ふとした時に感じる寂しさ。
それは朝の目覚めた時だったり、夕暮れの帰り道だったり。
気付かないうちに忍び込み、そしてまた消えて行く。
大抵は、ただそれだけのもの。
だけど時々、囚われたままどうしようもなくなってしまう。
本当に、時々・・・・そう、ちょうど今日のように。
「・・・・」
放課後の教室、一人でぼーっと過ごす。
気にせずに帰ってしまえばよかったのだけれど、なんとなく、足を止めてしまった。
「はぁ・・・・」
誰もいない教室。
放課後なんだから、当たり前だ。
だけど、世界に一人取り残されたような、そんな錯覚に陥る。
「このまま独りぼっちなのかな・・・・・」
「・・・・何、阿呆なこと言うてるんよ」
「っ!?は、はやてちゃん!?」
口から漏れたのは独り言のはずだった。
それにどこからともなく応えられ、慌てて振り向くとそこには、呆れた顔をしたはやてちゃんがいた。
「え、あれ、なんで・・・・・」
「なんでって、今日は休んだ分の課題提出があるから、先帰っとってええよ〜、て言うたやんか」
「・・・・そうだっけ?」
「そうや」
ぼけとるん?なんて突っ込まれるけど、
私は聞いた覚えが・・・・あ、そういや電話してたっけ。
「なのはちゃんこそ、皆と帰らんかったんか?」
「ん、なんか、ね・・・・」
そう聞かれて、言葉を濁す。
ただなんとなく寂しくなっちゃったなんて、どう説明していいか分からなかったし。
当のはやてちゃんは気にした様子もなく、人差し指を立てるとチッチッチッと振った。
「あかんなぁなのはちゃん、こういう時は『はやてちゃんを待ってたんだよ』くらい言うてくれへんと」
「あ、ご、ごめんはやてちゃん」
「いや、そない慌てることともちゃうけどな」
茶化したように言う、はやてちゃんの言葉にちょっと慌てると、苦笑混じりに返された。
「まぁええわ、ほんなら私は帰るけど、なのはちゃんも一緒せえへん?」
「あ、うん、一緒に帰ろう、はやてちゃん」
そして、一緒に帰ろうと言ってくれるはやてちゃん。
私には、もちろん断る理由はない。
逆にここから離れる理由が出来て、よかったくらいだ。
「じゃあ行こう、はやてちゃん」
「・・・・なのはちゃん」
「はやてちゃん?・・・っ!?」
鞄を持ち教室を出ようとするが、肝心のはやてちゃんが動かない。
疑問に思い呼び掛けると、いきなり抱きすくめられた。
「は、はやてちゃん!?」
「んー、ぷにぷにでえぇな〜。抜群の抱き心地や」
「ちょ、揉むなら離してよはやてちゃん!!」
「いややー。阿呆なことぬかす子にはお仕置やぁー♪」
ギューってしながら、さわさわ揉み揉みするはやてちゃん。
なんでこういうとこばっか器用かなぁ・・・・・
「お仕置って、私が何を・・・・・」
「・・・・・誰が独りぼっちやねん」
「あ・・・・・」
・・・・そうだ、さっきの言葉は、はやてちゃんには聞かれてたんだった・・・・・・・
「ごめん、なさい・・・・」
「アリサちゃん、すずかちゃん、フェイトちゃん、そんで私も居る」
「うん・・・・」
「周り中こない賑やかな独りぼっちなんて、聞いたことあれへんわ」
うん・・・・知ってるよ。
皆がいつも私を想っていてくれること、よく知ってる。
「なんや、ふと寂しくなってまう時もあるんやけどな」
「うん」
「私も、どうしてえぇか分からん時があるし」
「はやてちゃん?」
「あの子らがいて、なのはちゃん達がいて、幸せすぎて、夢やないか時々怖なる」
・・・・そっか、はやてちゃんも、そういう時があるんだ。
「せやけど、私は欲張りやからなぁ。なんもかんも、手放しとうないねん」
「にゃはは、私もそうかも・・・・・」
「・・・・・一人になんかさせへん」
「っ!?はやてちゃ・・・・・」
言葉とともに、ギュッと抱き締められる。
息が詰まって、うまく言葉が出せない。
「離せ言うても、絶対離したらん」
「・・・・」
違う、詰まってるのは息じゃなくて、胸の方だ。
暖かいものでいっぱいで、ちょっと苦しい。
「私はしつこいで〜?やる言うたらほんまにやるからなぁ」
ニヤリと笑う、はやてちゃんの肩口に顔を埋める。
嬉しい気持ちと、ちょっとドキドキした気持ちで胸がいっぱいだよ、はやてちゃん。
「覚悟しとき、なのはちゃん。ずーっと、くっついてたるからな!」
「うん・・・・うんっ」
この気持ちに名前が付くのは、もう少し先のこと。
今はただ、優しいはやてちゃんのその言葉に頷いて、その身を寄せたのであった。
...Fin
あとがき(言い訳) 皆様お久♪
一週間更新しないとサイト停止状態に感じてしまうキッドです、ごきげんよー。
いや、仕事再開する前は、3日更新しないと・・・って感じだったんだけどさ(苦笑)
仕事しながらだと、週1くらいの更新ペースになっちゃうのよね・・・・微妙に悔しかったり(笑)
さてさて、久々のはやなのです♪
某クロスクリスタルの管理人さんが、短編のあとがきではやなの作品の少なさに絶望した!
と叫んでおられましたが、キッドも全くもって同じ意見です。
なんでこんなに、はやなのorなのはやが少ないのか・・・・・とっても寂しいです。
まぁ、そうなるといつも通り無いなら私が書いちまえ、になる訳ですが(笑)
でも今回は、久々に携帯で通勤時間に、毎日ちょこちょこ書いたやつなので、
ちょっと繋がりがぎこちない気がします(汗)加筆すると、書き直しになっちゃいそうなので、しませんが(^^;)
携帯執筆の勘を取り戻さないと、ダメですね(汗)
時系列的には、『その心の内側を』と『求めずにはいられない』より、前のイメージ。
ここからしばらく経って、二つのSSに繋がって、更にその先へ〜、という感じでしょうか?
とりあえず、あんまりシリアスになりすぎないよう、ライトな感じで書きました。
・・・いや、はやなのの方も、恋人になるまであと二つ三つはシリアス書かないとなので(汗)
早くこっちの二人も恋人にしてあげたいです(笑)・・・・いつになるかしら(滝汗)
2007/12/8著
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