当然でしょ。














「……平和ねぇ……」
 
 
 
 
暖かな午後の陽気に、うっかり睡魔とお友だちになりそう。
花の中学二年生、教室で居眠りなんてみっともないぞ、と思いはするが、こうも見事に何もないと睡魔に抗うのは中々に難しい。
 
 
 
 
「ふはははー! 揉んだるわー!」
「にゃー!?」
「ちょ、こら、はやてー!」
「わ、み、皆落ち着いて……?」
 
 
 
 
……何かあるって言ったら目の前のこれくらい。
何やらスイッチが入ったはやてに追い回されるなのはと、更にそれを追いかけるフェイト。
そして止めるべきか見守るべきか、所在なさげに佇むすずか。
ある意味いつも通り過ぎて、いい加減突っ込む気にもならないわ。
 
 
 
 
「ふひょひょひょー、やっぱええなーなのはちゃん」
「ふぇ〜ん……」
「いいからさっさと離れてよはやて!」
「あたっ。……むー、暴力はあかんでフェイトちゃん」
「セクハラも悪いと思うんだけど」
「うぅ、フェイトちゃ〜ん……」
「大丈夫、なのは?」
「すずかちゃーん、フェイトちゃんがぶつんやー、酷いと思わへん?」
「え、ええっと……」
「この価値ある頭脳に支障をきたしたらフェイトちゃんのせいや〜」
「平気だよ、それ以上壊れようなんてないから」
「酷っ!?」
 
 
 
 
なのはの胸に飛びついていたはやてをひっぺがすついでに、その脳天をぽかりと叩いたフェイト。
拳骨なあたりそこそこムカついている証拠だろう。
叩かれたはやてはと言えば、今度は隣にいたすずかに泣きついた。
ちょっとこら、その胸はあたしのよ。
軽いムカつきも手伝って、これ以上壊れようがないと言うフェイトの言葉に、傍観していたあたしも大きく頷いていた。
 
 
 
 
「ちょ、アリサちゃん、今までシカトしとったくせに……」
「事実でしょ。ついでに頭を叩かれたって、どのみち身長はもう伸びないから安心しなさい」
「ふぐっ……う、う、嘘やぁ! 中学二年で頭打ちなんて嫌やぁっ!!」
 
 
 
 
案の定突っかかってきたはやてにトドメのコンボをお見舞いする。
胸はともかく、身長に関しては一人出遅れ感のあるはやて。
綺麗にダメージが入ったらしくガッと頭を抱えて、次の瞬間再びすずかの胸に抱きついた。
アンタ、ホントに懲りないわね。
 
 
 
 
「だからそれはあたしのなんだから離れなさいよ」
「きゃっ!?」
 
 
 
 
どっかのバカを押し退け、すずかを自分の腕の中に引き寄せた。
驚いた表情のなのはとフェイト、おぉーとなぜか感心するはやてが目に入る。
……何よ、悪い!?
いいじゃない恋人なんだから!
 
 
 
 
「じ、実力行使やなんてやるやないかアリサちゃん」
「ア、アリサちゃん……」
「ふん、いつまでもアンタ達に貸し出したりしないわよ」
 
 
 
 
啖呵を切るとすずかの顔がみるみる赤く染まった。
きっとあたしもそうなんでしょうね。
……構やしないわ、本当の事だもの。
 
 
 
 
「見せつけてくれるな〜」
「……いいなぁすずかちゃん」
「えぇっ!? な、なのはのためなら私だって……」
「にゃは、ありがとうフェイトちゃん♪ ……あ、チャイム鳴ったね」
「おろ、ほんまや。ほならなのはちゃんの胸はまた放課後にいただくわ〜」
「あげないって言ってるじゃない!」
 
 
 
 
騒がしかった空気も一転、フェイトの叫びを最後に各々席に戻る。
私も自分の席につくと、先に席に戻っていたすずかと目があった。
その唇が何事かを囁くように小さく動く。
 
 
 
 
「っ……!?」
 
 
 
 
意味を理解した瞬間、引いてきていた血が再び上る。
慌ててすずかから視線をそらす。
……だけど、同じように唇だけで囁いた。
 
 
 
 
『アリサちゃん』
『ん、何よ?』
『あのね……大好き』
『っ!?……バカね、知ってるわ。……当然でしょ』
 
 
 
 
……上の空で取り損ねたノートは、そんな愛すべき彼女に後で見せてもらったのだった。
 
 
 
 
 ◇
 
 
 
 
「ただいまぁ〜、シグナムおるかぁー?」
「おかえりなさい主はやて」
「ん、おるな……ほんならさっそく、胸貸してな?」
「……は?」
「ええやんか、身長は貸してもらわれへんから、胸くらいは貸しぃ!」
「え、ちょっ……!?」
 
 
 
 
きゃぁぁぁーーー!?

……とかいう珍しい悲鳴が八神家に響いた夕暮れ時であった。

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

なぜかなのフェイがアリすずになっていたキッドです、ごきげんよう。
キッドが書くと、自然にアリサさんが男前になります。
きっとフェイトさんがへたれ仕様な分、アリサさんが男前分を吸収してるんですね(笑)
いつかアリすずでまたシリアスちっくな作品も書いてみたいと思います♪

2009/10/31


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