晴れ、ところにより落雷

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・あれ?」
 
 
 
 
朝起きると、隣に居るはずの彼女の姿は既に無かった。
 
 
 
 
「・・・・今日出掛けるって言ってたっけ?」
 
 
 
 
首をひねり思い出そうとするが、心当たりが無い。
そしてリビングに出てみるが、そこにも彼女の姿は無い。
 
 
 
 
「えっと・・・・・」
 
 
 
 
はてさて、どうしたものか。
色々といや〜な、想像をしつつ、玄関を見ると彼女の靴が無かった。
これは・・・・もしかしなくても、アレだろうか?
 
 
 
 
『実家に帰らせていただきます』・・・・みたいな。
 
 
 
 
「・・・・・いやぁぁぁぁ!!なのはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!・・・・・・・はぁ、はぁ」
 
 
 
 
そんな最悪な想像に行き着き、思わず息が切れるまで絶叫してしまった。
いや、だって三行半だよ!?
結婚して僅か半年、まさかこんなに早くこの日が来るなんて。
平静でいられる方がおかしっ・・・・って、いや、まだそうと決まったわけじゃないのも確かなんだけど。
でも、これでタンス覗いて着替えが無かったら、ほぼ確定。
・・・・本当に三行半だったらどうしよう。
 
 
 
 
トゥルルルル、トゥルルルル
 
 
 
 
「は、はい、高町です」
「おー、だいぶ『高町』が様になってきたんちゃう、フェイトちゃん」
「あれ、はやて?」
 
 
 
 
そんなどん底な精神状態のところに、はやてからの電話が。
 
 
 
 
 
「は、はやて!!」
「んあ?そんなに慌ててどうし・・・・」
「なのはが何処に行ったか知らない!?」
 
 
 
 
親友のはやてからの電話に、ひょっとしたらなのはのことを知らないかと思って、
思わず、電話口ではやてに詰め寄る。
すると僅かな沈黙の後、ふっ、という溜め息のような、また笑いのような呼気がはやてから漏れた。
 
 
 
 
「・・・・はやて?」
「意外にバレるのが早かったなぁ〜・・・・」
「バレるのって・・・・はやて!まさか!」
「ふ、そのまさかや!なのはちゃんは私が預かった!返してほしかったら、私から取り戻してみるんやなぁ!」
「んなっ!?」
 
 
 
 
ハーハッハッハッハ!と、電話口からはやての高笑いが聞こえてくる。
なのはが攫われた。
しかもはやての手によって。
 
 
 
 
「なーんて、そんな訳ないやん、冗談に決まっとるやろ?」
「・・・・・・・・」
「・・・・もしもーし、フェイトちゃーん?」
「・・・・・・・・」
「なぁ、ちょお、まさか本気にしとらんやろな?」
「・・・・・・・・」
「聞いとるフェイトちゃん?いや、お願いやから、ほんまに返事してーな」
 
 
 
 
攫われた。攫われた。攫われた。
なのはを。なのはを。なのはを。
はやてに。はやてに。はやてに。
 
 
 
 
その事実だけが、私の頭の中に鳴り響く。
よく聞こえないが、まだ電話で何か言っているはやてに向かって、
一言だけ呟いた。
 
 
 
 
「そう・・・・分かった、すぐに行くから」
 
 
 
 
そして返事を待たずガチャン!と電話を切った。
これで私が行くことは、はやてにも分かったはず。
なのはの身の安全のためにも、もはや一刻の猶予もならない。
 
 
 
 
「バルディッシュ・・・・」
『sir』
「行くよ、なのはを助けに!!」
『Yes sir』
 
 
 
 
私はバルディッシュを起動させ、バリアジャケットを身に纏うと、
澄み渡った青空へと、飛び出した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―― 同時刻・八神家 ――
 
 
 
 
たまたま出張先で手に入れたお菓子が、中々いける味だったので、
これはなのはちゃんとフェイトちゃん、それにヴィヴィオにも、と思って電話をかけた。
せやけど、電話口のフェイトちゃんが随分焦ってたもんやから、
ついつい、いつもの様にからかってしまったわけで・・・・・・
 
 
 
 
「・・・・はやて?」
「意外にバレるのが早かったなぁ〜・・・・」
「バレるのって・・・・はやて!まさか!」
「ふ、そのまさかや!なのはちゃんは私が預かった!返してほしかったら、私から取り戻してみるんやなぁ!」
「んなっ!?」
 
