世界の果てまで アフター1














色々あった大騒動も終わり、戻りはじめた私の日常。
といっても特に何かすることがあるわけでもないので、毎日もへーっと好きに過ごしたり眠りにつくくらいなのだが。
あ、ちゃんと所謂お仕事ってものもしてるよ?
魔法関連のあれこれとか中心に。
ニートではない、うん。
ちゃんと稼いではいるし、お家……もといお城の心配もない、唯一問題点をあげるとすれば……
 
 
 
 
「毎日フェイトちゃんがうざいくらいで」
「声に出てるよなのは!?」
「出してるもん」
「ひどいっ!」
 
 
 
 
毎日こんなに尽くしてるのに!……なんて叫ぶフェイトちゃん。
間違ってはいないけど鬱陶しいことに変わりはない。
 
 
 
 
「掃除も洗濯もしてるし……毎日新鮮な血だってあげてるよ!」
「その辺はまぁそうなんだけど……」
「ちゃんと夜のお勤めも忘れてないし!」
 
 
 
 
むしろそれがダメなんだけど。
だいたいそれは私のためというよりフェイトちゃんがしたいからでしょ。
 
 
 
 
「え、でもなのはも結構……いえなんでもないです」
 
 
 
 
余計なことを言おうとするフェイトちゃんをジロッと一睨み。
分かってても言っちゃいけないことってこの世にあると思うの。
 
 
 
 
「ていうかフェイトちゃん、龍族って生活は部族単位だよね? 一人だけここにいていいの?」
「え、家族もよんでいいの?」
 
 
 
 
殴っていいかな?
 
 
 
 
「あはは、冗談だよ。えっとね、ちゃんと最初に話し合ってから出てきてるから大丈夫だよ」
「そうなの?」
「うん、私なのはと結婚するから! ……って」
「……」
 
 
 
 
さすがに家族や集落の皆に報告するのはちょっと恥ずかしかったんだけど。
……なんて照れ臭そうに笑うフェイトちゃん。
うん、可愛い、可愛いけどそれって初めて会ったすぐ後だよね。
私の承諾もなしに何吹聴してきたわけ、ねぇ?
しかも話し合いって言わないよねそれ?
色んなところが果てしなく一方通行すぎるでしょ!?
 
 
 
 
「だってなのはを愛してるから」
「うん、なんでも愛で片づけるのやめようね?」
「でも愛してるんだよ?」
「だからそういう問題じゃないってば……」
 
 
 
 
噛み合っているようでまったく噛み合っていない私とフェイトちゃんの会話。
普段は素直だしちゃんと常識的なのに、どうしてこういう時ばかり変な方向に頑固になるのか。
ていうかなんでそんなに私を好きかな……
 
 
 
 
「ん……? どうしたのなのは?」
「むぅ……」
「……あ、もしかしてお腹すいた?」
「いや、すいてなくはないけど……って、近い近い近い!? 寄ってこないの! 脱ぎ脱ぎしないのっ!」
 
 
 
 
じっと見つめる私の視線に、首を傾げるフェイトちゃん。
そして勝手に自己解決すると、瞳をキラキラさせていそいそ服を脱ごうとしながら寄ってくる。
女の子が自分からそんな風に服を脱ごうとしちゃいけません!
 
 
 
 
「あ」
「ふぇ……?」
「脱がしてもらう方がよかったのかな?」
「……………………」
 
 
 
 
ガブッ!
 
 
 
 
「いったぁーーっっ!?」
「むーー!!」
「な、なのは……実はそういうプレイがすいたたたたたっ!?」
 
 
 
 
ガジガジガジッ!!
 
 
 
 
「こ、これもう吸血関係な……」
「ほれもはほにひふよふなほ!(これもたまには必要なの!)」
「絶対うそ……いたーっ!」
 
 
 
 
じたばたもがくフェイトちゃんに構わずおもいっきり牙を突きたてる。
それでも余計なことばかり言うフェイトちゃんにガジガジと噛みつく。
さすがにこれはフェイトちゃんでも痛いらしい。
……痛覚鈍めなんだよね、龍族って。
 
 
 
 
「いや、そりゃ私だって多少は痛い……って、しかも吸うの!?」
 
 
 
 
一矢報いた?ところでせっかく牙を立てたのだからとフェイトちゃんから血を吸い上げる。
龍族独特の人より魔力の濃い血が流れ込む。
初めて会った時に一舐めでもしておけばフェイトちゃんが龍族だって気がついたのになぁ……
あの時にちょっとくらい舐めておけばよかった、残念。
 
 
 
 
「なのは、そんなに一生懸命吸わなくて私はもうなのはのもの……あいたぁー!? しかも吸いすぎー!?」
 
 
 
 
こんな状況でも相変わらず私をイラッとさせることにかけては最早世界一になったフェイトちゃん。
いっそこのまま身体中の血を抜いてやろうかと本気で思う。

……だけど。
 
 
 
 
「……なのは」
「……」
「愛してる……」
 
 
 
 
抱きしめられて、耳元で囁かれる。
深くて優しいこの声を、私は結局、嫌いにはなれないらしい……



 
 

...Fin 
 
 


日付をみたら世界の〜は4の更新から半年が経ってましたごきげんよう、いやぁぁぁー;;;
色々連載に手を出したりあっちこっちしてるからだって言うのは分かってるけど、また間が空いたなぁと;;
はい、というわけでアフターの一個目完成です。
普通になのフェイその後ですが……うん、予想通りの内容でした(笑)
相変わらずラブ全開のフェイトさんとなんだかんだ言ってフェイトさんといるなのはさん。
かなりほだされてきてる気がいたしますw
きっとなのはさんが素直になる日はまだまだ当分先だと思いますが……
時間だけはどっちも無駄にある種族なので、のんびりやっていくんじゃないかなと思ってます。

さて、次のアフターはどこ書こうかな……久しぶりにアリすず、とか……?(笑)

2011/11/13著


リリカルなのはSS館へ戻る

inserted by FC2 system