シグナムさんも大変です














ある日は、
 
 
「なのはちゃ〜ん、クッキー焼いたんやけど、ヴィヴィオと一緒に食べてくれへん〜?」
「いいの?ありがとう、はやてちゃん♪」
 
 
 
 
またある日は、
 
 
「フェイトちゃ〜ん、カップケーキ作ったんや、なのはちゃんとヴィヴィオと食べてな〜」
「美味しそうだね、ありがとうはやて」
 
 
 
 
さらにまたある日は、
 
 
「ヴィヴィオ〜、はやてちゃん特製のスポンジケーキや、ママ達と食べてな〜」
「うわぁっ!ありがとうはやてちゃん!」
 
 
 
 
……等々、我が主はここ数日、お菓子作りとその配布に余念が無い。

いや、大規模な事件が片付き、ようやく息抜きをされるようになったのかと思えば確かに嬉しい。
しかし、それにしては、いささか頻繁に……主になのは達に配っているような気がするのは、私の気のせいだろうか?
 
 
 
 
「そういえばはやてちゃん、最近よくお菓子を作ってますよね?」
「ん?あぁ、やっぱ家事もええけど、お菓子作りはええ息抜きになるやない?」
「確かにそうだけど……それにしてはうちに持ってくる回数多いよね?」
「そりゃあ、なのはちゃんもフェイトちゃんも、よう頑張ってくれるし、ヴィヴィオも喜ぶやろ?」
「んー、まぁそうだけど、なんか悪いよ……」
「気にせんでええて、趣味でやってるだけなんやから……」
 
 
 
 
全員揃った休み時間の食堂で、主のお菓子作りが話題にのぼる。
かなり頻繁に配っているせいか、なのはとテスタロッサはやはり遠慮があるようだ。
もちろん主はやては、特にこれといって問題にしてはいないようだが。
休み時間を有意義に過ごされるのは、私達としても喜ぶべきことである。
 
 
 
 
「そうそう、ヴィヴィオったらね、はやてちゃんに今度なんかお礼するーって言うの」
「お、ほんまにー?それは楽しみやなぁ〜♪」
 
 
 
 
主はやての腕前からして、当然お菓子の評判は上々で、特に子供のヴィヴィオには受けがいい。
 
 
 
 
「最近はおやつがはやての作ったのじゃないと、ちょっと拗ねてるしね」
「あはは、それは嬉しいやら大変そうやらやなぁ〜」
「うん……ところではやて」
「ん、なんやフェイトちゃん?」
「ヴィヴィオのことなんだけど」
「うん?」
「……まさか今から胸揉むために餌付けしてる、なんて言わないよね?」
「……」
 
 
 
 
和やかに進む会話から一転、周囲の空気に緊張が走る。
いや、まてテスタロッサ、確かに主の……その、胸好き、は並々ならぬものではあるが、いくらなんでもそこまでは……
第一、ヴィヴィオはまだ本当に子供だ。
 
 
 
 
「……」
「……はやて」
「はやてちゃん?」
「……あー……先行予約とか、出世払い、っていうんじゃ……やっぱダメやろか?」
「……はやてぇぇぇぇぇっ!!」
「うひゃぁっ!?」
 
 
 
 
なのになぜか黙ったままの主はやて。
なのはの怪訝そうな顔と、テスタロッサの厳しくなっていく視線に耐えかねたのか、
ポツリと漏らした言葉は、中々に衝撃的なものだった。
テスタロッサに怒鳴られ、逃げ出した主を守るべく、追いかけようとするテスタロッサを制止する。
 
 
 
 
「待て、テスタロッサ!待ってくれ!!」
「待てません!そこをどいてくださいシグナム!!」
「頼む、少々……いや、今回はかなりアレだが、それでも我々の主なのだ!」
「例えそうであったとしてもここは……はっ!?し、シグナムもひょっとしてヴィヴィオを狙ってるんじゃ……っ!?」
「ぬぁっ!?なぜそうなる!断じてそのようなことは無い!」
 
 
 
 
さすがに主の身の危険を感じたため、テスタロッサを止めたのだが、話はなぜかあらぬ方向にそれていく。
確かに出会った頃の、主はやてや、なのはとテスタロッサ達と今のヴィヴィオは重なるものがあるが……
私に幼女趣味と巨乳(未来の)趣味は無い!!断じて無いっ!!
 
 
 
 
「安心しろテスタロッサ、うちのリーダーは揉む方じゃなくて、揉まれる側だ」
「シグナムの揉み心地は抜群!っていつもはやてちゃんが言ってるものね」
「ヴィータ!?シャマルっ!?」
「言われてみれば確かに……」
「テスタロッサっ!?」
 
 
 
 
口を開いたヴィータとシャマルの言葉は助け舟になるどころか、そのままずぶずぶと沈んでいく。
何が悲しくて仲間から泥舟を送られねばならぬのだ!!
しかもそれを聞いたテスタロッサは、納得した顔で頷いている。
何故だ、いつから私のイメージは、胸=主に揉まれている、になってしまったのだ。
 
 
 
 
「……はっ、それどころじゃなかった、早くはやてを追いかけないと!!」
「あ、おい、テスタロッサ!?」
「いいじゃねぇか、いつものことなんだからほっとけよ」
「はやてちゃんも、フェイトちゃんも一汗かいたら戻ってくるわよ」
 
 
 
 
我に返るとテスタロッサは、二つ名に違わずまさに閃光のごとき速さで駆けていく。
ヴィータもシャマルも慣れっこなせいか、静観を決め込むつもりらしい。
私には泥舟を送ったくせに……
 
 
 
 
「あ、わ、私はシグナムさんの胸、大きくて素敵だと思います!」
「なのはちゃん……」
「なのは、おめーそれ、多分トドメだぜ?」
「へっ?え、あ、あれ?」
 
 
 
 
唯一送られるなのはからの声援。
清々しいまでに、一刀両断された気分になった瞬間であった。

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

巷ではヴィヴィはやがちょっとした流行らしいです。
うちもヴィヴィオとはやては書きやすいので、一緒に登場させたりはしてますが、CPでは多分書きません。
きっと某TOMさんが元気よく、書き連ねてくれると思うから(笑)
まぁあれですよ、うちでやるとしたら皆様の予想の斜め上か下をいって、はやヴィヴィの方だと思います(笑)
供給が少ない作品を書く!がキッドのクオリティ。なのはさんとフェイトさんは別ですが。

まぁとにかく師匠はおっぱいマニアには間違いありません。
ごめん、シグナムさん。なんか一人不憫な作品になっちゃったよ(苦笑)
今度出すときは、もうちょっと幸せにするからね(笑)

そういえば、そのTOMさんとはほぼ私がなのはを始めた頃からのお付き合いなのですが、
未だにキッド、Web拍手とブログコメント以外での連絡方法を知りません。
リリマジでお会いできると思うので、それまでに聞いとこうかな、と思いつつまだ書き込んでなかったり(苦笑)

というわけで、TOMさんメアド教えてくださーい!(声を大にして)
などとラブコールをしてみる(笑)……いや、TOMさんがこれを見ない可能性とか、返事くれない可能性の方がきっと高い(苦笑)

つーか、もはや後書きじゃなくて私信だし(笑)

2008/5/12


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