Emergency,Emergency!
船のコンピューターとリンクしている索敵計が、けたたましい音を立てる。
でもそんなことは、言われるまでもなく分かっている。
現実にこちらは、その【緊急事態】と、戦っているのだから。
「くっ・・・!砲撃も物理攻撃も効かないなんて・・・・・!!」
自分のあらゆる攻撃が弾かれる。
スターライトブレイカーならひょっとしたら、とは思うけど、
それを易々と撃たせてくれるような相手ではなかった。
『MASTER,右斜め後方よりエネルギー反応が接近しています』
「っ!?レイジングハート!!」
『protection』
咄嗟に張ったバリアに、敵の攻撃が激突する。
バチィィィ!!
実質的な直撃。その膨大な魔力の奔流に一気に魔力を削られ、そして・・・・・
「う、あ、・・・バリアが・・・もたな・・・あぁぁっ!?」
ドオォォォンッ・・・・・!!
今度こそ完全に直撃した魔力砲に、私は意識は闇に沈んだ・・・・・
「高町二尉の反応ロスト・・・・」
「高町二尉!応答してください高町二尉!!」
「補足できません・・・!敵機も我々の追跡を振り切り逃走した模様です・・・・!!」
ドンッ!!
「くぅっ・・・!なんということだ・・・・!!」
「艦長・・・・」
「対象範囲を拡げて、引き続き高町二尉の捜索を・・・・私は、本局へ報告に行く・・・・・・」
「了解しました・・・・・」
「どういう、ことですか・・・・」
突然の召集、戸惑いながらも応じると、そこにいたのは私だけではなく、
クロノやエイミィ、はやて達もいた。
そこで私は、私達は、クロノから思いもよらない報告を聞かされた。
「フェイト・・・・」
「なのはが行方不明って、どういうことですかっ!?」
「先の任務中、未確認の敵機と交戦中に消息を絶ったそうだ・・・・」
「そんな・・・・なのはちゃんが・・・・・・」
「状況から見て死亡してはいないはずだが・・・・・」
「なら、なんで行方不明だなんて・・・!」
「敵機の砲撃が直撃した後の行方がまったく分からないそうだ・・・・まるで消えてしまったかのように・・・・」
「消えたって・・・・・」
なのはが・・・・消えた?
質の悪い冗談にしか聞こえない。
「アルカンシェルのような大出力の砲撃じゃないから、消えてしまうことなどありえないはずなんだが・・・・」
「今現場にいる艦船、グリンベリルのレーダーでも捕捉出来ないらしいの・・・・・」
「冗談・・・・だよな、あいつが消えちまったなんて嘘だよな!?」
「ヴィータ・・・・クロノ君、なんや手掛かりくらいないん!!」
「すまん・・・・現在も調査中とのことなんだが・・・・・・・」
「なのは・・・・・くっ!」
「待て!フェイト!どこへ行くつもりだ!!」
段々と状況が飲み込めてくると、居ても立っても居られず、
駆け出そうとした私の腕をとったクロノに、引き止められる。
「離してクロノ!なのはを探しに行かせて!」
「他の任務を放り出すつもりか!執務官のとる行動じゃないだろう!!」
「それはっ・・・!!」
「・・・・それに、行ったところで出来ることなど・・・・・・・」
「・・・そんなこと分かってる!だけど・・・それでも、少しでもなのはの傍に行きたいの!」
私の叫び声がアースラの会議室に響き渡る。
執務官として、間違ってることも分かってる。
現場に行っても、次元航行船のレーダー以上に出来ることが、ロクにないことも分かってる。
だけど・・・・そんな理屈じゃなかった。
少しでもなのはの傍に行きたい、こんなところでじっとしてなんていられない。
約束したから、私がなのはを守るって。
なのはに困ったことがあったら、私が助けるって・・・・だから!
・・・・今すぐに、なのはのところに行きたかった・・・・・・・・・・
「フェイトちゃん・・・・クロノ君なんとかならんの?」
「僕にそう言われても・・・・」
「・・・・私が許可します」
「・・・・っ、母さん!?」
「リンディさん・・・・」
その願いを肯定してくれたのは、母さんだった。
「先程、臨時対策本部より捜索隊の編成、及び作業従事への指揮権をいただきました」
「本局も本腰を入れて捜査にあたる、ってことですね」
「ええ、クロノとフェイト、はやてさんとヴォルケンリッターを含めたメンバーで、なのはさんの捜索にあたります」
「母さん・・・なのはが・・・・」
「落ち着いてフェイト。私達はもちろん、管理局としてもなのはさんの捜索には全力を尽くすわ」
「・・・・・」
「今は彼女の無事を信じて、出来ることをしましょう」
「・・・・はい、母さん」
母さんは諭すように、私に語りかける。
両肩に置かれた手の温もりを感じ、私はようやく少し冷静になれた。
そして母さんは、その場の重たい空気を振り払うかのように、明るい調子で皆に言う。
「ふふ、私も久しぶりの現場復帰よ。皆の力、貸してちょうだいね?」
「もちろんです!早うなのはちゃんを探してやらんと!」
「あぁ!まかせとけ!」
「やれやれ、結局こうなるのか・・・・まぁ仕方あるまい」
「母さん・・・私なのはを見つけるためならなんでもします、なんでも言ってください!」
なのはがいない未来なんて見たくもない。
その想いは多分全員同じだろう。
誰の瞳にも、諦めの色は混じっていない。
その場で出発の時間や、準備の打ち合わせだけを手早くすませ、
各々が支度に取り掛かる。
一度私も自室に戻り、準備をすませると、バルディッシュを手に取った。
「・・・・バルディッシュ、お前も力を貸してね・・・・・・」
『yes sir』
無口だけど頼もしい相棒は、私の決意にいつも通りに応えてくれる。
そして自分自身に言い聞かせるように、私は叫んだ。
「待っててなのは、必ず私が助けに行くから!!」
なのはを探し出すこと、それさえすめば何も心配はいらない。
そう思って。
けれどその時はまだ、彼女の身に何が起こっているのか、私には知る由もなかった・・・・・・
「へぇ・・・」
点滅するディスプレイに目をやると、自然と呟きが漏れた。
「外からの来客は久しぶりだね」
もうこの何年か、いや何百年かはだれもこの地に足を運ぶ者などいなかった。
この地に人間が来なくなってからは、もうそれ程の時が過ぎてしまったのだ。
「まぁ誰が来たって、何も変わらなかったけれど」
そう、誰が来たところで同じだった。
此処に来る目的など、皆そう違わなかったから。
「でも今度の子は・・・・なんか、違うね?」
ここに来る方法も、今までの人間達とは全く異なっている。
退屈していたのも確かだし、興味を引かれてはいた。
だからだろう、機兵達を使い出迎えようとしていた手を止めたのは。
「あぁ、でもせっかくのお客様なんだから、私が出迎えに行くべきだよね」
残念ながら、むこうから来てくれそうにはないしね。
「面白い子だといいなぁ・・・・」
一言だけそう呟いて、
私はディスプレイに表示されていた警報を切り、席を立つ。
随分と久しぶりの客人である【彼女】を迎えるために・・・・・・
...To be Continued
2007/9/21著
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