夏色アイランド!〜どっきりな夏休み!〜
こんにちは、高町ヴィヴィオです! 毎日訓練に勉強に学校に、と明け暮れた一学期。 気がつけばあっという間に夏真っ盛り! あわわな期末テストも無事に乗り切り、私達は夏休みに突入しました。 まぁ、だからって学校が無いだけで、やることがそう変わるわけじゃないんだけど…… でもそこはやっぱり夏休み、普段じゃ出来ないことも出来ちゃったりするんです。 「ヴィヴィオー? 準備できたー?」 「あ、はーい。準備万端だよなのはママ!」 「忘れ物は大丈夫かな?」 「平気平気♪」 バタバタと出かける準備を進める私達。 荷物の確認をしているなのはママで、車に荷物を積んでるフェイトママ。 呼ばれた私は二人の元へ駆け寄ってブイサインをした。 ふふふ、ちゃんともう荷造りは済んでるんだ。 いつまでもなのはママにまとめてもらう私じゃない。 ……代わりにクリスに手伝ってもらって、結構ギリギリだったのは秘密ってことにしておこう。 「でも今回はすぐに取りに来れる場所じゃないからね」 「だいじょーぶ、ちゃんと確認だってしたもん。それにー、忘れ物ならフェイトママの方が心配だよー?」 「えぇぇぇっ!? そ、そんなこと、ないと思うけど……」 「うーん……確かにフェイトちゃんの方が心配かも」 「な、なのはまでっ!?」 クスクスと笑う私となのはママに、フェイトママはちょっぴり慌ててる。 ひどいよ二人ともー、なんて文句を言ってるけど、フェイトママのうっかりはこれで中々、どころか結構すごいのだから仕方ない。 あくまでうっかり、の範疇だから基本大したことはないんだけど、ちょっとした騒ぎになっちゃうことだってあったりする。 大体はなのはママ絡みだから問題ないけど……いくらママに早く会いたかったからって、連絡用の端末忘れて帰ってきちゃったらダメだよね……シャーリーさんが持ってきてくれたからよかったんだけど。 「あ、あれは、だって、緊急の案件なら直接連絡が来るわけだし……」 「もぉー、そういう問題じゃないって分かってるでしょうフェイトちゃん」 「うぅぅ、それは、そうなんだけどね……」 それでもフェイトママ的にはそんなに大したうっかりじゃない、と言いたいらしい。 諦め悪く、色々抵抗してるけど…… 「フェイトちゃん?」 「……はい、ごめんなさい……」 あ、撃沈した。 やっぱりなのはママには勝てないみたい。 「それにいつも言ってるけど……急いで帰ってきてくれるのは嬉しいけど、それでフェイトちゃんが事故にでもあったら、なんて思うと、本当に心配なんだよ……?」 「なのは……大丈夫だよなのは。なのはが待っててくれるんだから、いつだって無事に帰ってくるよ」 「ほんと……?」 「うん、約束」 「フェイトちゃん……」 「なのは……」 そしてそのまま、うっとりと見つめ合うなのはママとフェイトママ。 何回似たような約束をすれば気が済むのか。 娘の私が見てたってお構いなしだ。 ……いや、それどころか、この感じだと私のこと忘れてるんじゃないかな? ひょっとしてひょっとしなくても。 「……もしもーし…………」 とりあえず声をかけてはみるけど、二人はぴくりとも動かない。 可愛い娘はアウトオブ眼中ですか、そうですか。 昔は私も純粋にママ達の仲の良さを喜んだものだけど、最近はちょっと、いやかなりはやてさんの気持ちがよく分かる。 今回の旅行だって『いやや! うちの子達の誰も都合つかんかったのに、私だけでなのはちゃん達のイチャイチャなんて見とうない、絶対にいやや!!』……とか言って断られちゃったんだから。 確かにこの前も皆で遊びに行ったばかりだし、はやてさん的にはもうお腹いっぱいなのかもしれない。 運悪く?フェイトママにバルディッシュで追いかけられたし……いい加減セクハラに命かけるの、止めればいいのになぁ……無理かなぁ、はやてさんだし。 まぁそんなはやてさんの話は置いておくとして……いい加減二人に戻ってきてもらわないと暑くってかなわない。 