「なのは?」
「フェイトちゃん?」
その日の業務も終えた夕方。
山のように積まれた事務仕事を、内心半泣きで片づけてきた仕事上がり私とバルディッシュ。
いや、泣いてたのは私だけだと思うけど、そんな私が自室まで戻ってきたところで目にしたのは愛しい同居人の姿だった。
あんなに大量の書類を回してくれたはやては憎らしいが、頑張った後のなのははまた格別だ。
とりあえずチューしてもいいですか?
「おかえりなさいフェイトちゃん」
「ただいまなのは、なのはもおかえり」
「ただいまフェイトちゃん……って、なんで迫ってくるのかな!?」
「え? いや、ただいまのチューを……」
「こんなところでしなくていいよ!?」
「あっ」
「え? ……んむっ!?」
別に誰もいないのに、廊下は嫌だと抵抗するなのは。
最近はこんな風にガードが堅い。
この間仮眠室で押し倒してしまったせいだろうか?
でもそれは夜勤明けの私の前でなのはが微笑んだせいであって、けっして私のせいではない。
あの状況で私に我慢を要求する方が間違いだ、うん。
「あむ……ごちそうさまでした♪」
「〜〜っっ!? フェイトちゃん!!」
短いキスを終え、両手を合わせてそう言うと、顔を真っ赤にしたなのはに怒られた。
相変わらず不意打ちに弱い恋人は本当に可愛いと思う。
「誰かに見られたらどうするの!?」
「誰もいないってば」
「そんなのわからな……っ!?」
『えー、業務連絡業務連絡』
「ん?」
「え?」
ぽこぽこと可愛らしいパンチを繰り出すなのはを問答無用で抱き締めていると、近くのスピーカーが急に音を立てた。
そこから流れてきたのははやての声で……
『自室前でいちゃついとるなのはちゃんとフェイトちゃん』
「なっ……」
「ちょ……」
『仕事が終わったんやったら、続きは部屋ん中でやってください。ほなな〜』
風紀っちゅーもんもちょっとは考えてや〜? と、はやてが喋ったところでスピーカーはがちゃんと切れた。
……なるほど、誰もいないけど、確かに見ている人はいたらしい。
って、隊舎内カメラの映像をどうしてはやてが見てるのかな!?
職権乱用だよね、それっ!?
「まったくはやては……なのは?」
「……」
「えーっと、なのは、どうし……」
「ふぇ……フェイトちゃんの……バカーっ!!」
「ちょ、なのは!? なのはーっ!?」
部屋にかけ込んだなのはにガチャっとしっかりかけられたドアのカギ。
叩いても叫んでも一向に開きはしない。
なのはの唇は柔らかかったけど、閉ざされた扉はこの上もなく固かった。
そんな一日。
「ってそんなのやだよ!! 一緒に寝ようよなのはぁーっ!?」
...Fin
あとがき(言い訳) しょうもない内容のSSSですごきげんよう。
いやー、まともな更新がリアルに一か月ぶりとか、ほんとやばいですね、マジごめんなさい(滝汗)
けしてなのはさん達に飽きたわけではなく、単にキッドのエネルギー切れでございます。
なのはさん達も百合も愛してます!
おにゃのこ誰かキッドに充電してー!!(違っ)
まぁそんなわけで活動再開ですがな。
リハビリ書き書きしながら、冬コミに向けて頑張ります!(笑)
2010/11/21著
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