空の上には












『星が見えないね』




空を見上げてぽつりと君が呟いた。
言われて顔を上げれば確かに曇天の空に星はなく月明かりさえも降りてこない。




『しょうがないよね』




だって梅雨だもん。
……そう言った君の声が寂しそうに聞こえて、私はまた空を見上げた。
幸い雨は降っていない。
それでも厚い雲に覆われた空は途切れることなく灰色に染まっていて、どれだけ待っても晴れることはないのだろう。




『フェイトちゃん?』




それは仕方のないことだ。
だって天候は自然現象で晴れて欲しいと願ったところでそうなるというものでもない。
まして梅雨に入った今の時期、毎日が雨や曇り空でもおかしくないのだからこれは当たり前のことだった。




『……どうしたの?』




……だけど私は諦めきれない。
馬鹿なことを、と冷静な自分が囁くけれど、馬鹿でもいい、馬鹿でも別に構わないと思ってしまう私は本当に馬鹿なのだろう。
我慢できないのだ。
それがどんなに些細なことでも、私の傍で君に寂しそうな顔なんてさせたくない。




『ふぇい……』
『黙って』
『え……きゃっ!?』




君の手を引いて腰を抱く。
ここ外だよ!?なんて慌てる君に大丈夫と微笑んで小さな結界を張って大地を蹴った。
ふわりと浮く私となのはの身体。
私の意図を察して、止めるべきか自身も魔法を発動するべきか、揺れる瞳を腰を抱く腕に力を込めて黙らせる。
なのはは何もしなくていい。
これは私の我がままだから。




『……フェイトちゃんて、時々ちょっとごーいん……』




少し唇を尖らせながら言う君に、そうかな?と、とぼけてみせて雲の上まで飛翔する。
そして雲を抜けると目の前に広がる、空。




『強引な私は、嫌い?』
『……ばか』




……嫌いになんかなれないもん。
そう言って私の首筋におでこを押しつける君に、うん、よかった、と笑って空を見上げた。
満天のスターライト。
私達だけの特等席。




『綺麗だね……』
『うん……』




二人だけの空の世界で。
君の方が綺麗だよ。
……なんて言えない私は、代わりに君の額に口付けた。




『……好きだよ、なのは』




世界で唯一、君だけが私の絶対。



 
 

...Fin

 
 


あとがき(言い訳)

ごきげんよう生きてますキッドです、なんか最近これしか言ってない気がします(苦笑)
いかん、マジで一ヶ月に一回ペースの更新とかやばすぎる私(滝汗)
お仕事とプライベートがもうちょっと落ち着いてくれればなー……と思いつつ、
いつも同じようなこと言ってる気がします(^^;)
とりあえず梅雨ですよ雲と雨ばっかになってきましたよーってことで梅雨なのフェイ。
魔法をそんなことに使っちゃいけませんでもなのフェイだからいいんですとかそんなお話w
もう少し糖度高めなお話も書きたいのでまたちょいちょい制作しますー☆

2013/6/20


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