ファインダーの向こうの君に

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「んー・・・あれ、違うな・・・・」
 
 
 
 
手の中の機械をひっくり返しながら、他のボタンを押してみるが、
思ってたのとはまた違う画面になってしまった。
 
 
 
 
「うー・・・・・・」
 
 
 
 
唸り、ブツブツと文句を言いつつ再び説明書をめくる。
 
 
 
 
「ただいま〜」
「あ、おかえりなのは」
「ただいまフェイトちゃん♪・・・・って、何やってるの?」
 
 
 
 
そうこうしているうちに、外に出掛けてたなのはが帰宅し、
私の手元を覗き込みながら尋ねてきた。
 
 
 
 
「写真を撮ろうと思って」
「写真?」
「うん、ヴィヴィオの入学も決まったし、やっぱりアルバムとかも作りたいし」
 
 
 
 
手の中のカメラを掲げながら言うと、なのはなるほど、と頷いた。
六課の私達の部屋にも沢山の写真を貼っていたけど、ヴィヴィオが来てからの写真はまだそう多くはないから。
 
 
 
 
「でも、そのカメラどうしたの?」
「ああうん、その話をしたら母さんが送ってくれた・・・・」
「リンディさん・・・・・」
 
 
 
 
この間通信でそんなことを話していたところ、後日、母さんからこのカメラ一式が送られてきたのだ。
ヴィヴィオが私達の娘であるということは、母さんにとっても可愛い孫なわけで・・・・・
これにしっかりとヴィヴィオをの姿を収めて、データを送れということなのだろう。
 
 
 
 
「でも使い方がよく分からなくて・・・・・」
「・・・・フェイトちゃん、撮影モードにしてボタン押すだけだよ・・・・・・」
「・・・・そうなの?」
「・・・・そうなの」
 
 
 
 
だけど、なんか色々ボタンがあるし、調整がどうのって説明書には書いてあるし・・・・あれぇ?
 
 
 
 
「まぁ色々機能はあるけど、ただ撮るだけなら特にいじらなくてもいいよ」
「あ、う、そうなんだ・・・・・」
「うん、ほらヴィヴィオ撮りにいこうよ」
「う、うん・・・・・」
 
 
 
 
意気消沈する私を引っ張って、なのははヴィヴィオの所まで私を引きずっていく。
 
 
 
 
「いや、待ってなのは、試し撮りくらいさせてよ!」
「ダメ。そんなこと言ってたらフェイトちゃんいつまでたっても撮らなそうなんだもん」
「あぅ・・・・・」
 
 
 
 
もっともな指摘に、文字通りぐうの音も出ない。
さすがなのは、伊達に私の奥さんをやってるわけじゃない。
 
 
 
 
「ヴィヴィオ〜、いるー?」
「あ、なのはママ、おかえりなさい♪」
「ただいま、ヴィヴィオ。ねぇヴィヴィオ、フェイトママが写真撮ってくれるって」
「しゃしん?」
「うん、ね、フェイトちゃん?」
「あ、う、うん」
 
 
 
 
ぼけっとしてるうちに、なんかドンドン逃げ道が塞がれていく。
なのはを見ると、にっこり笑って、じゃあ頑張ってね?って感じに私の肩に手をかけてるし。
腹をくくるしかないと一つ息をついて、カメラを構え撮り始める。
 
 
 
 
「ヴィヴィオ、そっちに立ってみて」
「ん〜、フェイトママこのへん〜?」
「うん、そう・・・・」
 
 
 
 
カシャッ
 
 
 
 


 
 
 
 
撮影しやすい場所まで来てもらって、どんどんシャッターを切っていく。
前になのはが、写真を撮るのが楽しいって言ってたけど、
なるほど、確かにこれは楽しい。
しかもカメラの向こうには娘の姿、あぁ〜可愛いなぁ〜・・・・・
 
 
 
 
「もう、顔緩んでるよ、フェイトちゃん」
「え、うそ」
「ほんとに。・・・・ちょっと妬けちゃうかも」
「へ・・・・?」
 
 
 
 
間抜けな声を出す私の視界には、少し拗ねたような顔をして、私の服の端を掴んだ最愛の人の姿。
言葉の意味を理解すると同時に、かぁ〜っと顔が熱くなるのを感じた。
 
 
 
 
「な、なのは・・・・」
「ふふ、後で私達も一緒に撮ろうね?」
「う、うん、もちろん!」
 
 
 
 
そう言って、拗ねたような表情から一転、花が咲くよう笑って私の腕に抱きつくなのは。
そして私はいつだって、そんななのはの一つ一つに反応して、振り回されてばかりで。
昔も今も、そしてきっとこれから先も、それは変わることはないのだろう。
 
 
 
 
「なのはママぁ〜、ヴィヴィオもなのはママといっしょがいい〜」
「ん、よーし、じゃあ一緒に撮ろうかヴィヴィオ?」
「うん!」
「ほらほらフェイトちゃん、ぼーっとしてないで、どんどん撮ってよー?」
「あ、うん、じゃあ二人ともこっち向いて・・・・・」
 
 
 
 
ファインダー越しに覗いた君の笑顔は、私を捕らえて離さない。
 
 
 
 
過去も未来も、そしてもちろん現在も。
私の全ては君のもの。

 
 
 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

祝・15万HITぉぉ−−−−−−!!
なんだか少し前にも、同じ要領で10万HITを叫んでた気がするキッドです、ごきげんよう(笑)
15万HITに際してゆたんぽさんに絵を頂きましたの、それに付けるSSを書かせていただきました♪
ヴィヴィオ可愛いです、ヴィヴィオ!!(笑)
いや、なんかヴィヴィオ云々より、夫婦の話になっちゃいましたが。
フェイトさんの使用カメラはデジタル一眼レフですかね?たぶん。
最後の締めのセリフは、前回ゆたんぽさんの絵につけたSSよりきてます。
いや、どっちも写真ネタだったので、ちょこっとだけ関連付けてみました♪
まぁ、ラブラブには違い無いですけどね〜(笑)

とにもかくにも、15万HIT!いらしてくださる皆様のお陰です!
本当にありがとうございます!!
そして絵を描いてくださいましたゆたんぽさん、ありがとうございましたぁーーー!!m(_ _)m

200710/10著


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