大人の階段?














「…………」
「ん?」
「フェイトちゃん」
「何、なのは?」
「あのね」
「うん」
「とりあえず今すぐ脱いで?」
「ぶはっ!?」
 
 
 
 
なのはの家に遊びに来ていた昼下がり。
時折おしゃべりをしながら、二人でまったりと過ごしていた。
そう、今さっきまでは……
 
 
 
 
「ななななななっ……」
「え、ちょ、どうして逃げるのフェイトちゃんっ!?」
 
 
 
 
お茶を噴くどころの騒ぎではない。
さっきまで普通にしゃべっていたなのはの思考が、なぜそんな方向に向いてしまったのかは知らないが、
ボーっとしていては貞操の危機だ。
私は慌ててなのはから距離をとった。
 
 
 
 
「ふぇぇ……フェイトちゃん、どうしてぇ……」
「あぅ、えぅ……だ、だってそれは……」
 
 
 
 
どうして、と言われても困る。
なのはのことは好きだけど、その、そういうことはもう少し大人になってからでもいいと思う。
だからこうして自らの貞操を守るため……
いや、まぁ、ぶっちゃければ遅かれ早かれなのはに捧げることにはなるとは思うのだけども。
 
 
 
 
「むー……いいもん、抵抗するなら……こうだぁーっ!!」
「え、ちょ、キャアァーーーー!?」
 
 
 
 
殺気に近いものを感じ、急いで逃げようとするが一瞬なのはの方が早かった。
ガバっと襲い掛かってきたなのはに捕まり、カーペットに押し倒される私。
あぁごめんなさい、母さん、リニス。
フェイトは人より早く、大人になります。
 
 
 
 
「……」
「……っ」
 
 
 
 
私は覚悟を決めて、ぎゅっと目を閉じた。
 
 
 
 
「……」
「……」
「……」
「……なのは?」
「……やっぱり」
「……え?」
 
 
 
 
けれどいつまで経っても訪れない、その、諸々の感触。
不思議に思い目を開くと、私のシャツを捲ったまま私のお腹を凝視しているなのはが目に入る。
そうこうしているうちになのはが呟いた言葉『やっぱり』。
やっぱり、などと言われても、シャツを捲られた状態でそんなことを言われる覚えなんて私には無い。
私が考えあぐねて首をかしげていると、なのはの手が私のお腹をスルリと撫でた。
 
 
 
 
「ひゃぅっ!? な、なのは!?」
「うー……」
 
 
 
 
するんだかしないんだか、よく分からない状況下での突然の刺激に、思わず声を上げてしまう。
けれどやはりなのはは先に進むわけでもなく、私のお腹を撫でながら唸り続けている。
私はもう何が何やら……
 
 
 
 
「フェイトちゃんってさ」
「う、うん」
「お腹、ぺったんこだよね……」
「……うん?」
 
 
 
 
やっと普通にしゃべってくれたと思ったら、なのはから出たのはそんな言葉で。
じっと私を見つめる瞳は、何やら恨めしそうに光っていた。
 
 
 
 
「えと、あの……」
「うー……いいなぁ……」
 
 
 
 
いいなぁ、いいなぁ、と繰り返しながら私のお腹を撫でるなのは。
確かに私のお腹は、なのはを守るためにと鍛えているため、同年代の女の子よりは少し締まっているかもしれない。
人種の違いみたいのもあると思うし。
だからといって、なのはのお腹が出っ張っているわけではなく、いやむしろ今ぐらいがちょうどいいというか……
 
 
 
 
「うーん、やっぱり私もフェイトちゃんみたいに鍛えようかなぁ……」
「え、ちょ、だ、ダメだよなのは!」
「ふぇ、フェイトちゃん?」
「私はなのはのお腹が大好っ……いや、無理をしないありのままのなのはが一番好きだよ!!」
 
 
 
 
バっと身を起こし、なのはの両手を握ると想いを叫ぶ。
そうとも、私は今のそのままななのはが好きなんだ。
もちろんどんななのはであっても愛せる自信もあるけれど。
だから、誓って抱き心地がいい今のままでいて欲しい、なんてことは思っていない。
 
 
 
 
「にゃは、そっか、ありがとうフェイトちゃん」
「はぅ、や、その……うん」
「えへへ、あ、お菓子の追加と飲み物持ってくるね♪」
「え、あ、うん……」
 
 
 
 
私の想いが通じたのか、なのははあっさり納得すると部屋の外へと出て行った。
はぁ〜〜〜〜……と、大きくため息をつく私。
純粋というかなんというか……私が邪なだけだとは思いたくは無い。
 
そんなこんなで、私となのはが大人の階段を上るのは、まだもう少し先のことになりそうです……

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

久々に短編更新ですね。
忙しいですが、生きてますよ、キッドですよ、ごきげんよう(笑)
や、ここんところくに更新できてなくてごめんなさい。
それでも日記くらい読むか〜、的に来てくださってる皆様、ありがとうございますm(_ _)m

一応キッドの方では入稿に関してはほぼ終わりなので、後は虎の穴さんの事前発注申し込みと、
夏コミへの同人誌の発送手続き等がメインになってくる形です。
……ま、仕事が終わるのが夜10時過ぎとかなので、とてものんびりとはやってられないわけですが。
え、じゃあなんでゲームしてるかって?
そんなの逃避に決まってるじゃないですか(笑)ちなみに、仕事と更新の時間は削れないので寝る時間削りました。
寝ろ、と皆に怒られました、うん、これからは寝ます(笑)

で、とりあえず今回の作品について、久々に勢いのまま書き綴りました(笑)
エロスではなくギャグ仕様で書こうと思ってて、なんとなくこんな流れになりました。
マッハで書いたので、製作時間一時間少々、といったところでしょうか。
いつもこんなに早いといいんですけどね〜……時間の無いときほど作業スピードが上がるのは世の常ですよ(苦笑)
……そしてなのはさんのお腹ならぷにぷにでもいいけど、
自分のお腹が摘めるのは許せないキッドです……だって、だってぇ……(泣)

まぁそんなわけで、忙しくも楽しむことを放棄せずにこれからもやってまいりますので、
今後もてきとぉ〜……に、キッドにお付き合いくださいませ〜(キ^^)ノ
てか、夏コミはスペースに遊びに来てちょ!!(笑)

2008/8/7


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