漁夫の利


 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・はぁ」
 
 
 
 
フェイトちゃんとヴィータちゃん、
正確にはフェイトちゃんが、ヴィータちゃんを追いかけて行ってしまったため、
置いてきぼりにされ、取り残された私は思わずため息をついた。
なんか、最近こんな風に、フェイトちゃんが怒りっぽいんだよね・・・・・なんでだろ?
 
 
 
 
「な〜のはちゃん♪」
「ふみゃあっ!?」
 
 
 
 
そんな無防備な背中に突貫してきたのは、
やっぱりというかなんというか、当然はやてちゃんなわけで・・・・
 
 
 
 
「あれ、なのはちゃん、またちょお大きくなったんちゃう?」
「ま、待って、人前でそれは待って、はやてちゃん!!」
「むふふ、ほんなら人前やなかったらええんやね?」
「そ、そういう意味じゃなっ・・・・!?」
「ほうかほうか、今度のオフが楽しみやな〜、ぐふふ」
 
 
 
 
ぐふふ、って・・・・・・
なんだか最近、はやてちゃんのオヤジ癖に拍車がかかってきてる気がする。
おかげでそこはかとなく、身の危険を感じてます。
 
 
 
 
「うぅ・・・・はやてちゃん最近意地悪だよ〜」
「ええやんか、なのはちゃんが可愛すぎるんが悪いんやし」
「えぅ、わ、私のせいなの〜?」
「当然やんか?そんな可愛い顔で、可愛い反応する方が悪いんや」
「そんな〜・・・・」
 
 
 
 
そんなこと言われも・・・・要するに抵抗するなってこと?
 
 
 
 
「ちなみに抵抗せんのやったら、好き放題させてもらうんでよろしく!」
「もっと悪いよー!!」
「まぁええやん、どっちにしろなのはちゃんは可愛くて、私は色々堪能させてもらえるっちゅーことで♪」
 
 
 
 
あぅぅ・・・・本気で言ってるよはやてちゃん・・・・・・
で、でも今度のお休みはフェイトちゃんに合わせてもらってるから、一人じゃないし・・・・・
大丈夫・・・・だよね?
・・・・・多分。
 
 
 
 
「ところでなのはちゃん、何でこんなとこで突っ立ってたん?」
「はやてちゃん、普通それ最初に聞かない・・・・?」
「あははー、せやな〜。なのはちゃんの胸のことしか考えてへんかったわ〜、堪忍な〜?」
 
 
 
 
謝るところが違う気がするよ、はやてちゃん・・・・・・










「それで二人とも行ってもうたと・・・・ヴィータもフェイトちゃんも、しゃーないな〜」
 
 
 
 
ヴィータちゃんとフェイトちゃんが行っちゃった後、
たまたま立ち寄ったはやてちゃんに、そのまま引きずられるようにして、ラウンジでお茶をしてるんだけど・・・・
少し前に、同じようなことをしたはやてちゃんが、それを言ってもな〜、というのが正直な感想だったり。
私がジト目で見つめてると、はやてちゃんは、あはは〜と笑って誤魔化した。
 
 
 
 
「いや、すんません、この間のはほんまに反省しとるから」
「・・・・ほんとに?」
「ほんまほんま、せやから許してーな、なのはちゃん」
「むぅ・・・・・」

「まぁそれにしても、フェイトちゃんも毎回毎回大変やな〜」
「え・・・・はやてちゃん、毎回って?」
「あれ、なのはちゃん知らんの?3日前と5日前にも同じようなことがあったんやけど・・・・」
「ええっ!?ほ、ほんとに?」
「ほんまやで〜、まぁバルディッシュ持ち出したりはせえへんかったから、大した騒ぎにはなっとらんけどな」
 
 
 
 
し、知らなかった・・・・・・
どうして言ってくれなかったんだろうフェイトちゃん。
うぅん、それよりもどうして最近フェイトちゃんは怒りっぽいんだろう。
・・・・ひょっとして私が何かしちゃったのかな・・・・・・・?
 
 
 
 
「ねぇ、はやてちゃん」
「ん〜?」
「フェイトちゃんはどうして最近怒りっぽいのかな・・・・?」
「・・・・は?」
「私が、何かしちゃったのかな・・・・・・」
「えーっと・・・・なのはちゃん、それ本気でゆうてる?」
「え、あれ、だ、だって、フェイトちゃんが怒りっぽくなったのって、私と付き合い始めてからだし・・・・」
 
 
 
 
だから、知らないうちに私が何かしちゃって、それでフェイトちゃんの機嫌が悪いのかなって思って・・・・・
 
 
 
 
「まぁ、なのはちゃんが大元には間違いないけど、フェイトちゃんは別に、なのはちゃんに対して怒ってるんとちゃうよ?」
「・・・・・そうなの?」
「怒ってるゆうよりかあれや、ヤキモチ妬いてるっちゅーか、悪い虫の駆除ゆーか・・・・」
「ヤキモチ?駆除?」
「・・・・なのはちゃん、ほんまに分からへんの?」
「え、あ、うん・・・・・」
「ほんま、フェイトちゃんの苦労がよう分かるわ・・・・」
 
 
 
 
はぁ〜、と盛大にため息を吐くはやてちゃん。
だ、だって、悪い虫とか何のことだか分からないし、
ヤキモチだって、私が好きなのは、その、フェイトちゃんだけなんだし・・・・・・
 
 
 
 
「ほんならなのはちゃん、フェイトちゃんの隣に別の人がおってもええん?」
「え・・・・?」
 
 
 
 
フェイトちゃんの隣に、私以外の人が・・・・・?
 
