その通り雨、台風並み


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ザァァー!!という雨音と共に、ドバドバと脳天から降り注ぐ雨。
問答無用で降り始めた雨に、げんなりとするものの、もう濡れちゃったものはしょうがない。
今は、被害を最小限に押さえるのが先決だ。
どこかで雨宿りを、とも思うけど、
どんよりと立ち込めた雲からは、とても10分や20分では止みそうにない気配を感じる。
となれば、一番近い家へ逃げ込むべきか。
ここからだと一番近いのは、はやてちゃんの家。
ダッシュで5分弱、って感じかな?
・・・あぁ、空が飛びたい。
いや、いっそセットアップして、フィールド系のバリアを張れば・・・・・
 
 
 
 
『MASTER・・・・・』
「にゃはは・・・・じ、冗談だよ、レイジングハート?」
 
 
 
 
漏らされた苦笑混じりの響きに、ちょっと冷や汗。
こんなことに魔法を使うのは、やっぱりだめだよね〜・・・・残念。
 
 
 
 
『MASTER』
「あー、はいはい、極力濡れないようにダッシュするってば。んじゃいくよ〜」
 
 
 
 
段々呆れた声になってきた、レイジングハートに怒られる前に、
掛け声と共に、私は雨の中を走る速度を上げた。
 
 










 
 
「あー、もう、こないいきなり降り出すやなんて、どういうこっちゃねん!」
 
 
 
 
お陰で洗濯物が大惨事やっちゅーの。
 
 
 
 
「家の中に干すのもあれやけど、この際しゃーないわな」
 
 
 
 
深々と溜め息をついて、室内に干し始める。
うー、せやけど乾いても、お日様のふっくら感は味わえそうにないな〜・・・・・
降水確率30%を、甘くみとったわ。不覚やった。
そして改めて溜め息をつきながら、手早く洗濯物を干し直していく。
4・5分程で干し終えて、こんなもんかー、と見上げていたら玄関のチャイムが鳴らされた。
 
 
 
 
ぴんぽーん
 
 
 
 
「おっとと、お客さんや、今行きま〜・・・・・」
 
 
 
 
ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぴんぴんぴんぽーん!
 
 
 
 
「だあぁぁぁあ!!!ちっとは待ちいやぁぁぁぁああっ!!!」
 
 
 
 
焦れたというよりも、結構な量の悪意を感じるチャイムの連打。
誰やねん!こんな時に!
訪問販売や、宗教の勧誘やったら張っ倒すでほんま!!
 
 
 
 
ガチャッ!
 
 
 
 
「はいはい、お待っとうさんでー・・・・・って、ちょお待ちいや」
「あはは〜、やほーはやてちゃん。遊びに来たよ〜♪」
「ほうか〜、よう来たな〜なのはちゃん♪・・・・・んで、本音は?」
「あー・・・・・シャワーと着替え貸してもらっていいかな・・・・・・」
「最初から、そう言いや」
「いや、ちゃんとボケないと怒られそうで・・・・・」
「私のことを、どういうキャラやと認識しとるんよ・・・・」
 
 
 
 
まぁ、そういうキャラだと認識されとるんやろうけど。
あながち、外れてもおらんし。
せやけど・・・・これはまた、なんちゅーか・・・・・・
 
 
 
 
「・・・・・・」
「えっと、はやてちゃん?どうしたの?」
「どうしたもこうしたも・・・・・気づいてへんの?」
「・・・・何が?」
「・・・・下着透けとるで、なのはちゃん」
「へ・・・・んにゃあぁぁあっ!?」
 
 
 
 
慌ててなのはちゃんは、ガバッと両手で隠すけれど、バッチリ見させていただきましたよー。
透けたシャツにオレンジの下着!しかもシャツがびしょ濡れで、何気に結構ある胸の曲線が露わやし!
たはぁー!今日はええ日やなー♪
 
 
 
 
「なんとも美味しそ・・・・やのうて、せくすぃーなお姿、堪能させてもろたで〜♪」
「んなっ!?そ、そんなこと言ってないでいいから、早く中に入れてよ!!」
「おっと、そうやった。人通りは無いけど、そないなせくすぃーな格好で、いつまでも外にいられとっても困るしな〜」
「ああぁぁ!もういい加減そこから離れてー!」
「あはは、かんにんな〜。あまりに衝撃的過ぎて、テンション上がってもうたわ」
「うう・・・・来る場所間違ったかも」
 
 
 
 
そんな、しょぼーんと落ち込まんでも・・・・・
ああ・・・でも、それはそれで可愛えな〜・・・・・って、あかん。
色々と暑すぎて、テンション上がるどころかスイッチ入ってる気がするんやけど。
・・・・まぁええか。
それはそれで、いつもと違うシチュエーション、っつーのも乙やし・・・・むふふ。
 
