暑くて熱くて?














「暑い……」
 
 
 
 
目覚めとともにポツリと呟いた言葉は、現在の私の状況を一言で表していた。
すなわち、本当にただ暑いのだ。
 
 
 
 
「んー?なんでクーラーついてないの〜?」
 
 
 
 
おかしい、確かにばっちりとクーラーをきかせて寝たはずだ。
今ごろ北海道並に涼しくなった部屋で昼寝を満喫してる予定だったのに……
 
 
 
 
「うー……」
「あ、フェイトちゃん起きた?」
「なのは……?」
 
 
 
 
クーラーが切れてるならつけなおせばいいだけだけど、ベッドから起き上がれずうだうだするだけの私。
その時、部屋の扉が開くとなぜかなのはが顔をのぞかせた。
 
 
 
 
「翠屋の常連のお客さんからスイカもらったの。今リンディさんに冷やしてもらってるからね」
「……」
 
 
 
 
スイカは嬉しい。
なのはがいるのも嬉しい。
でも今は私を冷やして欲しいのでどこか素直に喜べない。
 
 
 
 
「……なのは」
「ん?」
「クーラー……」
「ダメだよ、フェイトちゃん設定温度下げすぎだもん」
「うぅ……」
「今だってかなり冷えてるよ、ほら……」
 
 
 
 
ぺたぺたと私の腕を叩くなのは。
なのはの手の暖かさから自分の腕の冷たさを知る。
だけど、代わりになのはが触れた部分からどんどん熱が広がっていく。
 
 
 
 
「ダメだよフェイトちゃん、こんなに身体冷やしちゃ」
「なのは……」
「え、ちょ、フェイトちゃんっ!?」
 
 
 
 
私はなのはの手を掴むとこちらへ向けて強く引く。
突然のことにバランスを崩したなのはは、私の上に覆いかぶさるようにして手をついた。
 
 
 
 
「あ、危ないよフェイトちゃん……」
「ん、ごめん……」
 
 
 
 
ごめん、なんて謝りながらも、私の腕は起き上がろうするなのはの首に絡んで、それを阻止する。
 
 
 
 
「えーっと、フェイトちゃん?」
「なのは……しよ?」
「すっ……って何言い出すのフェイトちゃん!?」
 
 
 
 
真っ赤な顔で言うなのは。
でも私は暑くてしょうがない。
 
 
 
 
「なのはが触れたから余計暑くなっちゃったんだよ? ……責任とって?」
「……いいよ、後で後悔したって知らないからね」
 
 
 
 
なのはの瞳が細められてギラリと光る。
まるで獲物を狙うハンターみたい。
 
 
 
 
「うん……して、なのは……」
「途中で止めてなんかあげないからねフェイトちゃん」
「平気だよ……んっ」
 
 
 
 
尚も誘うと噛み付くような勢いで口付けられた。
自分がなのはの獲物であると認識されたのを感じ、ざわりと生まれる怪しい官能。
 
 
 
 
「ん、ふ……フェイトちゃん」
「なの……は、んんっ」
 
 
 
 
深い口付くと濃厚な愛撫を全身に受けながら、私はなのはが与えてくれる快感の海へと沈んでいった。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
「……暑い」
 
 
 
 
ポツリと漏らした言葉は先ほどと全く同じもので、私の、いや私達の状態を的確に表したものだった。
 
 
 
 
「凄く暑いよなのは……」
「だから後悔しても知らないって言ったのに……」
 
 
 
 
あの後激しく燃え上がってしまった私達は、クーラーもつけずに何度も愛し合ってしまい、
気がつけば暑い部屋の中でやたらと暑い身体を横たえているのであった。
 
 
 
 
「うー……」
「あ、フェイトちゃんクーラー……」
「だって、暑いよ……?」
「う、うーん……じゃあ28度ね?」
「うん」
 
 
 
 
あまりの暑さになのはの了承を得てクーラーをつける。
その設定温度……24度。
 
 
 
 
「うん涼し……って、寒っ!ちょ、なんか風冷たいよフェイトちゃん!?」
「うん……でもきっとすぐにこれでよくなるよ」
「いや風邪引いちゃっ……フェイトちゃんっ!?」
 
 
 
 
直接肌に当たる冷気に、クーラーのリモコンへと手を伸ばそうとするなのは。
そんななのはの腕を掴むと、私はその手をベッドへ縫い付ける。
そそるなぁその顔……
 
 
 
 
「さあなのは、今度はなのはの番だよ」
「ふぇぇっ!?」
「大丈夫、この調子ならクーラーの最低設定温度だって見れるよ」
「そ、そんなの見たくなっ……ふむぅっ!?」
 
 
 
 
抵抗するなのはの口を塞ぎ、その身体に溺れてく。
私を愛してくれる時のなのはも、私が愛してる時のなのはも両方好き。

……え、クーラーの最低設定温度が見れたのかって?

さぁ、それは秘密だよ。
私のなのはは私だけのものなんだからね。
 
 
……さすがにリンディ母さんに怒られたりとかもしたんだけどね……ははは……はぁ。

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

逃避じゃないよ、逃避じゃないんだからね! と言い張ってみる(笑)

印刷会社さんのトラブルで搬入数があぶぶぶっ、とか泣きそうなキッドですごきげんよう(苦笑)

まぁ詳細は日記を見ていただくとして、状況は芳しくないです。
なんつぅかもう……ねぇ(- -;)
なんとか一冊でも多く搬入していただくことと、今後の対応をきちっとして欲しいところです。
その辺の更新と告知は随時しますので……いや、サークル参加のコミケ本番までもう後2日ですけどぉ(苦笑)

で、SSについては本当に逃避じゃないですよ?
ポプルスからの事故連絡が来る直前に書き上げてたやつですから。
魂が空飛んだせいでUPが少し遅れただけです。てかゆぃなさんとネタかぶった(笑)
シチュは違うし、私はフェイトさんの誘い受けを書きたかっただけだからまぁいいかと思いつつ(ぇ)
ただでさえ暑いのに余計暑くなったじゃねぇかー!! って言ってもらえたら最高ですね(笑)

2008/8/15


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