笑顔で駆け抜けて














「はい、じゃあ次後ろ向いて」
「あの……」
「あぁダメダメ、動くと歪んじゃうからじっとしてて」
「は、はい……」
 
 
 
 
1月、無事に帰省も終えて、なのはとヴィヴィオとミッドに戻ってきた。
皆へのお土産も持参して戻ってくるなか、なのはの荷物の理由がいまいち分からなかった。
何故にそれを持って帰る必要があるのか、と。
 
 
 
 
「この帯をしめてと……よし、完成」
「うわぁ〜……」
「どう、ヴィヴィオ?」
「すっっっごくいいよ、なのはママ!」
「でしょー? 絶対似合うと思ったんだよね」
「物凄く似合ってますアインハルトさん!」
「あ、ありがとう、ございます……」
 
 
 
 
自信たっぷりに胸を張るなのはと、目を輝かせてアインハルトの手を握るヴィヴィオ。
間に挟まれたアインハルトはどう反応していいか分からないらしい。
どうして新年のお参りも終わったのに晴れ着を、それも二着も持って帰る必要があるのか、その疑問が今日になって解消された。
ヴィヴィオとアインハルトに晴れ着を着せて、ミッドでも新年のお参りにいくつもりだったのだ。
ヴィヴィオが喜ぶからなのだろうけど、娘とその友達の可愛い姿が見たかっただけな気がしないでもない。
……そういえば私が初めて晴れ着に袖を通した時も、なのはがヴィヴィオと同じ反応をしていた気がするし。
遠い昔の面影に、自然と私の顔にも笑みが浮かぶ。
 
 
 
 
『あの……』
『ん?』
『……どうしたらいいんでしょうか?』
『あぁ、えっと……たぶん二人ともその内落ち着くから』
『はい……』
 
 
 
 
視線と一緒に流れてきた念話。
見れば二人とも、先ほどのテンションを維持したままだ。
助けてあげたいところだけれど、水を指すのも気が引けるし、嫌がっているわけではないようなので苦笑でそう返した。
 
 
 
 
「……あ、ヴィヴィオ、時間まずいかも」
「え……うわっ、ほんとだ。リオとコロナに怒られちゃう」
「少し急ぐ……のも難しいですね、この格好だと」
「あ、じゃあ私が車出すよ」
「ほんと? ありがとうフェイトママ♪」
「じゃあ早速……」
「あぁっ、待って待って、皆で写真撮らせて!」
「と、撮るんですか?」
「そ、撮るの。ほらそこに並んで?」
 
 
 
 
待ち合わせの時間がある、とはいえ車ならそう時間はかからない……こうと決めた時のなのはの行動は早い。
私達に立ち位置を指定すると、レイジングハートに撮影を任せてなのはも私の隣に並んだ。
……レイジングハートのメモリに入れて持ち歩くつもりだね、なのは。
後で私にもデータをくれると嬉しいな。
 
 
 
 
『Are you ready?』
「いいよーレイジングハート」
『One plus one?』
「にー!」
 
 
 
 
パシャ!
 
 
 
 
「よし、オッケー!」
「ありがとうレイジングハート!」
「待ち合わせまであと五分です」
「わわっ、い、急ごう!」
 
 
 
 
新年早々、幸せな時間はバタバタと駆けていく。
 
 
 
 
「フェイトちゃん車のキーは?」
「ちゃんと持ってるから大丈夫!」
 
 
 
 
願わくば、これからも君と一緒に駆け抜けられますように……

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

原稿が真っ白けっけなキッドです、ごきげんよう。
……やばいですねww
そして『一足す一は?』とか古いなーと思いつつ書いてました。今皆写真撮る時なんて言ってるんですかね?
先日の閲覧障害でRAGさんに助けていただきました。
そんなわけで一人勝手にヴィヴィオ祭りです。
漫画のVivid軸できゃっきゃうふふです……ふふふふふふ。
原稿やらなきゃなんで短いですが、いくつか短いのをぽつぽつと執筆予定。
漫画軸じゃないヴィヴィオやセクハラマイスターもこっそりUPされてたら笑ってやってくださいww

2010/1/19


リリカルなのはSS館へ戻る

inserted by FC2 system