「ティア!」
「・・・・」
「ティアっ!ねぇ、ティアってば!」
「・・・・・」
後ろから、どこぞのノーテンキの声が聞こえるけど、
私は徹底して無視をして進む。
大体、スバルの言いたいことなんか分かりきってる。
聞くだけ無駄ってやつに違いない。
・・・・・なんだけれども。
「ティア〜・・・・・」
「・・・・はぁ、何よもう・・・・」
いかんせん、しょんぼりした声を出されると、ついそのままにしておけなくなってしまう。
・・・・進歩ないわね、私も。
「あのねティア、さっきのなのはさん達のなんだけど・・・・・」
「却下」
「うぇぇっ!?ま、まだ何も言ってないよ、ティア〜・・・・・」
「聞かなくたって分かるわよ、どうせ膝枕して欲しい〜、とか言うんでしょ」
「うわ、凄いねティア!どうして分かるの!?」
どうしてって・・・・瞳を輝かせながら本気でそんなことを聞くなっての。
何でスバルってこんなに単純なのかしら。
「あんたが分かりやすすぎるのよ、とにかく私はやらないからね」
「えぇー!ど、どうして〜・・・・?」
「そんな恥ずかしいこと出来るわけないでしょ!」
「だって部屋ではもっ「それ以上言ったら打つわよ」えぅ〜・・・・」
中でだってあれなのに、外でなんか出来るわけないでしょ!
「ティア・・・どうしてもダメ・・・・・?」
「ダメったらダメよ。大体なんで外でそんなことしなきゃなんないのよ」
「だって・・・・羨ましいんだもん」
「・・・・そんなにして欲しいなら、誰かに頼めばいいじゃない」
「やだよ!ティアがいいの!!」
・・・・だから、何でアンタはそう素直なのよ。
ほんと、意地張ってる私がバカバカしくなってくるじゃない。
「そんなにしたいわけ?」
「うん、ティアは私の彼女なんだよって皆に自慢したい!」
「・・・っ!バ、バカっ!!」
「えへへ・・・・」
スバルのそのセリフに、カッと頬が熱くなるのが分かる。
いまだに振り回されっぱなしだわ、私。
あーもー、スバルもだらしない顔してるし、ほんとにしょうがないんだから・・・・・
「・・・・分かったわよ」
「ティア?」
「す、少しだけだからね!後、人がこないとこ限定だから!」
「・・・うん!ティア大好き!」
「ちょっ!くっつかないでよ!?」
ギュッと抱きついてきたスバルを必死に引き剥がすと、人通りの少ない場所へと足を向ける。
さすがになのはさん達みたいに、あんな人通りのある場所でやる度胸はない。
「・・・・この辺ならいいかな?」
「ティア!はーやーくー!」
「ったく、本当にうるさいわね・・・・ほら」
「えへへっ、失礼しま〜す♪」
適当な芝生に座ると、顔が壊れるんじゃないかって心配になりそうなくらい、笑ったままのスバルが、私の太腿に頭を乗せる。
「・・・・そんなに嬉しいのスバル?」
「うん、嬉しいよ♪それに凄く落ち着くよ・・・・」
「そう・・・・」
こんなことで心底嬉しそうなスバルに、呆れを通り越して笑いしかでなくなってくる。
その頭をそっと撫でてやると、スバルは更に嬉しそうに笑って目を閉じた。
「・・・・寝ちゃダメよ、そんなに昼休み残ってないんだからね」
「うん、分かってる」
「・・・・本当に大丈夫でしょうね?」
「平気だよ〜?気持ちいいから、確かに寝ちゃいそうだけど・・・・」
「ちっとも大丈夫じゃないじゃない・・・・」
「うん、だって幸せなんだもん」
「答えになってないわよ、バカ」
「えへへ・・・・・」
幸せだと眠くなる、なんて聞いたことないわよ、まったく。
そう思いながら苦笑していると、目の前の茂みが大きく揺れた。
・・・・・って、え?
ガサガサガサ・・・・ズボッ!
「キュクルゥー!」
「あれ、フリード?」
「な、なんでチビ竜がここに・・・・って、スバル!アンタ今すぐどきなさい!!」
「え、え、なんで!?」
「いいから早っ・・・・」
「あ、お二人ともここにいたんで・・・す・・・・か・・・・」
「さっきシャーリーさんが、ティアナさん達に話が・・・ある・・・って・・・そのっ・・・」
デジャビュ、って言うんだっけ、こういうの。さっきとは逆の展開だけど。
フリードの出現に事態を察するも、時既に遅し。
フリードに続きやってきたキャロとエリオに、ばっちり見られてしまった。
二人の顔も真っ赤だけど、私も多分そうだと思う。
だけど、スバルだけは暢気なもので。
「そっかー、じゃあすぐに行かないとね〜」
なんて、ケロッとして言う。
アンタには羞恥心ってものがないのかっ!!?
「い、いえ、どうぞそのままで!」
「シャーリーさんには、僕達からうまく言っておきますから!!」
「あっ、ちょっ・・・・・」
うまく言うって・・・なにをっ!?
「あや〜・・・二人とも行っちゃった。足速いね〜・・・・って、ティア?」
「・・・・・」
この期に及んで、極めてノーテンキなスバルの声が、私の全神経を思いっきり逆撫でする。
ええそうよね、アンタには私が今、どれだけ恥ずかしい思いをしてるかなんて、分からないわよね。
「え、ちょ、なんでクロスミラージュ構えて・・・・」
「うるさいっ!いっぺん死んできない!このアホスバルがぁっ!!!」
「なん、え、うわあぁぁぁぁーーーーっ!!?」
・・・・なんていうことがあった昼休み。
午後の訓練が、違う意味できつかったのは言うまでもない。
・・・・スバルのばかぁーーーー!!!!
...Fin
あとがき(言い訳) 初のスバティア短編でーす♪
私の指定席の続きにあたる形で、まったりと書いてみました。
いや、しかし、アリすずといいスバティアといい、今までキッドはツンデレ系を書いたことがなかったので、
どのくらいツンで、どのくらいデレにすればいいのか、結構加減が分からなくて苦労してます。
アリすずはまだキャラつかめてるからいいんですが、スバティアが結構むずい。
こんな感じで大丈夫だったですかね?(苦笑)
個人的にはこの二人は好きですし、特にティアナの株が後半で急上昇(笑)
いや、なのティアを書くって、日記で言ってた時点で、皆分かってるとは思いますが(笑)
分かりやすいツンデレと、努力の人はかなり好きです♪
あと六課卒業後の遠距離恋愛になっちゃった、スバティアも書きたいですね〜。
きっとそのうち、なのフェイみたいに、一緒の家に住まわせるとは思うけど(笑)
なんて、相変わらず妄想の爆発力だけなら、自信がありまくるキッドです♪
ちなみに、yahooの辞書で見たら、デジャブとかヴじゃなくて、デジャビュで引っかかったので、こっちを採用しました。
いや、ちゃんと疑問に思った時は、確認してますからね、うん。
合言葉は、適当かついい加減♪なキッドではありますけれど(笑)
2007/10/2著
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