第二話『なのは様、奔走す!』

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・というわけで、ユーノ君にも協力して欲しいんだけど」
「RH突きつけながら言うセリフじゃないよね・・・・」
「そうかな?だって交渉ごとは、まず強気に出ないとじゃない?」
「交渉っていうより、脅迫だってば・・・・はぁ」
 
 
 
 
フェイトちゃんとはやてちゃんをお嫁さんにしたい、と宣言した翌日。
根回しの一環として、私はまずユーノ君のところに顔を出していた。
笑顔で話を切り出し、即了承を取り付けるつもりだったのに、反応は芳しくない・・・・むぅ。
 
 
 
 
「だいたい、僕に手伝えることなんてろくに・・・・」
「無いとは言わせないよ。無限書庫司書長の影響力、小さくは無いはずだよね」
 
 
 
 
私と同い年である、歳若き司書長。
だけど、無限書庫の重要性に比例するように、彼の影響力は大きい。
様々な文献を保管・運用する無限書庫は、文官のみならず、一部の武官達にも重用されている。
公国の頭脳の根幹に位置しているといっても、けして過言ではなかった。
 
 
 
 
「ふぅ・・・・君は昔から、本当に無茶なことばかり言い出すね」
「んー・・・・どのくらい?」
「そうだね・・・・アルティミアオオクジラと素手で戦おうとするくらい、かな」
「それ、死亡フラグだよユーノ君」
 
 
 
 
やれやれ、と首を振る彼に対して、今度は私が苦笑する。
アルティミアオオクジラとは、ミッドチルダ南部のごく限られた地域にのみ生息する、超巨大生物のことである。
クジラとは言うものの、生息地は火山であり、マグマの中をも平然と泳ぐ厚く硬い皮膚に覆われた、
クジラに手足が生えたような、奇妙な生き物なのだ。
状況次第では、最強種である竜種とだって、タメをはれるだろう。
さすがに、デバイスも無しに単身でやり合おうなんて、いくら私だって思わない。
 
 
 
 
「そんなのと比較される程、無謀じゃないと思うんだけどなぁ・・・・」
「二、三百年前の混沌の時代ならね。でも現代じゃ他人の婚約者を掠め取るなんて、そうそう許されるものじゃないよ」
「掠め取るなんて人聞きの悪い・・・・私ははやてちゃんを守りたいだけだよ」
「たとえそうでも、周りは納得しない。特に貴族連中はね」
「それは分かってる、でも手続きを踏んだ上でなら、文句は言えないよね」
「手続き?」
 
 
 
 
首を捻るユーノ君に、私はアリサちゃんがまとめてくれた計画書を手渡した。
読んでしまえば後戻り出来なくなると分かっているユーノ君は、書類を手に僅かに逡巡するも、
一つ溜め息をつくと、計画書に目を通し始めた。
 
 
 
 
「これは・・・・」
「制度自体は、まだ廃止されていないはずだよね」
「確かに廃止はされていないけど・・・・またよくこんな制度を探し当てたね」
 
 
 
 
しかもたった一日で。そう苦笑交じりに呟くユーノ君に、私は胸を張って答える。
 
 
 
 
「うちの大臣は世界一なんだよ、知らなかった?」
 
 
 
 
フェイトちゃんの方はまだ外圧がかかってる程度で済んでいるけれど、はやてちゃんの結婚の日取りまでは、あまり時間が無い。
もちろんフェイトちゃんの方だって、時間がかかればかかる程、やっかいな連中の動きが活発になっていくのは目に見えている。
全体的に時間が足りないのだ。行動は早ければ早いほうがいい。
とはいえ、たった一日でこれだけの計画書を作り上げるなんて、さすがに予想してなかった。
ひょっとしたら、私がああ言い出すってことも見抜かれてたのかもしてない。きっとアリサちゃんには一生頭が上がらないと思う。
 
 
 
 
「知ってるよ、さすがアリサだね」
「うん、とりあえず拝んで崇めておいた」
「いや・・・それはちょっと・・・・・」
 
 
 
