菖蒲湯














五月五日、こどもの日とも呼ばれる端午の節句では、菖蒲の葉をお風呂に入れる風習があります。
俗に菖蒲湯というこの風習は、もちろん私ではなくなのはの故郷、地球独自のものです。
そんなわけで出来る夫は妻に言われるまでもなく、こうして菖蒲の葉を買い出しに来ています。
 
 
 
 
一件目、スーパー
 
 
 
 
……売り切れ
 
 
 
 
二件目、花屋さん
 
 
 
 
「あー、ないですね。八百屋さんの方があると思いますよ」
 
 
 
 
三件目、スーパーその二
 
 
 
 
……またしても売り切れ
 
 
 
 
四件目、八百屋兼雑貨屋
 
 
 
 
「置いてないですねー」
 
 
 
 
五件目、生鮮市場
 
 
 
 
「昨日入った分で最後なんですよー」
 
 
 
 
六件目、コンビニ
 
 
 
 
……あるわけがない
 
 
 
 
「……うぐぅ……」
 
 
 
 
……そんなわけでことごとく空振り。
やっぱり買いに出た時間が遅すぎた。
不甲斐ない夫でごめん、なのは。
 
 
 
 
「……最初のスーパーでアイスでも買って帰ろう」
 
 
 
 
初夏だよもう、って中を延々一時間歩きまわったため汗でちょっと気持ち悪い。
帰って思いっきり涼もうとアイスを買いに最初のスーパーに入った。
 
 
 
 
「カゴ持って……ん?」
 
 
 
 
入ってすぐの花置き場。
目に付いたそこに、さっきはなかったはずの菖蒲の葉がひと束だけ置いてあった。
……なぜ?
 
 
 
 
「延々歩きまわってきた私っていったい……まぁないよりいいけど」
 
 
 
 
その最後の葉菖蒲をアイスと一緒にレジで精算する。
ビニールでくるんで、疲れたけど任務完了、と家路についた。
 
 
 
 
「ただいまぁ〜」
「あ、おかえりなさいフェイトちゃん」
 
 
 
 
家に帰れば愛しいなのは。
君の笑顔で歩き回った疲れも吹き飛ぶよ。
 
 
 
 
「んぉ、おかえりや〜フェイトちゃん」
「え、はやて?」
「見て見てフェイトちゃん、はやてちゃんが菖蒲の葉いっぱい持ってきてくれたんだよ」
「……え?」
「ちょおうちの子らが買いすぎてしもたからお裾分けにきたんよ〜」
 
 
 
 
朗らかに笑うはやてに悪意はない。
でもそういう問題じゃなかったりする。
 
 
 
 
「……」
 
 
 
 
ジャキッ!!
 
 
 
 
「え、ちょ、なしてバルディッシュ……にゅぉわぁ〜っ!?」
 
 
 
 
……結局その日は大量の菖蒲が浮かぶ菖蒲湯となったのだった。 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

なのはトライアングラーお疲れ様でした。
そんなわけでいつもどおり実話ネタSSです(笑)
いや、最後の台無しはなかったですがww
昨日菖蒲湯の日だったので、母に頼まれて買いに行ったんですが、
時間が夕方になっちゃったからどこもなくて……延々一時間以上ぐるぐると。
行くところもなくなって、最初のスーパーでアイス買って帰ろうと思ったら、
なぜかさっきはなかったのに一束あるとかどういう状況?
なんて思いながら買って帰ってきました。
奥に在庫があったか、誰か戻しにきたとかでしょうかね?
任務達成後のアイスはとてもとても美味しかったです(笑)

2010/5/6


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