姉狸強し!!


ある日のことです。


「うふ、うふふふふ・・・」
「・・・・」


部屋の中には、
不気味な笑い声を発する姉狸と、
それを気味悪げに見つめる弟狸、という微妙な光景が広がっていました。

それもそのはず、壊れ気味な姉狸・・・・・
もとい祐巳ちゃんは、明日、蓉子さまとデートなんですから。


『祐巳視点』


蓉子さまとデート♪蓉子さまとデート♪
あーもう明日何着てこう。

「似合いますか紅薔薇さま?」
「えぇ、とてもよく似合うわ。可愛いわ、祐巳ちゃん」
「紅薔薇さま・・・・」

「駄目よ祐巳ちゃん」
「えっ?」
「ちゃんと名前で呼んで」
「はい。蓉子さま」

「ふふ、いつかはさまもとってね」
「蓉子さま・・・」
「好きよ、祐巳ちゃん」
「わ、私も、大好きです蓉子さま!」


幸せ・・・♪

「えへへ・・・・・・」


そして二人は愛の世界へー・・・・


「祐巳」
「んー?」


なんだい弟よ。


「気持ち悪い」
「・・・・・」


弟よ、むやみに人の幸せを削っちゃいけない。


・・・・まぁここは祐麒の部屋だからしょうがないんだけど。


「人の服を借りに来るのはいいけどさ、向こうの世界へいくのはやめてくれ」
「いいじゃない、幸せのおすそわけ、ってことで」
「・・・・・はぁ」


げんなりした様子でため息をつかれた。だって幸せなんだもん。

・・・・とは言ったものの、
確かに自分の部屋で、幸せオーラを振りまかれたらたまらない。


「もう、分かったわよ、部屋に戻ればいいんでしょ。あ、これ貸してね」
「ん、分かった」
「代わりに祐麒がスカートをはきたくなったらいつでも・・・・・」
「・・・・絶対ならないから」
「・・・・だよね」


まぁ、はきたいならお姉さんはとめないけど・・・・
某銀杏国の王子にとつぐのだけは、姉として阻止せねばならない。


「さて、それじゃ部屋に戻りますか」


そう言って部屋を出かけた私を祐麒が呼び止めた。


「祐巳」
「ん?」
「楽しんでこいよ」
「・・・ん。ありがとう、祐麒」


うちの弟は、良いお婿さんになります、と太鼓判をおせるぐらい、いい子である。
・・・・いや、それでも柏木さんには、あげないけどさ・・・・
ちょっと微妙な表現だけど、とにかくそれぐらい、いい子なのだ、うん。

『翌日』


さぁこれから出かけよう、という時になって、その珍客は現れた。


「・・・・」
「・・・・」


何故、
よりにもよって朝から、
この顔を見なければならないのだろう。

昨日余計なことがチラリ、と頭をよぎったせいだろうか?


