ほのぼの、初(?)デート!〜お姫様はご機嫌斜め、狩人達は仲間割れ(をぃ)〜



さて、蓉子さまに強襲され、私、福沢祐巳は半ば強引に連れて出され、
現在蓉子さまとツーリング中です。さてはて、これからどこへ行くのでしょうか・・・・?



「・・・・ねえ祐巳ちゃん。」
「・・・・・・・」


バイクを一旦、道端に止めて蓉子さまが声をかけてくる。


でも無視。


「祐巳ちゃん。」
「・・・・・・・(ムス)」


更に無視。


「祐巳ちゃんってば!!」
「・・・・なんですか、蓉子さま。」


あまりにも私が反応しないので、少し強めの口調になった蓉子さまに私は、
ムッツリした表情と態度で、機嫌の悪さをアピールしつつ答えた。


「ひょっとして・・・・機嫌悪い?」
「・・・・ひょっとしなくても悪いです。あの連れ出し方で機嫌のいい人なんて、いないと思います」


ええ、もう、不機嫌最高潮ですよ。


・・・え?蓉子さまとのデートなんだから機嫌が悪いのはおかしいんじゃないかって?
そりゃあ嬉しいんだけどね・・・・連れ出し方にいろいろ問題があると思わない?


邪魔されたくないっていうのも分かりますけど・・・・
あれじゃあまるで、『白薔薇さま』と同類じゃないですかーーー!!
『白薔薇さま』ですよ、あの『白薔薇さま』ですよ!?それと同類だなんて、そんなの困るじゃないですか!!

・・・・いや、なんというか、まぁ、そんなわけで、釘を刺す意味も含めてこういう態度をとっているんです。

でも・・・・うぅ、蓉子さまだけは常識人だと思ってたのに・・・・
・・・・ていうか、制服でバイクはつらいです、蓉子さま。


「えっと、その、ごめんなさい・・・・」
「・・・・(ムス)」
「だっていつも邪魔が入るし、おまけに聖や祥子には先を越されるし・・・・」
「・・・・(ムス)」


うっ、しゅん、となってる蓉子さまも可愛い・・・・でも我慢。


「恋人としてこれ以上遅れをとるわけにはいかないわ」
「それはまぁ分かりますけど・・・・」


エヘヘ、恋人だって。分かってても言われると嬉しい♪
・・・・って、ダメダメ。ここで許しちゃうわけにはいかない。


「それに・・・・ようやく時間が取れるようになったんだもの、
卒業まで間がないし・・・・少しでも多く祐巳ちゃんと一緒にいたいのよ・・・・」
「あぅ・・・・」


・・・・麗しい蓉子さまのドアップでこのセリフは破壊力抜群。
少しでも多く私といたいだなんて・・・・う、う、う、・・・・嬉しすぎ!


・・・・はっ!いや、いかん。
今後、こんな連れ出し方をされないためにも、ここはビシッと・・・・
あ、蓉子さま嬉しそう・・・・百面相なんて嫌いだ〜・・・・

「さてと、祐巳ちゃんの機嫌が直ったところでどこに行きましょうか?
まぁこのまま走っててもいいんだけど・・・・祐巳ちゃん、リクエストある?」
「ふぇ、そうですね・・・・ん〜・・・・お昼寝がしたいです!」
「・・・・お昼寝?」


