寝落ちフラグなんか怖くない














「うぅぅ……徹夜で資料整理になっちゃったよ……」
 
 
 
 
ごしごし、と眠たい目をこする。
そうしていないと、本当に両目がくっついてしまいそうだから。
ここが仮眠室や自宅のベッドならそれでもいいんだけど……
 
 
 
 
「さすがに運転中はまずいと思うんだよね……うぉっとっと」
 
 
 
 
中央分離帯にふら〜っと寄って行く車を戻すため、慌ててハンドルを切る。
反動で反対の車線に飛び出して、さらに元の車線に戻るという蛇行運転。
平時なら大事故になりかねない。
 
 
 
 
「でもまぁ、幸い今は誰も走ってないし……」
 
 
 
 
現在時刻は朝の五時過ぎ。
こんな時間に車を走らせているのは、私みたいに帰宅組か、もしくは早朝出勤組のどちらかだ。
いずれにせよ御苦労さまでしかないけれど。
 
 
 
 
「ふぁ……早く寝よ……」
 
 
 
 
そんな風にふらふらしつつも、なんとか無事に家までは帰ってこれた。
昨日帰れなかったからヴィヴィオもなのはも拗ねてないといいんだけれど。
 
 
 
 
「ただいまー……って、誰も起きてないよね」
 
 
 
 
鍵を開けて、そーっと中に入る。
小さい声で一応ただいまだけ言って、コートをかけた。
 
 
 
 
「着替えたらこっそりなのはの横に……」
 
 
「ごぉぉぉぉぉるっ!!!!!」
 
 
「……はい?」
 
 
「やったー! 三点目ー!!」
 
 
「……なのは?」
 
 
 
 
抜き足差し足でリビングを突っ切ろうとした私は、甲高い声に歩みを止める。
音量は絞ってあるし、叫び声自体も大きくはなかったけれど、聞き間違えるはずがない。
今聞こえたのは間違いなく寝ているはずのなのはの声で。
 
 
 
 
「……何してるのなのは?」
「ひょわっ!? ふぇ、フェイトちゃん!? お、おかえり……」
「サッカー……?」
 
 
 
 
リビングのテレビに煌々と映し出されているのは、どうやらサッカーの試合のようだった。
しかもチーム名は……日本?
 
 
 
 
「や、ほら、ワールドカップなわけでして……」
「え……でもどうしてミッドなのに地球の映像が……?」
「それは、えと……買っちゃったりなんかして……」
「……時空間通信アンテナ?」
 
 
 
 
おずおずと差し出された説明書にはそう記載されていた。
あるんだそんなもの、というのが素直な感想。
……いやいやいや、そんなことはどうでもいいんだ。
いや、うん、出費がいいわけじゃないけど、なのはが自分のお金で買ったわけだし……じゃなくてっ!
 
 
 
 
「なのは」
「な、何かなフェイトちゃん」
「今日この後仕事だよね」
「あ、あはは、そういえば、そうだった、かもー……」
「ちゃんと寝たの?」
「……えーっと……」
「なのは」
「ね、寝たよ! 夜寝て、試合時間に合わせて起きたんだもん!」
「何時間?」
「あ、ぅ、えー……に、にじ、かん……?」
「そっかぁー二時間かー……ってダメでしょそれ」
「え、え……えへ☆」
「〜〜〜っ、なのはっ!」
 
 
 
 
そう、私の記憶では今日のなのははお休みではないはずだ。
早朝出勤の日ではないからまだしも、それでも本来の予定起床時間まであまり時間はない。
……にもかかわらず、何しちゃってるのかな、君は。
 
 
 
 
「睡眠削ってまで見てたらダメじゃないなのは!」
「だ、だって、日本戦だよ!? 勝てば決勝トーナメント進出なんだよぉー!?」
「録画でいいよ!」
「生がいいんだよ!? ……あ、やった、勝ったぁーっ!!」」
 
 
 
 
言い争う私となのはの横、テレビの画面では歓声と共に選手達が抱きあっている。
日本が勝利を収めたらしい。
それはいい。
すごくいい。
だけど……
 
 
 
 
「あぁもぉーっ!!」
「買ってよかっ……にゃぁぁっ!?」
「寝るよ! なのは!」
「ちょ、ちょっと待って、まだインタビューが……あーっ!?」
 
 
 
 
もう勝ちはきまったのだからいいだろうに、なのははインタビューまで見る気だったらしい。
けれど我慢の限界に達した私は、問答無用でなのはを抱きあげると強制的にテレビを切った。
そしてそのまま寝室へと直行する。
 
 
 
 
「さ、ちょっとでも寝ようなのは」
「うぅぅ……ふぇ、フェイトちゃんだけ先に……」
「ふーん、疲れて帰ってきた私よりサッカー、しかも終わった後インタビューの方が大事なんだ。へぇー……」
「あぅ……うぐ……フェイトちゃんのいじわる……」
「はいはい、じゃあおやすみなのは」
「むぅ……おやすみ、フェイトちゃん」
 
 
 
 
少し乱暴にベッドになのはを下ろすと、素早くその隣にもぐりこむ。
逃げれないようにしっかり抱き締めてタオルケットをかけると、ようやくなのはも観念した。
そしてその数時間後……
 
 
 
 
「……眠い」
「あたりまえだよ」
「どうしてこんなに眠いの」
「朝までサッカー見てたから」
「どうしてフェイトちゃんまで起きてるの」
「私が起きなきゃ、なのはが起きれないでしょう?」
 
 
 
 
うぐぅ……と眠そうな声で一声鳴いて、
それでもいってきます……と出かけていくなのはは生真面目さんだと思いました。
……さ、私はもうひと眠り、しよ。


 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

勢いだけでなんか書けたよ!!
眠いっ!(バカ)
寝ようと思ってチャンネル回したらサッカーだったよ、三点目リアルタイムで見たよひゃっふーい。
たまにしか思いださないけどなのはさんも日本人だし、パパサッカー好きだしで書いてしまった。
八神家でも大盛り上がりだったらいいなと思いますw
……よし、寝ます、おやすみ!!!

2010/6/25(朝6時過ぎ)


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