「やぁ、おはよう二人とも♪どうしたんだい、お通夜みたいに暗いじゃないか、こんなにいい天気なのに」


・・・・誰のせいだと思ってるんですか。


「よし、分かった、今日はお兄さんがドライブに連れていってあげよう♪」


ちっとも分かってないし。


「あ、祐巳ちゃんはこれからデートだよね?いや〜残念だな〜一緒にドライブできなくて」


嘘おっしゃい、
っていうかその情報は、どこで手に入れたんですか。
そんでもって、私がデートでいなくなるのを狙ってやってきましたね。


「安心しておくれ祐巳ちゃん、ユキチは僕が必ず幸せに・・・ぐはっ!」


とりあえずボディーに右ストレート。


「くだらないこと言ってると、変質者がいます、って通報しますよ」
「あはは、祐巳ちゃんにはかなわないなぁ・・・イタタ」


まったくこの人は・・・・
うっ、マズイ、そろそろでないと・・・
でも今でるのは・・・・・


「行ってこいよ」
「・・・祐麒?」
「俺は別に平気だからさ」
「でも・・・」
「デート、楽しみにしてただろ?」
「・・・分かった、ありがとう祐麒」

「いや〜麗しい姉弟愛だねユキチ。さぁ祐巳ちゃんユキチのことは僕にまかせて・・・・」
「柏木さん」
「ん?なんだい祐巳ちゃん」


出かけるのはいい。
でもその前に、ここは一つこの人に、きちんと釘を刺しておかねばならない。


「ここは福沢家ですよね」
「あぁそうだね」
「私と祐麒は家主の子供ですよね」
「そうだけど・・・どうしたんだい急に?」

「ですから」
「うん」
「ここに居るなら祐麒の言うことにちゃんと従ってくださいね♪」
「えっ?」

「それじゃいってきま〜す♪」


まぁこの時間なら遅れることはないはず。
そう思いながら私は、祐麒と口を空けて固まった柏木さんを残し、
ラブラブデートへ向けて扉を開けた。

「い、今のはいったい・・・・」
「ほら」
「ん、これはなんだいユキチ」
「・・・・あんた、雑巾も知らないのか?」
「いやいや、僕が言いたいのは、なぜその雑巾を僕に差し出すのか、ということだよ」

「あぁ、今日物置の掃除をするんだよ」
「僕にも手伝えと?」
「だって居座るんだろう?」
「ちっちっち、僕は居座るんじゃなくてユキチと二人の世界に旅立つために・・・」
「祐巳に俺の言うこと聞けって言われなかったか?」
「うっ・・・確かにそうだが了承したわけでは・・・」

「あ、言い忘れましたけど」
「のわぁぁ!ゆ、祐巳ちゃん・・・」
「柏木さん、いい子にしてないと蓉子さまやお姉さま達にいじめてもらいますからね?」
「・・・・え」

「じゃ、祐麒、後はお願いね」
「あぁ」
「いってきま〜す♪」

「・・・・・」
「悪い事言わないから、このまま帰るか、素直に物置の掃除手伝いましょうよ」
「他の選択肢は・・・・」
「祐巳が消してきました」
「・・・・はぁ」


こうして、柏木さんは素直に物置掃除をして帰ったそうです。
なんだかんだ言って、こういうところは良い人なんですけどね・・・・・


・・・・でも弟はあげません。

                                         


あとがき(言い訳)

ごきげんよう・・・・ごめんなさいm(_ _)m(平伏)
ラブラブを書くはずだったのに、何やってるんでしょうね、ほんと。
私生活が胃の痛い状態が続いているせいだろうか・・・・SSに影響が(― ―;;
甘々書きたーい。でも私生活は激辛なのー(泣)
お願いです、だれか幸せ分けてください(切実)
つーか、一緒に幸せ目指してくれ人求む(爆)まずは胃痛から開放を・・・・
・・・っは!あとがきに何書いてるんでしょう(汗)

えっとですね、今回のコンセプトは蓉祐シリーズで甘々を!!
というところから始まったんですが・・・・えっと結局ほのギャグで終わりました(^^;
祐麒君、かっちょいいですね、今回。
てか私の友人が祐麒君好きなんで、うちの祐麒君はいつもいい子です。
そして祐麒君を出したらなぜか、甘々からほのギャグに変化してしまいました。
・・・・ま、某銀杏国の王子が出てる時点でね・・・・ふ(遠い目)
続編でデート風景書いてもいいんですが・・・あちこち書きかけなんでちと保留。

あ、そうそう、蓉祐シリーズの一部を白百日紅堂の桃梨さんに贈りました。
『ほのぼの〜』の前に当たる作品で、初デートが邪魔されたVerです。
前後編で、後編が書き終わってからSSリンクには登録しようかな〜って思ってるんで、
興味のある方いらっしゃいましたら(てかいるのか?)覗いてみてください。
(10月13日現在の段階で前編のみ掲載中)

えぇ〜っと、多忙なうえに胃痛に悩まされる近況ですが、
ちまちまと更新してくんで、皆様どうぞ見捨てないでやってくださいましm(_ _)m
後は、美月さんがリンク強化月間って感じなんで、
私はコソコソお邪魔してるサイトに対する、挨拶強化月間を目指そうかと。
いや、書き込む時間もガリガリ減ってるんですけどね、最近(泣)
まぁ、ちょこっとずつ出没しようかと。
サイト運営者の方々、出没したら捕獲・・・じゃなくて構ってやってくださいm(_ _)m

ではでは、長ったらしくなったあとがきもこの辺で。
それでは皆様またいつか!ごきげんよ〜(キ^^)ノ


→マリみてSSTOPへ

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