ええもう、こんな日はゴロゴロ、ぬくぬくと・・・・・あ、しまった。
どこに行きたいって聞かれてるのに、これじゃあ、なにしたいかじゃん。


「あ、いえ、その・・・・さっき由乃さんや志摩子さんと話してた時に、
こんな日は芝生の上でゴロゴロしたいな〜って話になったもので・・・・」


私が慌てて言葉を補足すると蓉子さまは、なるほどって感じに頷いてくれた。


「ああ、そういう事。そうね、確かに今日はいい天気だし」
「はい♪芝生の上に転がったら、きっとすごく気持ちいいと思うんですよ〜♪」


・・・・って、待て。これじゃデートって言わないかも・・・・


「じゃあ、近くに大きな公園があるからそこにしましょうか?
あそこなら中に散歩道もあるし、池のところにはボートもあったし」


あ、それならデートっぽいかも♪
蓉子さまと公園内を手をつないでお散歩して、二人でボートに乗って、その後は芝生の上で横になってのんびり。
うん、いいかも・・・・♪


「ボートが最後でもいいわね」


そうですね〜・・・・って、読まれてるし。
百面相って、口いらないですね・・・・ぐすん。

リリアン女学園


祐巳ちゃんと蓉子さまがなんだかんだ言いつつ、ラブラブモードに入りつつあるその頃、
ここリリアンでは聖さまと江利子さまが、報告を受け活動し始めたのだが・・・・


「それで志摩子、由乃ちゃん、二人はどこに行ったの!?」
「わかりません。蓉子さまがバイクで連れ去ってしまいましたから・・・・」
「ええ、今日という今日は、なにがなんでも邪魔されたくなかったみたいで・・・・」
「くっ!やるわね蓉子、私達を出し抜くなんて」
「待ち伏せとはね〜、蓉子なら強引な事はしないと思ったんだけど・・・・甘かったか」


ほんとに悔しそうな聖さまと江利子さま。
そんな二人に追い討ちをかけるような一言が・・・・・


「でも祐巳ちゃんも蓉子におとなしく連れ去れるなんてな〜・・・・」
「蓉子に抵抗しろって言う方が無理でしょう。おまけに付き合ってるんだし」
「あの、聖さま、江利子さま」
「祐巳さんはおとなしく連れ去られたわけではないんですが・・・・」
「「えっ!?」」


おとなしく連れ去られたわけではない、では一体どうして・・・・?


「実は蓉子さまが、ある物を使ったんです」
「ええ、そのある物とは・・・・」
「「(・・・・ゴクリ)」」

「「そう、蓉子さまの切り札は、福沢祐巳貸切券だったんです!!」」


「「・・・・なんですってーーーー!!」」

大絶叫。

「ま、まさか、そんな物が存在するなんて・・・・」
「しかも蓉子の手の中とは・・・・」
「ええ、私達もさっき初めて知ったんです」
「どうしましょう、お姉さま、江利子さま」


切り札が蓉子さまの手の内にあると知り、半ば放心状態な聖さまと江利子さま。
しかし次の瞬間、1年生二人にかけられた言葉を聞いて、はっ!とします。


「こうしちゃいられないわ!早く二人を捜さないと!!」
「そうだ、早く捜しださないと、
蓉子がその券を使って『私の』祐巳ちゃんにあんな事やこんな事を・・・・!!」
「・・・・あなたじゃないから、それは心配ないと思うわよ、聖」


「それにしても聖さま、今さりげに『私の』とか言いませんでした?」
「・・・・祐巳さんは共有財産ですわ、お姉さま」
「・・・・聖」


聖さまの失言に黄薔薇のお二人から怒りのオーラが・・・・
あ、志摩子さん、後ろになんか見える(こっちは怨念か?)


「あははは・・・・や、やだな〜皆、言葉のあやに決まってるじゃないか〜(チッ!)」
「そうよねぇ〜ふふふふ(油断ならないわね)」


「そういえば聖さま江利子さま、祥子さまにお知らせしなくていいんですか?」
「あ、忘れてた」
「そうね、今回の事については、きっと祥子も協力してくれるわ」


・・・・・30分後


「ちょっと〜どこにいるよ祥子〜」
「おかしいな〜さっき薔薇の館にいたのに・・・・?」


聖さま達がマリア様の前で話しこむ少し前、確かに薔薇の館にいた祥子さま。
一体どちらに・・・・?


「聖さま!江利子さま!」
「薔薇の館にこんな置手紙が!!」
「「えっ!?」」


『お二方がそこでのんびりしている間に、
一足先に行かせていただきますわ、どうぞごゆっくり。それではごきげんよう。 祥子』


「「祥子〜〜〜!!」」


本日2度目の絶叫。祥子さまもやりますね〜♪
さてはて、祐巳ちゃんと蓉子さまのほのぼのデートの行方はいかに!



....To be continued


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