水遊びにご用心


 

 
 
 
 
 
 
 
5月某日、通常であれば梅雨に入る前の過ごしやすい季節。
しかしながら、最近の異常気象のせいか、本日の海鳴市全域は猛暑の真っ只中にいた。
当然ながら、私達の通う私立聖祥大学付属中学校においても、
例外無くお日様に照らされてるわけでして・・・・・・
 
 
 
 
「あーーー!!あーーつーーいーーのぉぉぉぉーーーー!!!!」
 
 
 
 
とかいう、アリサちゃんの叫びが響き渡っていたりなんかする。
 
 
 
 
「アリサちゃんの叫びの方が暑い気がするんやけど・・・・・」
「だって暑いんだものっ!!」
「あ、アリサちゃん、叫ぶと余計暑くなっちゃうよ・・・・」
「うー、そんなこと言ったってこの暑さよ?しかも私達はまだ夏服になってないし!!」
 
 
 
 
そうなんです、いくら暑くてもまだ5月。
夏服への衣替えまではまだもうしばらくあるわけで、
この惨状が生まれるのも仕方が無いこと。
そう思い、先ほどから言葉を発しないもう一人の親友、もとい私の恋人に目をやると・・・・・
机に突っ伏し、でろーっと、溶けていた。
 
 
 
 
「フェイトちゃん・・・・大丈夫?」
「・・・・うん・・・・大丈夫だよ・・・・・・」
 
 
 
 
・・・・ちっとも大丈夫そうに聞こえないよ、フェイトちゃん。

ミッドチルダ育ちのフェイトちゃんは、日本のじめっとした暑さが苦手みたい。
夏場はこんな感じなので、くっつきにくいのでちょっと寂しかったり。
 
 
 
 
「かなり辛そうに見えるんだけど・・・・・」
「ごめん・・・・・・」
「なんやフェイトちゃん、バテバテやな〜」
「フェイト、暑いの苦手だもんね」
「せめて夏服なら、まだよかったのにね」
 
 
 
 
時期はずれもいいとこだもんね・・・・・
この場合恨むなら冬服か、それとも温暖化現象か?
どっちにしても、今が暑すぎることに変わりはないけど。
 
 
 
 
「よっしゃ、ほんなら私に任せとき!とっときの方法があるんや!」
「はやてちゃん?」
「・・・・ちょっとはやて、今度は何企んでるのよ」
「企むやなんて人聞きの悪い・・・・・私は楽しくかつ涼しくなろう言うとるだけやのに」
「あんたの場合それが問題なことが多いでしょうよ!」
「あ、アリサちゃん落ち着いて・・・・」
 
 
 
 
うーん、確かに。
フェイトちゃんがこんな状態だし、なんとかしてあげたいんだけど、
目が笑ってるはやてちゃんに任せるのは、ちょっと怖い。
 
 
 
 
「むー、フェイトちゃ〜ん、フェイトちゃんは涼しゅうなりたいよな〜」
「涼しく・・・・うん・・・なりたいな・・・・・・」
 
 
 
 
あ、フェイトちゃんが落ちた。
 
 
 
 
「ちょ、今のフェイトに同意を求めるのはずるいでしょう!?」
「ええやんかアリサちゃん、いっちゃん参ってるのはフェイトちゃんやねんから」
「それはそうだけど・・・・・」
「ほんなら皆、放課後屋上に集合や、ええな!」
 
 
 
 
こうして、なし崩し的に放課後の予定が決まったのでした。
 
 










 
 
「・・・・で、屋上まで来たのはいいけど、なにするのよ?」
 
 
 
 
そして放課後、むっつりしたアリサちゃんがはやてちゃんに問うと、
はやてちゃんはどこから取り出したのか、ホースで水を撒き始めました。
 
 
 
 
「打ち水ってやつや♪涼しゅうなるでー♪そりゃあぁぁー!!」
 
 
 
 
呆れるアリサちゃんを尻目に、はやてちゃんは気合と共に大量の水を撒き散らす。
いや、確かに涼しいんだけどさ・・・・・・
 
 
 
 
「ちょっとはやて・・・・って、冷たっ!?この、やったわね!!」
「えぇ!?アリサちゃんもやるの!?」
「そういうなのはちゃんも、逃げれる思うたら大間違いやで!そりゃあぁ!!」
「うひゃあっ!?むぅ〜!やったなはやてちゃん、お返しだよ!!」
 
 
 