夏場は特に。 なんだか空気が、体感で三度くらは普通に上がってる気がするし。 いつもこれを見せられてるはずの、免疫なんてないだろう局員さん達が心配になっちゃうくらいだ。 「……ヴィヴィオさん?」 「はぅわっ!? こ、こんにちはアインハルトさん!」 「す、すみません遅くなって……あの、それで、なのはさん達は……」 「いえ、はい、むしろいいタイミングというか、なんか申し訳ないタイミングといいますか……」 さてどうしたものか、と首を捻っているうちにアインハルトさんが来る時間になっていた。 少し遅れたかと申し訳なさそうなアインハルトさんだけど、むしろこの状況の方が申し訳ない。 相変わらずママ達はあっちの世界に行っちゃってるし。 「ちょ、ママ、ママってば!」 「……ん? あ、アインハルトちゃんいらっしゃい♪」 「こ、こんにちはなのはさん……あの、本当に今日、私もご一緒してよろしいのでしょうか……?」 「遠慮することないよアインハルト」 「そうそう、アインハルトちゃんがいる方が楽しいし、ヴィヴィオだって喜ぶし♪」 「ちょ、なのはママ!?」 「あれ、違った?」 「ヴィヴィオさん……?」 「はわわわっ……う、嬉しいです! ものすっごく!!」 ゆさゆさと揺さぶって、ようやく戻ってきてくれたなのはママとフェイトママ。 未だ遠慮の抜けないアインハルトさんに、にこーっと笑いかけると矛先をこっちに変えてきた。 顔がはやてさんっぽい時は要注意だ、と思ったら案の定さっくり余計なことを言ってくれた。 いや、嬉しいですよ? 嬉しいに決まってるじゃないですか。 ……だからってママ達と違ってそういうのは恥ずかしいんだってば! 分かってるくせにもぉーーっ!! 「にゃはは、ごめんごめん」 「うぅぅぅ……」 「ふふ、じゃあそろそろ行こうか、アインハルトの荷物はそれで全部かな?」 「あ、はい、お願いします」 ごめんね、と私の頬をつつきながら、なのはママがむぎゅっとくっついてきた。 フェイトママは微笑ましそうに、ついでにちょっと羨ましそうに見てるけど、私からすればなんだか二重に恥ずかしい。 たかが十歳、されど十歳。 人前で甘えるのはそろそろどうかと思うんです、はい。 「あの、ヴィヴィオさん……?」 「いや、えーと、これはですねアインハルトさん……」 「ん? ……アインハルトちゃんもヴィヴィオ抱っこしたいの?」 「はっ!?」 「ふぇぇっ!?」 抜け出そうとしても、べったりくっついて離れてくれないなのはママ。 その様子を見ていたアインハルトさんに向かってそんなことを言い出した。 ど、どこをどう考えたらそうなるのなのはママ!? 突拍子もないことを言う相手はフェイトママだけにしようよ、ねぇ! 「えと、ヴィヴィオ、今何か……」 「ううん、何にも♪ フェイトママの方こそ、なのはママをぎゅーしたいんじゃないの?」 「そ、そんなことは……」 「無いの?」 「したいです」 「にゃはは、もぉーフェイトちゃんってば可愛いなー♪」 「な、なのはの方が可愛いよ♪」 「フェイトちゃんだってば♪」 「なのはだよ♪」 ……等々、気がつけば延々と続いている二人の惚気。 咄嗟になのはママをフェイトママに押しやったけど……うーん、ちょっと失敗だったかも。 アインハルトさんなんてぽかんとしてるし。 この数カ月で何回か見てるはずだけど……まだ免疫が出来てないらしい。 すいませんアインハルトさん、でも慣れてくださいとしか言えないんです…… 「……あの……ヴィヴィオさん、出発は……いつに?」 「あー、えーっと……もう少し、かかるかも、ですね……あ、あはは……」 今回の旅行は一泊二日の短い行程。 なのに出発まではそれから更に、三十分もの時間が必要になるのでした……
...To be Continued
2011/8/6著
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