七夕前夜


 
 
 
 
 
 
 
 
7月6日、七夕の前日ということで、
全国的にも子供のいる家庭では、笹と短冊を準備する家が多いわけでして、
ご多分に漏れず、我が家でも帰宅すると笹の準備がされていた。
 
 
 
 
「うーん、だいたいこんな感じかな?」
「ただいま〜♪」
「あぁ、お帰りなのは」
「ただいまフェイトちゃん。あれ、それって笹だよね?」
「うん、明日は七夕だから」
「あー、そういえばそうだね」
 
 
 
 
こっちにいると日本の行事はつい忘れがちだが、それでも私が思い出す前に、
毎年だいたいフェイトちゃんが準備をやってくれるので、こうして七夕に限らず、
お花見やお月見、クリスマスやお正月なんかも欠かさずに続けていたりする。
 
 
 
 
「私は初めての七夕の時も楽しくて、・・・その、嬉しかったから、ヴィヴィオも喜ぶんじゃないかと思って」
「そっか・・・・ねぇフェイトちゃん、嬉しかったのってどうして?」
 
 
 
 
あの頃のことを思い出したのか、本当に嬉しそうに話すフェイトちゃん。
それを見て、ついついいじりたくなってしまった。
だって、格好いいフェイトちゃんも好きだけど、可愛いフェイトちゃんも好きなんだもん。
 
 
 
 
「え、あ、そ、それはだって・・・・」
「だって?」
「なのはが・・・・」
「私が?」
「私と・・・・、ずっと一緒にいたいって、書いてくれたから・・・・・・・」
「・・・・・フェイトちゃ〜ん!」
「きゃっ、・・・・もう、なのはったら」
「えへへ・・・・」
「なのは・・・・」
「フェイトちゃん・・・・・」
 
 
 
 
思わずフェイトちゃんに抱き付いて、ゆっくりと見つめ合う。
そしてそのまま近付いていって・・・・・・・
 
 
 
 
もぞもぞ・・・・
 
 
 
 
びくっ、として二人の動きが止まる。
 
 
 
 
「ママぁ〜・・・・」
 
 
 
 
ヴィ、ヴィヴィオ・・・・起きちゃったのね・・・・・・
 
 
 
 
「なのはママぁ〜」
「あはは・・・ただいまヴィヴィオ」
「んあ、おかえりなさ〜い・・・・」
 
 
 
 
うぅ〜ん、ちょっと寝ぼけてるね。
これなら抱っこしてるうちにまた寝ちゃうかな。
 
 
 
 
「・・・・フェイトママ、こぇなぁ〜に?」
「えっと、七夕って言ってね、7月7日には笹に願い事を書いた短冊を下げる風習があるの」
 
 
 
 
興味をしめしたヴィヴィオに、簡潔に説明するフェイトちゃん。
織り姫と彦星のあたりに関しては、ややっこしくなるので省略したらしい。
 
 
 
 
「願い事ぉ?」
「そう、明日になったらヴィヴィオも一緒に短冊を書こうね」
「うん!」
「ヴィヴィオは何をお願いしたい?」
「うんと・・・・えへへ、秘密〜」
「むむっ、じゃあなのはママも秘密にしちゃお〜」
「うん、じゃあフェイトママも秘密」
「えー」
「ふふ、さあヴィヴィオもそろそろ寝よう?なのはママも一緒に寝るから」
「はぁ〜い・・・・」
「じゃあなのは、私は色々片付けてから寝るから、ヴィヴィオお願い」
「うん、ごめんねフェイトちゃん」
「気にしなくていいよ、おやすみなのは、ヴィヴィオ」
「おやすみフェイトちゃん」
「おやすみなさいフェイトママ」
 
 
 
 
そのまま片付けはフェイトちゃんに任せて、ヴィヴィオをベッドまで運ぶ。
だいぶウトウトしてるから、これならすぐ寝ちゃうね。
ヴィヴィオを寝かせて、私もその横に潜り込む。
 
 
 
 
「おやぁすみなさい、なのはママ」
「うん、おやすみヴィヴィオ」
 
 
 
 
抱き締めて髪を撫でていると、すぐに寝息が聞こえ始めた。
ヴィヴィオの安らかな寝顔が見える。
・・・・子供って可愛いな。
 
 
 
 
「なのは・・・・ヴィヴィオ寝ちゃった?」
「お疲れ様フェイトちゃん。うん、よく寝てるよ・・・・」
 
 
 
 
片付けを終えたフェイトちゃんが、ヴィヴィオを挟んで反対側に潜り込む。
そのままヴィヴィオと私を包み込んでくれる。
 
 
 
 
「うにゅ、ママぁ〜・・・・・」
「あはは、どっちの夢見てるのかな?」
「そうだね・・・・きっと、3人でいる夢だよ」
 
 
 
 
そう言ってフェイトちゃんは優しい笑顔を見せる。
元々優しいフェイトちゃんだけど、最近は特にそう。
 
 
 
 
「・・・・ヴィヴィオ効果かな?」
「ん?何が?」
「フェイトちゃんの雰囲気が、いつもより更に優しいから」
「ふふ、それを言ったらなのはもだよ」
「そっか、子供ってすごいね」
「そうだね・・・・ねぇなのは」
「何、フェイトちゃん?」
「なのはは何をお願いする?」
「ん、そうだね〜・・・・たぶん、フェイトちゃんが考えてるのと同じこと、かな・・・・・・」
「そっか・・・・私もね、きっとなのはと同じだよ・・・・・・」
「うん・・・・そろそろ寝ようか。おやすみフェイトちゃん」
「ん、おやすみ、なのは・・・・」
 
 
 
 
そうして、暖かい気持ちの中、私達は穏やかに眠りの中へと落ちていった。
 
 
 
 
 
翌日、沢山の飾りが揺れる中に幾つもの短冊が下がっていた。
そして書き方は違えど同じ内容の短冊が3つ。
 
 
 
 
『いつまでも3人一緒にいられますように』、と。
 
 
たった一つの短冊に、ありったけの想いを込めて・・・・・・

 
 
 

...Fin


 


あとがき(言い訳)

ヴィヴィオの可愛さは犯罪級だと思います!(いきなりなんだ)
っていうか、ヴィヴィオを見てるなのはさんとフェイトさんの感じが好き♪
幸せとか優しいオーラが全開なんだもん。
そんなわけで今さらながらに七夕の家族SSです。
内容自体は・・・・まぁぶっちゃけありきたり?でも幸せ家族が書きたいからいいんです!!(開き直るな)

小説本文自体は七夕頃に書いたんですが、その頃はまだなのはSS館が稼動してなかったので(^^;)
1作目と2作目はあの2本で行きたかったし。
おかげでこれのお披露目が7月終わりかけになっちゃったわけなんですが(汗)
まぁ季節はずれにまでならなかったからいいかしら、と思いつつ♪

さてさて、とりあえず明日は別のSSを更新予定です。
でもうまくネタの神様が降りてきてくれたら、なのはSSも更新できると思うんで、
雨乞いならぬネタ乞いでもしておこうかと(笑)
7月中は1日最低1SSを合言葉に頑張りますんで、皆様生暖か〜く見守っててくださいね〜(キ^^)ノ

 

2007/7/25著


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