「フェイトちゃーん♪」
明るい声で私の名前を呼ぶ愛しい人。
私の恋人、高町なのは。
「う、あ……」
なのに、私はといえばろくに返事も出来ずにいた。
目の前のその状況……いや、正しくは目の前の"ソレ"にどう反応したらいいか分からない。
「な、なのは……」
「なぁに、フェイトちゃん?」
「ど、どうして……」
「ん〜?」
「どうして……ちっちゃいうえにどんぶりに入ってるのぉぉぉぉっ!?」
私の盛大な絶叫にあははー、と笑うなのは。
笑顔がどんぶりによく映える。
……って、だからそうじゃなくて!
「なななな、なんで、どうしてこんな……」
「うーん、なんでだろうねー?」
「ま、まさかまたはやてが……」
「かもしれないねー」
「しかも……あぁぁ、なんで海老天と一緒にご飯の上に……」
「美味しそうでしょー」
えぇまぁ、いつだってなのはは美味しそうだけどさぁ!
……これはさすがにないと思うんだ。
「んー……あ、じゃあきっとあれだよ」
「え、な、なになのは?」
「えっとねー……きっとフェイトちゃんに食べて欲しくてなっちゃったんだよー♪」
「………………」
「……あれ、フェイトちゃーん?」
……え、これ、なんてドッキリ?
食べていいなら食べちゃうよ?
どんななのはだって私なら美味しく……って違う!
ダメだ、落ち着けフェイト・テスタロッサ・ハラオウン……じゃなかった高町フェイト!
ほらあれだ、いくらなのはからお許しが出たってさすがにこの状況は……ぬぁぁぁぁぁっ!!
「フェイトちゃん……私じゃ美味しくなさそうかな?」
「なっ!? なのは、なのはならどんななのはだって私は……」
「私は!」
「きゃあっ!?」
「……きゃあ?」
理性と本能の葛藤けっとばし、起き上がった私の耳に届いたのはなぜだか悲鳴で。
……いや、そもそも起き上がるって?
私、普通にさっきまでたってなかったっけ?
「び、びっくりした……フェイトちゃん、いきなり起き上がるんだもん……」
「……なのは?」
「もぉ、なんの夢見てたのフェイトちゃん?」
ベッドの脇で腰に手を当てて私に顔を寄せるなのは。
エプロン姿と相まって私の妻は今日も可愛い。
「……」
「フェイトちゃん?」
「……なのは」
「どうしたの、大丈夫?」
ボーっと等身大……ようするにいつも通りのなのはを見つめる。
そんな私の様子にどこか調子でも悪いのかと、なのはの表情が心配そうなものへと変わる。
大丈夫だよなのは、私の想いはいつだって変わらない。
君に伝えなきゃいけないことがあるだけなんだ。
「なのは」
「ふぇ、フェイトちゃん?」
「私は……」
◇
「ねぇー、なのはぁー、どうしたのー?」
「…………」
どんどん、と扉を叩くも、開く気配どころか返事すら返ってきそうにない。
なぜだかあの後、二人の愛の巣から締め出された私はこうして幾度となくなのはへと呼びかけている。
「ねぇー、なのはってばー」
「ただいまー、牛乳買ってきたよー……って、何してるのフェイトママ?」
「あ、おかえりヴィヴィオ」
諦めずに呼びかけ続けていると、出かけていたらしいヴィヴィオが帰ってきた。
おそらく朝食時の牛乳が切れていたので買いに行っていたのだろう。
「……今日は何したの、フェイトママ」
「えぇっ!? な、なんでいきなりそうなるの!?」
「だって、どうせまたフェイトママがなのはママに何かしたんでしょ?」
呆れた表情でグサリとくる一撃を入れるヴィヴィオ。
うぅ、さすがはなのはと私の娘、的確なヒット&アウェイだ。
「ち、違うよ!? わ、私はただなのはに言っただけで……」
「言った? 何を?」
「えっと、だから……」
「私は、おっきいなのはもちっちゃいなのはも、例え海老天丼にのったなのはであっても愛してるよ!」
「……って、言っただけで……」
「…………」
「ね、どこもおかしくないでしょ……って、どこ行くのヴィヴィオ!?」
真実をありのまま伝えると、話を聞いていたヴィヴィオは一際大きなため息を吐いて自分の部屋へといってしまった。
え、ちょ、反抗期、反抗期なんですかヴィヴィオさん!?
「なのはぁー……ヴィヴィオぉー……」
その日、私が朝食にありつけたのは太陽と時計の針が上の方にきてからだった……
...Fin
あとがき(言い訳) 元ネタはMAJIHIMAのボ茶さんとこの初夢フェイトさんイラストより。
書けと言われて書いたけど、なんか頭なでなでされてるフェイトさんじゃなくて放置プレイなフェイトさんになっちゃった。
そりゃ選んだイラストのせいでしょうよとセルフ突っ込み。
ていうか一発ギャグで終わらせようとして倍くらいの長さになった。
あ、そもそもこれ全部ひらがなで穴埋めにして送りつけるべきだったんじゃぁ……(漢字テスト的に)
……
ま、そんなわけでなんか書けました。
どんな時でもなのはさんを愛してるフェイトさん。
ていうかなのは様の方書いてUPしなきゃ、わふー!
2009/1/25著
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