レッツクッキング!

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
部隊長といえど、年がら年中仕事をしているわけではない。

……いや、圧倒的に仕事の量は多いし、それを休みをおしてまでやってしまうこともある。

とはいえ、JS事件や、その事後処理もあらかた片付いた今は、休日くらいなら普通にとれるようになってきていた。
 
 
 
 
「ん……あー……平和やなぁ……」
「平和ですねぇ……」
「いいことなんやけどなぁ……」
「リインもそう思いますぅ……」
 
 
 
 
で、いざ休日となると……実はすることが無かったり。
普段出来ないことをしよう、と思っても、家事全般は普段から分担してやっているので、大して溜まっているものは無い。
やりたいことも、探せば無くは無いと思うのだが、そうまでして何かするのも違う気がする。
結果、私とリインはたまの休日を、ソファでだらだらと過ごしているのであった。
 
 
 
 
「まぁこれはこれで……」
「はやてちゃん!」
「んぉっ!?」
 
 
 
 
お昼ごはんの時間も過ぎ、満腹も手伝って微妙にうとうとし始めた。
とそこに、ドアを開けて転がりこんできたのは、親友達の愛娘。
 
 
 
 
「んー、どないしたんヴィヴィオ?」
「あのね、あのね……」
「うん」
「ヴィヴィオに、おりょうりをおしえてください!!」
「……んぁ?」
 
 
 
 
ぎゅ、っと両手の拳を握って力強く言うヴィヴィオ。
聞けば相変わらず忙しいなのはちゃんと、フェイトちゃんに何か作ってあげたいんだとか。
ええ娘や、ほんまにええ娘や。
 
 
 
 
「そやなぁ〜、それやったら簡単なところで、ホットケーキとかどうや?」
「ホットケーキ?」
「あ、いいですね、リインもホットケーキ大好きです♪」
 
 
 
 
料理というか菓子というか、ちょっと微妙な気もするけれど、簡単に作れて単品で楽しめるのはこれだろう。
失敗しても焦げの部分を剥げば、中は普通に食べられるし、大失敗とかになるような料理ではない。
シャマルとかがやったら、ちょおどうなるかは分からへんけど……
 
 
 
 
「やってみるか?」
「うん♪」
 
 
 
 
ヴィヴィオはやる気満々な顔で大きく頷く。
私はヴィヴィオの頭を撫でると、立ち上がってキッチンで必要な道具をそろえていく。
タマゴに薄力粉にバターとお砂糖、後はボウルに泡だて器とフライパンでOKだ。
 
 
 
 
「ほんならヴィヴィオまずはタマゴ割って、黄身と白身に分けてな?」
「うん。えいっ」
「お、うまいうまい」
 
 
 
 
パカッとタマゴを割ったヴィヴィオは、器用に黄身と白身を分けると、Vサインを突き出した。
なるほど、シャマルよりずっとセンスがええわ。
 
 
 
 
「はい、じゃあその白身を固くなるまで泡立ててください」
「は〜い」
「ヴィヴィオはシャマルより上手いですね〜。普段なのはさん達のお手伝いをしてるですか?」
「うん、ちょっぴりだけだけど」
 
 
 
 
ヴィヴィオの手つきは、なかなか様になっている。
きっと部屋でもママ達の役に立とうと、こんな風に一生懸命なのだろう。
この分ならちょっと手伝ってあげるだけで、大丈夫そうだ。
 
 
 
 
「んー……はやてちゃん出来たよ♪」
「どれ……うん、ええ具合やな。じゃあそこに黄身と砂糖を入れて、しっかりかき混ぜます」
「うん♪んっと……これくらい?」
「よしよし、ほんなら次はその上に薄力粉を篩って、ちょお粘つくくらいまで混ぜます」
 
 
 
 
まぁほんとなら分量を量って、ついでに生地をねかせたりうんたらかんたらとあるけれど、この際めんどくさい部分は省略。
簡単に作ったって、意外と美味しく出来るのがホットケーキのクオリティや。
 
 
 
 
「あー、まぁ大体そんなもんでええやろ。後は溶かしバターを少し入れて混ぜたら、フライパンや」
「うん。はやてちゃんひのつよさは、どれくらい?」
「そやなぁ、弱火と中火の間くらいでええよ。流し込んだら蓋をして少し待つんや」
 
 
 
 
まごつくことも無く、生地を作ると、フライパンに流し込んでいくヴィヴィオ。
元々好奇心旺盛なタイプだし、教えたら料理上手になるかもしれない。
今のうちに仕込んでおこうかと、とも思う。
きっとヴィヴィオの手料理に涙を流して喜ぶであろう、フェイトちゃんあたりも賛同してくれると思う。
 
 
――なんて考えつつ数分後――
 
 
「お、ええにおいがしてきたな。そろそろひっくり返してもええんやないかな?」
「よぉ〜し……えいっ!」
「わっ、上手いですヴィヴィオ!焼き加減も狐色で美味しそうですね〜♪」
「えへへ」
 
 
 
 
フライ返しを構え、ホットケーキの下に滑り込ませるとヴィヴィオは綺麗にひっくり返した。
焼き加減も上々で、美味しそうや。
いやはや、真っ黒に焦がした挙句、シグナムの頭の上に吹っ飛ばした湖の騎士とは段違いやな、ほんま。
 
 
 
 
「これなら裏面に色がついたらええやろ、二人ともお皿出してな〜」
「うん♪」
「はいです♪」
「じゃあそれをフライパンの横に置いて……お、そろそろいい感じや……さ、ヴィヴィオ、後はお皿に載せるだけや」
「うん、よいしょっと……できた!」
「上をラップで包んでっと……よっしゃOKや。早うママ達のところに持ってったり?」
「うん!ありがとうはやてちゃん、リインちゃん!」
「転ばないように気をつけるですよ〜」
「はぁ〜い♪」
 
 
 
 
こんがりと両面が狐色に焼けたホットケーキを皿に移すと、冷めないように軽くラップで蓋をする。
後はヴィヴィオがなのはちゃん達と食べるだけや。
 
 
 
 
「なんや、小型の台風みたいやったなぁ〜」
「そうですね〜、なのはさん達よろこんでくれるといいですぅ」
「そら、喜ぶやろう?フェイトちゃんなんか、アレは絶対泣くで」
 
 
 
 
いや、あれはなのはちゃんだって、ぐっとくるはずだ。
ヴィヴィオが途中で転ばないかがちょっと心配だったが、
無事について、美味しくたべさせてもらったと、後でなのはちゃんが教えてくれた。
なんともいきなりや展開やったけど、私らは楽しかったし、ヴィヴィオやなのはちゃん達にも喜んでもらえて何よりや。
こんな休みも、たまにはええよなぁ。そう思うやろ?

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

ホットケーキは簡単で美味しいです(ぇ)
キッドが先日、ホットケーキを作ったがために生まれたこのSS、相変わらずヴィヴィオがメインだと癒し系です。
ほのぼのだね〜、って感じで♪
ちなみに、作り方はほぼそのままキッドがやってるやり方です。
手早くやれば、30分くらいでささっと作れる、お手軽おやつに最適なんです(笑)
キッドと同じチョコ好きな方はチョコ混ぜても美味しいですよ〜(笑)

……カロリーは高くなるけどね(汗)

2008/5/7著


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