 
 
 
「・・・・はやてちゃん、なんか笑顔が怖いんだけど」
「ああいや、ちょっと今電波がやな〜・・・・ちょ、そないあからさまに引かんでも!?」
「いや、うん、はやてちゃんが時々電波さんのは知ってるけどね・・・・・」
「うぅ、恋人になんたる仕打ちや・・・・って、まぁええわ、今タオル持ってくるから待っとってな」
「うん、ありがとうはやてちゃん。でも、むしろ恋人としては、電波さんを止めて欲しいかもだけど」
「ええやん別に、一緒におっておもろいやろ?」
「・・・・そうだけどね」
 
 
 
 
時々困るよ?と苦笑するなのはちゃん。
いや私としては、困るんはむしろ、なのはちゃんのキラースマイルの方なんやけど。
まぁせやけど、これから困らせる身としては、何も言えへんけどな。
そう思い、にししっと笑いならがらタオルを持ってダッシュで戻る。
 
 
 
 
「なのはちゃん、タオル持ってきたで〜」
「ん、ありがとうはやてちゃん」
「拭いたるわ〜」
「え、ちょっと、んにゃ!うみゅ、ちょ、ふみゃあ!?」
「むふふ〜、ここか、それともこっちがええん?いやいや、ここも捨てがたい♪」
 
 
 
 
持ってきたタオルで、なのはちゃんが髪の毛を拭いてる間に、
もう一枚のタオルであっちゃこっちゃ、堪能しつつ水分を拭っていく。
んー?ただのセクハラやって?・・・・それのどこが悪いん。
 
 
 
 
「ちょ、も、ほんとに待って・・・んぁっ」
「んー?ほんまに止めるんー?」
「だ、から、さっきから止めてって・・・ひぅっ」
「そやな〜・・・・でもあかん。もうとっくにスイッチ入ってしもうてん」
「なっ!?はやてちゃんここ玄関!!」
「せやな、けど平気や、扉はちゃんと閉まっとるから」
「〜〜〜っ!!?ちっとも平気じゃないよーーーー!!!」
 
 
 
 
閉まっとったら防音やし、心配ないと思うんやけどな〜?
まぁええわ、どうせもう止められへんし。
私はニヤリと笑って、必死に抵抗するなのはちゃんを引き倒すと、その上に覆いかぶさった。
 
 
 
 
「んふふ、覚悟はええか、なのはちゃん?」
「よくない!ちっともよくないから!!大体風邪引いちゃうよ!明日の仕事だってあるのに!!」
「夏やし平気ちゃう?風邪引いたら仕事は私が変わったるし。それに、コレはコレで萌えへん?」
「知らないよそんなの!!せめてお風呂場にしてよ!!」
「あ、それもありやな。よっしゃ、ほんなら次はそうしよか?」
「玄関確定っ!?」
「当然やっ!!」
 
 
 
 
滅多にないシチュエーションを、堪能するチャンスを放棄するやなんて女が廃るってもんや、そうやろ?
まだ何か言おうとしてるなのはちゃんの唇を、そのまま問答無用で塞ぎにかかる。
深く口付け、閉じられる前に舌を潜り込ませる。
歯列に沿って隅々まで舌を這わせてから、必死に逃げる舌を絡めとる。
なのはちゃんはそれでも、私を押しやろうとしとるんやけど、
何度も絡ませて啄ばんどると、その力もどんどん弱くなってきとって。
むふふ、あと一息や〜・・・・・・
 
 
 
 
ガチャッ!
 
 
 
 
「主はやて、ただいまもどり・・・・っ!!?」
「ただいまはやてちゃん〜・・・・って、あらまぁ」
 
 
 
 
扉を開けて入ってきたのは私の可愛え守護騎士、シグナムとシャマル。
あー・・・・そういや、二人は今日早い言うとったな〜・・・・・
なんちゅうベタなタイミングやねん。
 
 
 
 
「んは・・・くっ・・・・・シグナムさん、シャマルさん助けて!!」
 
 
 
 
むむ、逃がさへんよなのはちゃん!
 
 
 
 
「あら・・・凄く楽しそうなんだけど・・・・・」
「シャマル!・・・・主はやて、さすがに玄関ではまずいのではないかと・・・・・」
「シグナム!黙っとき!」
「あ、主はやて・・・・・」
「シャマル!ビデオカメラの準備や!!」
「は〜い」
「ビデッ・・・・って、何考えてるのはやてちゃん!」
「そんなん、可愛えなのはちゃんを堪能することだけや!!」
 
 
 
 
逃がさへん、絶対逃がさへんで!
逃げ道なんて、徹底的に塞いだるわぁぁぁぁあああ!!!
 