 
司法ラインとしては、ボーダーすれすれな手かもしれないが、
制度が廃止されていない以上、申請が通れば堂々とはやてちゃんを迎えにいける。
もちろん表向きは、だけれども。
 
 
 
 
「だから、ユーノ君には絶対に協力して欲しい」
 
 
 
 
それでも、この申請を通さないことには、何も始まらない。
そしてその為にも、ユーノ君の協力は何としてでも得たかった。
 
 
 
 
「・・・・なのははさ、何でここまでしてはやて、それにフェイトを欲しがるの?」
「それは・・・・好きだからだよ。私にとってフェイトちゃんとはやてちゃんは、何よりも大切な人なんだ」
「それで、なのはは幸せになれるの?」
「・・・・先のことは分かんないよ。だけど、誰にも渡したくない」
「なのは・・・・」
「何もかも見なかったことにして、何もしないでいるなんて、そんなの私は嫌なの」
 
 
 
 
きっと、私が全部諦められれば、表面上はうまくいくんだと思う。
彼女達への想いも執着も、全部無かったことにすれば。
けれど、分かったのは、私はそんなに諦めのいい人間なんかじゃないってこと。
夢に見たから二人をお嫁さんにする、なんて間抜けな発言をしてまで、彼女達を望んでいるってこと。
それに、フェイトちゃんとはやてちゃんだって、あんな訳の分からない連中と一緒になるより、
きっと私といることを望んでくれる、ってくらいには自惚れてもいいと思うんだ。
 
 
 
 
「・・・・はぁ、君らしい答えだけど、またこれからが心配になるね」
「あはは・・・・まぁ、色々やっかいなことにはなると思うけど・・・・自分で決めたことだもん、頑張るよ」
「やれやれ、僕はこうして、一生君を心配しつづけるんだろうね・・・・」
「ユーノ君、じゃあ・・・・」
「手伝うよ、この計画。客観的に見ても、公国貴族に加担するより君を推した方がこの国のためだしね」
 
 
 
 
もちろん君の親友としても、そう照れたように告げる彼に、対外用の謝辞はいらない。
私はただ、ありがとうと頭を下げたのだった。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
「……で、次は僕のところと言う訳か」
「うん、そうだよー♪」
 
 
 
 
あっけらかんとした私の返事に、クロノ君は深々とため息をついた。
ユーノ君といいクロノ君といい、どうして男性陣は私を溜め息で出迎えてくれるのかなぁ?
 
 
 
 
「不服そうだな」
「そりゃあ、行くとこ行くとこため息ばかりで出迎えられたらねぇ?」
「ため息の一つもつきたくなるような話しか持ってこないだろう、君は」
「そうかな?」
「そうだとも」
 
 
 
 
力強く頷くクロノ君。
確かに色々と厄介ごとを持ち込んでいる手前、思いっきり否定はできない。
割と国のためになることだって、持ってきてることも多いと思うんだけどね。
 
 
 
 
「確かに国のためになることも多いが、君が関わると被害が桁違いになるじゃないか」
「んー……被害っていってもさ、領民や国民に被害は出してないし……」
「物的被害は凄まじいがな」
「それだって、不正を働いてた領主の城が瓦礫の山になった〜とか、盗賊団のアジトが山ごと消し飛んだ〜とか、その程度でしょ?」
「……なのは、それは間違いなく『その程度』なんてレベルじゃないぞ……」
「むぅ」
 
 
 
 
眉間にしわを寄せ、こめかみを撫でさすりながら言うクロノ君。
その時のことを思い出したのか、もう一度深くため息をついた。
山を吹き飛ばしたのは自然に影響出そうでまずかったかなと思うけど、どこぞの領主の城が吹き飛ぶのは問題ないと思う。
領民の血税を無駄にする領主など、灰になって然るべきだ。
 
 
 
