届け!愛のスマッシュ!

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「いくよ、フェイトちゃん!」
「うん、なのは!」
 
 
 
 
青い空、白い雲、見事な秋晴れの下、
なのはの提案で、ちょっと身体を動かすことにした私達。
 
 
 
 
「ていっ!」
「やっ!」
 
 
 
 
持ち出したのは一組のラケットとボール。
そしてそれぞれのテニスウェア。
 
 
 
 
「たぁっ!」
「まだまだっ!」
 
 
 
 
そしてラリーが順調に続くなか、発生したチャンスボールを、
私は容赦なく、ライン際に向けスマッシュした。
 
 
 
 
「それっ!」
「にゃぁっ!?」
 
 
 
 
ボールは、伸ばしたなのはのラケットをすり抜け、見事にコート内に決まる。
 
 
 
 
「うぅぅ・・・・フェイトちゃん容赦ない・・・・」
「ふふ、手加減なし、って言ったのはなのはだよ?」
「むぅ、そうだけど・・・・」
「それとも、やっぱりハンデ付けてあげようか?」
「あぁっ!馬鹿にしてるでしょフェイトちゃん!うぅー、絶対私が勝つんだからぁー!」
「私だって、そう簡単には負けないよ、だって・・・・・」
 
 
 
 
これが普段なら、なのはの機嫌を損ねないように、と考えたりもするのだけど、
こと、勝負となれば簡単には譲れない。
何より、今日は・・・・・
 
 
 
 
「勝って、絶対になのはとイチャイチャするんだからっ!!!」
「・・・・恥ずかしいから叫ばないでよ、フェイトちゃん・・・・・・」
 
 
 
 
そう、今日の勝負にはある賭けをしているのだ。
それは負けた方が、勝った方の言うことを一つ聞く、というものだったりする。
 
 
 
 
「今日だけは譲れないよ!なのは!」
「気合入りすぎだよ、フェイトちゃん・・・・・」
 
 
 
 
普段からなのはとは一緒にいるけれど、
それでもまぁ、お願いするのが少々はばかられることは多々あるわけで・・・・
しかし!この勝負に勝利すれば、そんな常識とか倫理とかの垣根をマッハで越えられるのだ!
この千載一遇のチャンス!ものにしないわけにはいかない!!
 
 
 
 
「ほんでなのはちゃんに<自主規制>や<自主規制2>なことをしたり、されたい〜と」
「そう、それはもう色々とっ・・・!って、はやて、カメラ構えて何してるの?」
「なのはちゃんのすこー・・・・いや、華麗なプレイを保存しとこ思うてな」
「いいけど・・・・後で没収するからね、それ」
「ちょっ、それは横暴ってもんやろフェイトちゃん!?」
 
 
 
 
はやてから、抗議の声があがるが無視。
他のことならともかく、なのはのことに関しては譲れない。
何撮ってるかなんて、その緩みきった顔見てればすぐ分かるし。
 
 
 
 
「えいっ!」
「え、ちょっ!?」
「ふふふ、油断大敵だよ、フェイトちゃん」
 
 
 
 
そんな風にはやてに気を取られている隙に、なのはのスマッシュがコートの中に突き刺さる。
う、ダメだダメだ、ちゃんと集中してないと、私のスペシャルパラダイスな計画が水泡に帰してしまう。
昔は運動を苦手としていたなのはだけど、今ではそこそこ何でもこなすし、
なにより空間把握能力においては、魔法戦といい元々群を抜いている。
テニスでは余程のことが無い限り、負けはしないと思うけれど、油断は禁物だ。
 
 
 
 
「まだまだ、勝負はこれからだよ、なのは!」
「望むところだよ、フェイトちゃん!」
 
 
 
 
なんて感じに、傍から見たらちょっと馬鹿馬鹿しいくらいに、
盛り上がっていたりするのだけれど、私達はいたって真剣だ。
その後も一進一退の攻防が続いて・・・・というか、続けさせられている。
理由はこれ。
 
 
 
 
「やぁっ!」
『おおっ、なのはちゃんの胸が!』
「はぁっ!」
「くぅっ!」
『ああっ、おしい!もう少しでスカートがっ!!』
「・・・っ!はやてぇぇぇぇぇっ!!!」
 
 
 
 
写真を撮りながら、いちいち私に思念通話を送ってくるはやてに、
これでもかと邪魔をされ、とてもじゃないが集中なんて出来なかったのである。
多分、後で没収するって言った腹いせなんだろうなぁ〜・・・・
 
 
 
 
「気にしたらあかんて、フェイトちゃん」
「気にするよ!!」
「まぁまぁ。ところで、どーでもええけど、今のでマッチポイントやで?」
「え・・・・あっ!!」
 
 
 
 
そしてついに、私はマッチポイントまで追い詰められていた。
それもこれもはやてが・・・・・!いや、今は過ぎたことを言っていてもしょうがない。
それにまだ、ここを私が取り返せば、逆転も不可能じゃない!
 
 
 
 
「たぁぁっ!!」
「はぁぁっ!!」
 
 
 
 
その後は凄まじいラリーの応酬が続く。
私の方が優勢だけど、なのはもよくついてきている。
僅かなずれも許さない精密射撃のごとく、ボールが両コート内と飛び交う。
そうこうしているうちに、私は若干甘くなったなのはのボレーをスマッシュしようと前に飛び出し、そして・・・・・
 
 
 
 
『おおっ!なのはちゃんピンクやぁーーー!!!』
「っっっ!!!」
 
 
 
 
横殴りの強烈な念話につられ私が見たものは、迫り来る黄色いボール、ではなく、
風に舞うなのはの白いスカートと、その下のピンクのアンダースコートだった。
 
 
 
 
「へぶっ!!」
「ふぇ、フェイトちゃんっ!?」
「あちゃぁ〜・・・・・」
 
 
 
 
一瞬のパラダイスの後、動きが止まった私にテニスボールが直撃する。
どおっ、と倒れ伏した私になのは達が駆け寄ってくる。
 
 
 
 
「フェイトちゃん大丈夫!!?」
「生きとるかぁ〜?」
「う・・・だい、じょう、ぶ・・・・・・うっ」
「フェイトちゃーんっ!!?」
 
 
 
 
試合に負けて勝負に勝った、っていうのかな、これ。
なんて、頭の下に感じるなのはの太腿の感触と共にそんなことを思いつつ、
私の意識はブラックアウトしていくのであった・・・・・

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

ども、アニメディア10月号にテニスシーンがあったので、書いてみたんですが・・・・・
あれ、なんかイチャイチャじゃなくてギャグで終わっちゃったよ(汗)

最近はイチャイチャっていうより、この二人は家族のほのぼの系が多かったので(作者がヴィヴィオ好きなため)
ちょっと久しぶりに甘いの書きたいな〜、って思って書き始めたんですが・・・・見事にオチがついちゃったよ(笑)
いや、フェイトさんが幸せそうなので、いいっちゃあいいんですが(笑)
ていうか、呼んでもいないのに、出演している師匠が凄いです。どっから来たんでしょう?(^^;)

あ、タイトルはもろアニメディアからのパクリです(をぃ)
本当はヴィヴィオに届け!愛のスマッシュ!!だったんだけど、
今回ヴィヴィオだしてないんで、省いちゃいました。

いや、甘ったるいのも書きたいんだよ?
ただそうすると、二人のうちどっちかがR以降に突っ走っちゃうもんだから(ぇ)
え、私の脳内のせい?うーん、否定できないね(笑)

200710/20著


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