ある日のなのはさん1














新暦75年。
稼働を始めた機動六課において、スターズ分隊隊長の任に就いた高町なのは。
概ね順調なスタートを見せた六課と違い、彼女自身は今、少し困った事態に直面していた。
 
 
 
 
「おはようなのは」
「……おはよう」
「コーヒー入れたけど、飲む?」
「うん……」
「朝ご飯も簡単に作っておいたから」
「そうなんだ……」
「あ、ジャケットの皺ものばしておいたから」
「ありがとう……」
 
 
 
 
等々、なぜだか必要以上に感じる笑顔でなのはの世話を焼くフェイト。
疑うのはよくないと分かってはいても、何かあったのだろうかとなのはが首を傾げることもしばしばだ。
六課が発足する前は会える日なんてほとんどなかったから、その反動だろうか?
そうであれば、浮足立つ気持ちというのはなのはにしても分からなくはないし、極力居心地がいい空間を維持しようとするのも頷ける。
……とはいえ。
 
 
 
 
「……なのは?」
「え?」
「どうしたの、具合悪い?」
「ん、や、そんなことは……っ!?」
「うーん……熱はないみたいだね」
 
 
 
 
ぴと、と合わされたおでこになのはは一瞬固まってしまう。
慌てて身を引けば、なのははすぐ無茶するから心配だよ、なんて苦笑するフェイトが見える。
平気だもん、と首を振るなのはは熱を持った頬をごしごしとこすった。
フェイトの行動自体は、なのはの具合が悪くないだろうかと心配した結果だ、他意はない。
……そう分かっていても、次々発揮されるフェイトの王子様スキルに、さすがのなのはもなぜこんな状況なのかと頭を抱える日々を送っていた。
 
 
 
 
「えと……じゃあ先に行くねフェイトちゃん」
「いってらっしゃいなのは。あとで私も合流するから、無理しちゃだめだよ」
「うん……」
 
 
 
 
心配性だけど優しいフェイト。
フェイトは変わっていないはずなのに、どこか落ち着かない気持ちになる自分はおかしくなってしまったのだろうか。
なのはがそう自問したところで、答えは出ない。
キラッと白い歯が輝いて見えそうな笑顔に、なのはは曖昧に頷くと逃げるように部屋から出てきたのだった。



 
 

...To be Continued

 
 


あとがき(言い訳)

ほのぼの、のちらぶらぶなはずのなのフェイ……だと思われる代物です。
でも今はまだ付き合ってませんよ的な感じです。

2010/9/23


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