 
 
 
「シ、シグナムさん!?」
「く・・・・す、すまない・・・・・」
「そ、そんな・・・・・」
「ふふん、私から逃げようなんて十年早いでなのはちゃん」
「誰だって、これは逃げたいよはやてちゃん!!?」
「そんなん気になんらんくらい、気持ちよくしたるから♪」
「ちっとも嬉しくな・・・・んんーーーっ!!?」
 
 
 
 
そこまで言って、再び唇を塞ぐ。
後はさっきと同じ手順で陥落させて、すっかりなのはちゃんが従順になったところで口を離す。
 
 
 
 
「んぁ・・・は・・・・はやて・・・ちゃん」
「最高にええ顔しとるよ、なのはちゃん。たっぷり可愛がったるからな・・・・・」
 
 
 
 
頬の輪郭に沿って指を滑らせならがそう言うと、私もなのはちゃんも夢中で行為に溺れていった・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ちょお待ちい、なんやねんこの仕事の量は」
「だって、はやてがなのはの分もするんでしょ?」
「それは、そうやけど・・・・・」
 
 
 
 
たっぷりと楽しんだ翌日、出勤した私の前に積まれた書類は白い巨塔三つ分はあって。
それぞれが、突っついたらぐら〜っと、いきかねない高さまで積まれていた。
 
 
 
 
「なんでこんなに多いん?」
「なのは、今日まとめて書類やっちゃうつもりだったみたいだから・・・・」
「せやけど、これはちょっと・・・・」
「風邪で休みって聞いた時はどうしようかと思ったけど、はやてがやってくれるって聞いて安心したよ」
 
 
 
 
そう言ってフェイトちゃんはにっこりと笑うとるけど、背中からは負のオーラが見え隠れしとる。
ええやないか、恋人なんやから仲良うしても。
ちょおやりすぎた気は、しないでもあらへんけど。
 
 
 
 
「さて、じゃあ私はもう仕事ないし、なのはのお見舞いに行ってくるね」
「ちょ、手伝ってくれへんの!?」
「なんで?自業自得でしょ?」
「ふぐぅ・・・・!!」
 
 
 
 
・・・・ほんま、フェイトちゃんはなのはちゃんのことになると、性格変わるんやから。
そして話題のなのはちゃんはというと、懸念していた通り、ほんまに風邪でダウン。
ちなみに、ビデオテープはなのはちゃんに意地で取り返されて、消去されてもうた・・・・もったいない。
 
 
 
 
「じゃあ頑張ってねはやて、私はなのはと楽しんでくるから」
「んなっ!?ひ、人の彼女に何するつもりやフェイトちゃん!?」
「さあなんだろ?まぁ今はやての恋人は書類だしねぇ?」
「そ、そんなん許さへ・・・・・のわぁぁぁぁぁあああっ!!?」
 
 
 
 
ふっ、と意地の悪い笑みを浮かべて、フェイトちゃんは意気揚々と部屋を出で行く。
慌ててそれを止めようと身を乗り出した瞬間、白い書類の巨塔は容赦なく私の上に崩れ落ちた。
薄れゆく意識の中で、シグナムとヴィータにフェイトちゃん停止命令を出せたんは、僥倖以外の何物でもなかった・・・・・

 
 
 


...Fin


 


あとがき(言い訳)

わはー、はやなの一発目からR指定になっちゃいました、ごきげんよう(爆)
いや、私のせいじゃないよ?ただはやて師匠が、ちょっと変態チックなだけで(マテ)
え、しかもまた透け透けネタじゃないかって?うん、だからカップリングを代えたんじゃない。
パラレルなんでこっちでは、なのはさんとはやて師匠が恋人同士です♪(笑)

ちなみに元ネタは、本日私が雨に降られたから。
マッシブとなのはDVDを買いに行ったんだけど、ゲーマーズから出ようとしたところで、ザァァーって。
お陰で40分ばかし、ゲーマーズの軒先にいました。

そしてその間、当然携帯で書いていたのはこのSSの原稿なわけでして(笑)
ええ、キッドは転んでもただでは起きません。転ぶ前以上の成果を持って起き上がったるわぁぁあっ!(笑)
そんなわけで被害者はなのはさん。切ない系の反動か、凄いことになりましたが見なかったことにして逃げます。

んではまた次の作品で〜、ごきげんよ〜(脱兎)СС〓(;キ^^)ノ

 

2007/8/25著


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