーん、と二人で首を捻る。
いったいどこでなくなったのか。
可能性があるとすればお金を入れる時、電車が来る前で少し早足で歩きながら入れたから、
その時に指にひっかかるかして財布から落ちてしまったことくらいだろうか。
でもなぁ……
 
 
 
 
「あるかなぁ、そんなこと……?」
「うーん……」
「……とりあえず今日クレジットカード持ってきてないし、コンビニで下ろしていいかな」
「あ、うん、確かそっちにコンビニあるよ」
 
 
 
 
釈然としないが、とりあえずATMが使えなくなる前にお金を下ろさないと何もできない。
今日はぱーっとごちそうしようと思ってたのになぁ……
がっくりと肩を落とし私はコンビニへ向かったのだった。
 
 
 
 

 
 
 
 
「……で、結局見つからなかったわけ?」
「うん……」
「でも明細はあるわけや」
「うん……」
「ちゃんと記帳もしてきたんだよね?」
「うん……ぐすん」
「えっと、元気出してフェイトちゃん?」
「なのはぁ〜……」
 
 
 
 
明けて翌日、もう一度財布も鞄も落ち着いてから探しなおしたけど……結局私の一万円は姿を消したままだった。
注がれる呆れた視線×2と憐みの視線×2……どっちにしろ痛いことに変わりはない。
 
 
 
 
「どこで失くしたかも分からないとか……」
「うっかりもここまでくると極まれり、って感じやな」
「うわぁーん!」
 
 
 
 
やれやれ、と首を振る友人達。
その視線から逃げるように、おいでーと手を広げてくれるなのはの胸の中に私は飛び込むのだった……



 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

実話ですこんばんは。
普通にショックで書きかけの小説が手に着かない大惨事でございますwwww
なのフェイ仕様にはしてますが、概ねこんな感じでした。
どこでいなくなったのか、本当に分かりません。
ぱーっと使う予定だったからいなくなることには違いないですが、見知らぬ誰かの肥やしになるのは嬉しくないです。
……うわぁーん!私の諭吉さーん!!!!!!!(滝涙)

2011/5/10


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