 
 
 
おお、焦っとる焦っとる。
大方、起きたらなのはちゃんがおらんかったんで、パニックになったんやろ。
別になのはちゃんかて、フラっと出掛けることくらい、あるやろうに。
まぁ、本気にされたらやっかいやし、さっさとネタバレしてまお。
・・・・と、思ったんやけど。
 
 
 
 
「なーんて、そんな訳ないやん、冗談に決まっとるやろ?」
「・・・・・・・・」
「・・・・もしもーし、フェイトちゃーん?」
「・・・・・・・・」
「なぁ、ちょお、まさか本気にしとらんやろな?」
「・・・・・・・・」
「聞いとるフェイトちゃん?いや、お願いやから、ほんまに返事してーな」
 
 
 
 
・・・・あかん、遅かったかもしれへん。
その疑惑が確信に変わったのは、次の一言で。
 
 
 
 
「そう・・・・分かった、すぐに行くから」
 
 
 
 
フェイトちゃんはそれだけ言い終わると、電話を切ってしもうて。
分かったって・・・・何が?
さー・・・っと、血の気が引く音が聞こえた後、私は思いっきり叫んだ。
 
 
 
 
「シグナムゥーーーー!!!第一種特殊警戒態勢やぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!」
 
 
 
 
その数分後、
 
 
 
 
ドオォォンッ!!!
 
 
 
 
という凄まじい音と共に、
愛する我が家に、一筋の雷光が降ってきた・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―― 高町家 ――
 
 
 
 
「ただいま〜」
「たらいまぁ〜」
「ごめんね、フェイトちゃん、お醤油切れてたから買ってきたんだけど・・・・って、あれ?」
「フェイトままぁ〜?」
 
 
 
 
お醤油が切れてたので、近くのスーパーまでヴィヴィオと買い物に行っていたのだけれど・・・・
帰ってきてみると、フェイトちゃんの姿が見当たらない。
んー?まだ寝てるのかな?
 
 
 
 
「なのはママぁ〜、フェイトママいないよぉ〜?」
 
 
 
 
寝室を覗いたヴィヴィオによれば、そちらにもいないらしい。
・・・・はて?
 
 
 
 
「フェイトちゃん、何処行ったのかな?」
 
 
 
 
首をひねる私の視界の端で、『お買い物に行ってきます』との私の書置きが、
ピラリと、テーブルから滑り落ちた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―― 同時刻・八神家 ――
 
 
 
 
「ぬあぁぁぁっ!?う、うちの屋根がぁぁぁっ!!!」

「く、テスタロッサ!いきなりどういうことだ!!」

「どうもこうもありません、なのはを返してください!!」

「え、なのはちゃん・・・?」

「なのはなんて来てねぇよ」

「隠し立てするなら容赦はしません!バルディッシュ!」

『Photon Lancer』

「ちょ、テスタロッサちゃん!?」

「・・・・主」

「うぅ、すまん、冗談のつもりやったんや・・・・・」
 
 
 
 
教訓:この手の冗談はフェイトには通じない、パート2

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

やー、なんか凄いことになってますね〜(他人事)
僅か数行のギャグの予定だったのに、視点を三つにしたらなんか長くなっちゃいました。

あ、ちなみに高町フェイトは仕様です♪もちろん高町ヴィヴィオも♪
どっちも長編第三部までは使わない呼称のつもりだったんですが・・・書いちゃった、えへ(マテ)
『ヴィータの失言』にもありましたが、教訓のパート2です。
いや、はやて師匠の冗談に、プチっといくフェイトさんが書きたかっただけの代物です♪
なんだかんだで、ヴォルケンズ全員となのはとヴィヴィオも出てますが(笑)

ちなみに、三行半本来の意味は別に、奥さんが旦那に突きつけるものじゃないんですけどね。
面倒だから説明ははぶきますが(笑)

まぁ、こんな感じでしばらくライトなのを続けようかな〜、って、思ってますが、
うちのサイトは油断してると、シリアスが来ますので、皆様お気をつけてくださいまし(笑)
なのはやのはやてVerのUPも控えてますしね〜。

ではでは。

 

2007/9/12著・2007/9/14掲載


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