 
あっという間に、水のかけ合いに。
びしょ濡れになっちゃうとまずいから、最初は足元を狙ってたんだけど、
段々熱が入っていっちゃって、気がついたら皆本気で狙いをつけ始めてたり。
 
 
 
 
「さ、三人とも本気になりすぎだよ・・・・・」
「う、うん、涼しくはなったんだけど・・・・・」
 
 
 
 
なんていう会話を背後に聞きながら、はやてちゃんに向かって攻撃を仕掛ける。
アリサちゃんは元々運動も出来る方だし、私とはやてちゃんは遠距離攻撃なら得意分野。
相手の水撃をかわしながら、容赦無く撃ちまくる。
だけど私の後ろには、当然無防備な二人がいるわけで。
 
 
 
 
バシャアァァァンッ!!!
 
 
 
 
すずかちゃんは持ち前の反射神経で、しっかりとかわしたんだけど、
暑さで思考能力が低下していたフェイトちゃんは反応が遅れ、正面から攻撃を受けてしまった。
人はそれを、直撃と言う。
 
 
 
 
「「「「あ・・・・」」」」
 
 
 
 
やっちゃった、という感じの私達四人に対し、
強烈な水撃に直撃されたフェイトちゃんは、
何が起こったのか分からないとでも言うように、呆然とそこに座り込んでいた。
そして、最も解凍が早かったはやてちゃんが一言。
 
 
 
 
「へぇ〜・・・やっぱりフェイトちゃんの下着は黒なんやなぁ〜」
「・・・・・え、えぇっ!?」
 
 
 
 
あぁうん、今日も黒だしね。
全体的にも黒が多いし・・・・・って、ちょっと待て。
 
 
 
 
「ふーん、大人の女ってやつ?」
「え、でもアリサちゃんだって・・・・」
「のわぁー!す、すずか!余計なことは言わなくていいのよ!!」
「ほほう、ええこと聞いたな〜・・・・この際アリサちゃんのも拝んだるわぁー!!」
「きゃあっ!?ちょ、何考えてるのはやて!!」
「逃がさへんで!往生しいやぁーーー!!!」
 
 
 
 
ダッシュで逃げるアリサちゃんを、はやてちゃんが放水しながら追いかけていく。
すずかちゃんもついて行ったけど・・・・止める気があるのか無いのか、よく分からないな、あれは。
とりあえず三人の事は放って置いて、私は未だ呆然としているフェイトちゃんの傍に行くと、
その身体を隠すように上着をかけた。
 
 
 
 
「フェイトちゃん、大丈夫?」
「あ、うん・・・・・」
 
 
 
 
ぼーっと私を見上げてくるフェイトちゃんのシャツは、さっきの水撃で透け、
話題の元になった黒いレースの下着がはっきりと映っていた。
これを三人にも見られたわけで・・・・・正直、非常に面白くない。
 
 
 
 
「私のなのにな・・・・」
「え、なのは・・・・?」
 
 
 
 
私の呟きに、微妙にいつもと違うニュアンスを感じとったのか、
フェイトちゃんが、首を傾げて見上げてくる。
そのポーズ自体が既に反則だと思う。
だから、ちょっとばかり嗜虐的な部分がチラついてきても、それはしょうがないってものだよね?
 
 
 
 
「他の人に見られたのは、やっぱり悔しいな」
「えっと・・・・」
「後でお仕置きね、フェイトちゃん」
「・・・・っ!!?」
 
 
 
 
暑さのせいじゃなく、顔を真っ赤にフェイトちゃんは本当に可愛いい。
当然そのままお持ち帰りした私は、誰にも見せないフェイトちゃんを一人でたっぷりと堪能したわけで。
真夏日よりも暑い1日は、こうして幕を閉じたのでした。

 

  
 

...Fin


 


あとがき(言い訳)

シャツから透ける下着は夏場の醍醐味っ(殴)
最近どんどん壊れていくキッドです、ごめんなさい(汗)
ネタ自体は前からあったんですが、
軽トラ様の「魔法少女透けてます」を拝見してから妄想の赴くままに書き綴ってしまいました・・・・
うちで透けちゃったのは、なのはさんじゃなくて、フェイトさんでしたが。
とりあえずSっ気なのはさんが書きたかっただけだったりもします(マテ)
そして作者のくせに、お持ち帰りの内容が気になります。
書いてしまえと脳内の小人さんが囁くんですが、どうしましょうか?(苦笑)

2007/8/10著


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