 
「その気持ちは分からなくも無いが、後始末する方の身にもなってくれ」
「んー、まぁそれは申し訳ないけど……って、クロノ君、さっきからどうして私が考えてることが分かるの?」
「……君が全部口に出しているからだ」
「……出てた?」
「出てた、しっかりと」
 
 
 
 
どうやら全部口に出ていたらしい。
危ない危ない、クロノ君の石頭!とかは言ってないから大丈夫だよね。
 
 
 
 
「……聞こえてるぞ」
「あれ、ホントに? いやー、どうしちゃったのかな〜私」
「まったく、わざとやっているくせに……」
「えへへ、ばれた?」
「君といい、エイミィといい、どうして皆そんなに僕をからかいたいんだろうな」
「んー、それはやっぱりクロノ君の反応が楽しいからじゃない?」
「そんなに喜ばれるような反応をしているつもりはないんだがね」
「でもそうやって、律儀に返してくれるでしょう?」
 
 
 
 
私の指摘に、うっ、と言葉を詰まらせると、間をとるようにクロノ君は口に紅茶を含んだ。
なんだかんだいいつつ、律儀に付き合ってくれるのがクロノ君のいいところだよね。
……まぁ、だからこうやってからかわれやすいんだろうけど。
エイミィさんとかリンディさんとか、本当に楽しそうだもんなぁ〜。
 
 
 
 
「はぁ……それで、いい加減本題に入らないか?」
「あぁ、うん、そうだね……」
「それで、あのフェレットもどきは何て言ってるんだ」
「フェレっ……いや、それはユーノ君がまた怒るよ?」
「ふん、フェレットで充分だ」
 
 
 
 
相変わらずユーノ君をフェレット扱いするクロノ君。
元々公国の人間ではなかったユーノ君が、ここにやってきた際に風土に馴染めず、しばらくフェレット姿でいたことが原因なのだが、
普通の姿に戻った現在も、クロノ君はフェレットもどき、と呼んでいた。
嫌ってるわけじゃないのに、なんでわざわざ怒らせるのかなぁ?
 
 
 
 
「あはは……ユーノ君には、ちゃんと了承してもらったよ」
「ふむ……まぁそうだろうな……」
「クロノ君は……協力してくれる?」
「……僕が協力すると思うのか?」
「思う」
「その根拠は?」
「今回ははやてちゃん絡みだけど、最終的にはフェイトちゃんのためになるから」
「……むぅ」
 
 
 
 
いつの間にやら出世街道を駆け上がり、現在公国の軍務に関しては実質的なトップとなっているクロノ君。
そんな表の顔からは想像もつかないほど、クロノ君はフェイトちゃんに甘い。
シスコンと言われようが、フェイトちゃんのためならお兄ちゃんは頑張っちゃえるらしい。
 
 
 
 
「クロノお兄ちゃんは優しいもんね〜♪」
「茶化すな。……まぁ、兄とはいっても、フェイトは名前を継いではいないがな」
「それは……そうしたらクロノ君やリンディさんに迷惑ががかると思ってるからだよ」
「あぁ、分かっている。まったく、僕も母さんもそんな心配などしてほしくないんだがね」
「うん、でもフェイトちゃんは、ちゃんとリンディさんをお母さんだと思ってるし、クロノ君をお兄ちゃんだと思ってるよ」
「もちろんだ……家族だからな」
 
 
 
 
プレシアさんの事件の後、ハラオウン家に身を寄せていたフェイトちゃん。
だけど、フェイトちゃんがその名前を継ぐことはなかった。
それはきっと、そうすることでクロノ君やリンディさんに迷惑がかかると思ったから。
実際に彼女の処遇に不満を持っている連中からの、嫌がらせみたいなものはあったらしい。
それに揺らぐような人達ではないが、それでもフェイトちゃんからすれば、自分のせいで……となるのだろう。
優しいフェイトちゃんらしいけど、そんなフェイトちゃんだからこそ、もっと幸せにならなくちゃいけないと思うんだ。
 
 
 
