鍵をかけて閉じ込めて














恋なんてするものじゃない。
 
 
 
 
正直、その一言に尽きる。
うまくいってもいかなくても、好きでよかった、なんて台詞を聞くけれど、
私にはそんなふうには思えない。
 
 
 
 
「めっちゃ不毛やしー……」
 
 
 
 
ましてや望みの薄い……いや、ほとんどないんじゃなかろうか?
……なんて相手に、想いを寄せてなんになる。
ただ自分が辛いだけなのに。
 
 
 
 
「分かっとったはずなんやけどなぁー……」
 
 
 
 
なのにどうして、彼女に惹かれてしまったのだろう。
 
 
 
 
「……ドジ踏んだわ、ほんま」
 
 
 
 
答えはきっと、彼女の優しさに触れてしまったから。
優しさに、その笑顔にいつの間にかガードが緩んだ。
そして気がついた時にはもう、彼女に心惹かれていた。
もしかしたら……なんて浅はかな期待すら抱いて。
 
 
 
 
「んなことある訳ないやん」
 
 
 
 
『皆』に優しい彼女が、『皆』に見せる笑顔を、自分に向けられた時だけ特別だと勘違いしただけで。
自分だけであるはずがないのに、舞い上がって見落とした。
自分の間違いに気づき急速に心は冷え込むのに、彼女への想いだけ無くならない。
いっそ消えてくれたら楽だったのに。
 
 
 
 
「あかん、胃にくる」
 
 
 
 
キリキリと感じる胃の痛み。
でも本当の出所は胸の奥、消えてくれない淡い想い。
こんなに苦しくて痛いのに、好きになってよかったなんて、どうして思える?
それなのに……捨てられない自分が嫌になる。
 
 
 
 
「……終わりなんてわかっとるし」
 
 
 
 
きっといつか、彼女の『特別』を見せ付けられてこの恋は終わる。
痛みと絶望と、ほんの少しの安堵を伴って。
それまで、私は『友人』の仮面で笑うのだ。
だからいつかくるその時まで、消せない想いは心の奥に鍵をかけて閉じ込めて……

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

脈の無い恋はしたくない、とか思ってるくせに油断するとシャッター下ろしそこねるキッドです。
むしろ下ろしたつもりで、実は下ろしきれてなかった時が一番やばい。
シャッター下ろしてますから宣言しといてそうなると、何やってるの自分、とか思います。
まぁそんなこともあるもんです(笑)

さて、一応はやなの、というかはやて→なのは、を目指したはずだったのだけど……
なのはさんが全然出てこないので分かりませんね(汗)
一応はやなのです、とりあえずはやなのです、そのつもりで読み返してみてください(笑)
きっとはやなのに見えてきます(笑)

てか相変わらず原稿終わってない時ほど更新速度が速い自分がダメダメ。
逃避中です、旅に出ます、探さないでください(笑)

2008/10/23


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