 
・・・・ぅ、それは、確かにイヤかも・・・・・・・・
 
 
 
 
「前にゆうたやろなのはちゃん、鈍すぎるんも考え物やでって」
「ご、ごめんなさい・・・・・」
 
 
 
 
そうだ、前にフェイトちゃんの様子がおかしくなった時も、はやてちゃんに注意されたのに・・・・・

もっとフェイトちゃんがいつもどう感じてるのか、ちゃんと考えなきゃね、うん。
 
 
 
 
「まぁ私はそのお陰で、なのはちゃんとのティータイムをのんびり満喫できるんやけどな〜」
「別に相談事が無くても、時間がある時ならお茶ぐらいいつでも付き合うよ?」
「あー・・・・、まぁ、それが鈍いっちゅうことなんやけどな」
 
 
 
 
そう言ってはやてちゃんが苦笑する。
私、またなんか間違ったのかな・・・・・?
 
 
 
 
「まぁええわ。ほんならそろそろ、アドバイス料の方をもらってええやろか?」
「え、アドバイス料・・・・って、待って、その手の動きはお願いだから待って!!」

「待てといわれて待ったらあかーーーん!!!!」

「そ、そんなのおかし・・・・きゃーーーーーー!!!
 
 
 
 
 
・・・・しばらくお待ちください・・・・
 
 
 
 
 
「いやー、やりすぎてもうたわー、堪忍なぁ〜なのはちゃん?」
「うぅ、ひどいよはやてちゃん・・・・・・・」
「あはは〜、これは私となのはちゃんの熱愛説が流れてまうかもしれへんな〜」
「冗談じゃすまないよはやてちゃん・・・・うぅ」
 
 
 
 
熱愛っていうより痴漢行為の現行犯だと思う。
しかもさっき、オフがどうとかって言ってたくせに・・・・はやてちゃんの嘘吐き。
これは何がなんでも、フェイトちゃんの耳に入る前に釈明しなくては。
 
 
 
 
「心配せんでもええて。フェイトちゃんと別れたら、私がなのはちゃん引き取ったるからな?」
「わ、別れたりしないもん!はやてちゃんの意地悪・・・・!」
「まぁそう怒らんと、可愛い顔が台無しやで?」
「もぅ、怒らせてるのははやてちゃんじゃない」
「せやけど、なのはちゃん可愛ええんやもん。ちょっかいだしたなるねんって」
「はやてちゃんそればっかり・・・・」
「ほんまやで?まぁせやけどなのはちゃんが泣くんは困るし、また相談にはいつでものったるからな?」
「・・・・うん、ありがとうはやてちゃん」
 
 
 
 
そう言って私の頭を撫でるはやてちゃん。
結局いつも、こうやって許しちゃうんだよね。
はやてちゃんもそれを分かってやってるから困りものだ。
目が合って、笑い合って、いつだってこうやってはやてちゃんには敵わないんだろうな〜と苦笑するのでありました。
 
 
 
 
 
 
<おまけ>
 
 
 
 
「ごめんなのはちゃん、確かにこれはちょお納得いかんわ・・・・」
「わかってくれて嬉しいよ、はやてちゃん・・・・」
 
 
 
 
局内でデバイスを振り回した、フェイトちゃんとヴィータちゃんの監督責任をなぜか問われ、
私とはやてちゃんは、またもや始末書を書かされるに至ったのでありました。
色んな決意とは裏腹に、始末書だけが増えてゆく、そんな今日この頃です・・・・・

 
 
 

...Fin


 


あとがき(言い訳)

いや、違う、違うんだ!
気がついたらはやて師匠が暴走してて、止められなかったんだ!!
私のせいじゃなっ(ブレイカー!)

げふげふ、そんな訳でうちのはやて師匠は時たま鬼畜攻めであることが判明いたしました。
だから断じて私のせいじゃ(サンダーレイジ!)

あぅ、師匠と一緒に調子に乗りました、ごめんなさい(汗)
普通にお茶して師匠がなのはさんをしばらく独り占めするだけだったはずなんだけどな〜・・・・(^^;)

と、とりあえず次回以降は真面目にフェイなのに戻ってくると思いますんで、お許しくださいませ(逃げ) 

2007/7/28著


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