 
「あ、そのフェイトちゃんについて、というか、ルード王国についてなんだけど、これアリサちゃんからの預かり物」
「アリサから? ふむ……これは、グラフト領の物資の動き……だな」
「うん、ここんとこやけに物資の流出が多いんだけど……」
「横流しか違法物品の輸出、か」
「たぶん、うちの大臣はそうにらんでるみたい」
 
 
 
 
領政の内務全般を司る大臣のアリサちゃん。
そして外務、外交を司る外交官のすずかちゃん。
二人の職務は何も海鳴領だけに限ったことではない。
領として、独立した権限を与えられている以上、自分達の身は自分達で守るしかない。
内政は当然として、隣接する他の領や、他国との関係も非常に重要なものとなってくる。
そのために敵を知ること、は特に重要なことであり、海鳴領にも特殊任務を行う密偵がいる。
 
 
 
 
「アリサもだが……ティアナ・ランスターと言ったか? 彼女もいい仕事をするな」
「でしょう? うちの自慢のメンバーだからね〜♪」
「その筆頭が君だというのがまた恐ろしいがな……」
「ちょ、それは酷いよクロノ君」
 
 
 
 
その密偵を統括するのはティアナだ。
私のところにきてまだ2年だが、優秀で実にいい働きをしてくれる。
最初の頃は色々と問題もあったが、最近ではその実力を遺憾なく発揮している。
元々リーダーとしての素質もあったし、現在では使い手も少ない幻術を駆使して、通常では難しい任務もこなす。
表面的な外交だけでは手に入らない諸々の情報は、そうやって彼女が入手してくれているのだ。
 
 
 
 
「物資の流出先が……なるほど、ルード王国というわけか」
「流通経路に偽装があったし、そのうえ流出先があそこ、となるとね……」
「黒である可能性が極めて高い、か」
 
 
 
 
現在フェイトちゃんに関係して、名前が度々あがるルード王国。
そのお国柄はお世辞にもいいものとは言えない。
いや、むしろ相当悪い部類に入るだろう。
攻撃的で領土拡張主義であるルード王国は、たびたび他国へと攻め入っている。
他人の物は奪い取るべし、が信条だと以前時空公国を訪れた外交官が高らかに笑いながら言っていたとかなんとか……
そんな国なので、公国だけでなく、各国で違法とされている物品も気にせず平気で扱うのだ。
今回流れたのは希少生物の毛皮や角などか、はたまた麻薬の原料か、いずれにせよあまりいい物ではないだろう。
ついでに言えばフェイトちゃんに対する圧力も、まぁその信条に基づいてのものなのだろう。
他人の物は奪い取る?
冗談じゃない、フェイトちゃんをそんな連中に渡してなるものか。
やれるものならやってみろ、だ。
向こうの国を焼け野原にしてでも阻止してやる。
 
 
 
 
「……なのは、大体何を考えているかは分かるが、その殺気を僕に向けないでくれ」
「ふぇ? あぁごめんクロノ君、考えたらなんかムカついてきちゃって」
「まぁ、その気持ちは分からなくもないが、な……」
「クロノ君だって、フェイトちゃんがあの連中に連れて行かれたら、ただじゃすまさないでしょ?」
「当然だ……アルカンシェルをぶち込んででも止めてやる……」
 
 
 
 
アルカンシェル、というのは公国が所有するいくつかの空中要塞に配備された大型魔力砲のこと。
昔ならともかく、現在では改良が進められ、国一つを地表ごと抉り取ることくらいは簡単に出来るようになっている。
私の焼け野原っていうのもあれだけど、クロノ君の方が凄いと思う……
 
 
 
 
「あー……で、協力してくれるよね?」
「……あぁ、まぁ公国のゴミを炙り出すいい機会にもなりそうだしな」
「出てくるだろうね、ディザ領と繋がりがあるところが芋蔓式に」
「最近、大分手広くやっているみたいだからな……だからこそ、はやての血統に目をつけたのだろうが、な」
 
 
 
 
急激に台頭した人間が富と権力の次に欲しがる物……血筋や家柄だ。
はやてちゃんの血筋は公国内では価値のあるものだ。
闇の書の事件が無ければ、もっと大規模な争奪戦になっていてもおかしくない。
その血筋と、付随する騎士達の固有戦力、批判はあっても手にしたいと思うのだろう。
ディザ領は批判派との繋がりも強い、彼等なら批判派を抑えたままはやてちゃんを迎えることができるだろう。
 
 
 
 
「譲る気なんて、全然無いけどね」
「……はやてにフェイト、二人両方を迎えれば、その全ての矛先は君に向くぞ?」
「んー……それはまぁ……なんとかなるんじゃない?」
「またそれか……なのはは本当に楽天的だな」
「ひどいなー、私だって悩んだ時期はあったよ? でも二人がいないと、私は幸せにはなれないみたいなんだよね」
「……フェイトを泣かせたら許さんからな」
「善処するよ」
 
 
 
 
凄みを利かせて言うクロノ君に、善処する、とだけ返しておく。
いや、だって、絶対ベッドでは鳴かせ……げふんげふん、たっぷり可愛がることにはなると思うから。
それにほら、結婚さえしちゃえば、うるさい連中には……
 
 
 
 
「ちょっと『お話』させてもらえば、皆おとなしくなると思うしね〜♪」
「……君を敵に回す連中は哀れだな」
「自業自得なんだからいいんじゃない? 自分の責任は自分でとってもらわないとね♪」
「まぁ、僕の仕事が増えすぎない程度にやってくれ……」
 
 
 
 
内戦になったらねー、介入と事後処理はクロノ君だもんね〜。
まぁその時は、諦めてお仕事をしてもらおうと思う。
いや、もう既に、なんか諦めてそうな顔をしてるけど。
 
 
 
 
「さてと……じゃあそろそろ、私は次に行ってくるよ」
「あぁ……母さんとレティ提督のところか?」
「ううん、そっちはすずかちゃんが行ってくれてるよ。……今頃皆で優雅にティータイムとか楽しんでるんじゃなかぁ……」
「なるほど……そこにエイミィも加わって朗らかに談笑中、というわけか」
「たぶんね」
「現状で充分だが、美由希さんや忍さんがいたら、また姦しいんだろうな……」
「んー、お姉ちゃんも忍さんも、今外に行っちゃってるからね〜」
 
 
 
 
おそらく今現在、女性陣のみでお茶とお菓子を楽しんでいることだろう。
リンディさんとレティ提督が今回の件で反対するとは思わないし、すずかちゃんが失敗することも無いだろう。
修行に出ているお姉ちゃんや、お兄ちゃんの仕事について行ってる忍さんがいたら、それはまた賑やかだとは思うけど。
あ、後は未だに新婚気分で、お父さんと世界一周旅行に行っている、お母さんが帰ってきてもそうなるんだろうなぁ。
私の結婚式までに、皆帰ってくるかな? ……うぅ〜ん、無理そうだなぁ〜……
 
 
 
 
「まぁ細々とした根回しはまだまだいるし、肝心の主役を落とせなかったら、意味がないからね」
「振られたら元も子もないからな」
「うん……あ、そうだ、クロノ君」
「ん、なんだ?」
「全部終わったら『クロノお兄ちゃん♪』って、呼んであげようか?」
「ぶはっ! げほ、ごほっ……ば、バカなことを言ってないで、早く行ってこい!!」
「はぁ〜い。じゃあまたね、クロノお兄ちゃん♪」
「ばっ、なのはっ!!」
 
 
 
 
お兄ちゃん、と言った途端に顔を真っ赤にするクロノ君。
さすがクロノ君、本当に期待を裏切らない。
そうやってクロノ君をからかうと、私はバルコニーから外へと飛び立った。
背後で赤い顔のまま、何か言ってるクロノ君が見えるけど、ああしてると沈着冷静な提督殿も形無しだね。
とりあえずフェイトちゃんと結婚したら、またお兄ちゃんネタでからかってやろうと思うのであった。



 
 
 


...To be Continued


 

2008/5/29著


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