甘いのがお好き?(byキッド)







カチャカチャカチャ。

サラサラ。

カチャカチャカチャ。

サラサラ。

カチャカチャカチャ。

サラサラ。

カチャカチャカチャ。

サラサラ。

カチャカチャカチャ。

・・・・・・・・・・・

さっきから同じ音声が続いているのは、
文章の垂れ流しでも、新手の嫌がらせでもないのでご心配なく。
ごきげんよう皆様、福沢祐巳です。

さて、それでは一体何をしているのかというと・・・・・


「これぐらいでいいですか蓉子さま?」
「そうね、それじゃあ、そこに卵黄も加えて混ぜてちょうだい」
「はい♪」


答え。メレンゲを作っていたのでした。
それでこのメレンゲに卵黄を加えてっと・・・・


トロリ、カチャカチャカチャ。


うんうん、いい感じ♪
お菓子作りは得意な方じゃないけど、蓉子さまと一緒だから奇妙な安心感がある。
・・・・・まぁ、だからと言って私の腕前が上がるわけではないのだけれど。

それはさておき、なぜ私達がケーキ作りをしているのかというと、
例によって例のごとく、作者が、

美月さんのお誕生日祝いにケーキを作ってね♪byキッド

とかいうカードを送りつけてきたからなんです。
前回の蓉子さまによる聖さまばりの連れ出し方といい、
銀杏の詰まった落とし穴といい、毎度毎度あの人はなに考えてるんでしょう。
ていうか自分で作れと言ってやりたい。


「無駄だと思うけど」
「へっ?」
「どうせ、『いや〜祐巳ちゃんと蓉子さまが作ったほうが喜ばれるだろうし〜』とか言って逃げるに決まってるじゃない」
「はぁ、そうですよねぇ」
「・・・・まぁほんとは、私より祥子の方が喜ばれるのかもしれないけど」
「はっ?」
「いえ、なんでもないわ」


そんなやり取りをしつつ作業に戻る。
・・・ていうか蓉子さま、なぜ私の心の独白に的確な突っ込みが・・・・・あぁ、顔か。
まぁとにかく、前回(未公開SS)と違って一緒に行動できるし、余計なことは忘れよう。
そう、余計なことは・・・・・


「ねぇ〜まだぁ〜。もうお腹すいちゃったよ〜。」


・・・・・忘れたい。


なぜか私と蓉子さまの作業を静観・・・いや、微妙に邪魔するお方が一人。
なんだってこの人がここにいるのだろう。
作者の嫌がらせとしか思えない。

マリア様、いったい私がなにをしたっていうんでしょうか?


「・・・・そんなにお腹がすいたのでしたら、外でお食べになったらいかがですか、聖さま。
今すぐどこかの喫茶店に向かえば、ケーキくらいすぐに食べられますよ」
「やだ。祐巳ちゃんの愛がこもったのが食べたい♪」
「始めたばかりですから、まだまだ時間かかりますよ?」
「それでも、祐巳ちゃんのがいいの♪」
「・・・・それになにより、聖さまのケーキは、蓉子さまが作ってるほうです」
「嘘っ!マジで?!」
「本気と書いて、マジと読みます」


聖さま、お腹がすいたと騒ぐわりにこだわりますね。
でも、聖さまの分のケーキは、蓉子さまが作成しているので、私の愛がこもっていることはありえません。
そもそも、貴女が嗅ぎ付けてきたから、別々に作ることになったんじゃありませんか。
そして、とりあえず貴女が手伝ってくれたら、もう少し早く終わると思うのですが・・・・これは期待するだけ無駄ですね。


「聖」
「は、はい・・・・」
「私が作った物では不服なのかしら?」


私と聖さまのやり取りの間中、押し黙っていた蓉子さま。
突然口を開いたかと思ったら、紅薔薇さまファンが見たら卒倒すること間違い無し、
というくらい壮絶な微笑みで聖さまを威嚇・・・・もとい、聖さまに問い掛けます。


「めめめ、滅相も無い!」
「そう?」
「もちろん、嬉しいに決まってるじゃないか、あはははは・・・」
「そうよね、うふふふふ。」


・・・・恐い。
そうよね、と言いながら笑う蓉子さま。でも、当然目が笑っていません。
聖さまのお顔が微妙に引きつっているのは、私の見間違いではないと思う。


「じゃあ、なるべく急いで作るから」
「うん」
「とりあえずそのまま、口を開かず身動きもしないで待っててちょうだいね?」
「う、うん・・・・」


さっきまでお腹がすいたを連発していた聖さまに、急いで作ると言いつつ、
邪魔をするな、と釘を刺すのも忘れない蓉子さま。
そして聖さまは、先程よりさらに顔を引きつらせながら返事をしたのでありました。






そんでもって、あっという間に完成間近。


「さて、これで後はデコレーションをするだけね」
「・・・・・・・・・・」
「そうですね。あ、贈り物の方には文字も入れなきゃ。なんて書きます?」
「・・・・・・・・・・」
「ああ、それなら普通に誕生日おめでとう、でいいそうよ」
「・・・・・・・・・・」
「ふぇ?定番ですね、そんなのでいいんですか?」
「・・・・・・・・・・」
「ええ、メッセージカードは別に付けるのだそうよ」
「・・・・・・・・・・」


とりあえず、後はクリームを塗ったり飾り付けをすれば完成、という段階に到達。
カードは別に用意してあるらしいので、飾り付けに移りたいんだけど・・・・
なんていうか、さっきから無言の圧力が・・・・・
そう、さっき蓉子さまに発言を禁じられたあの人の方から。


「・・・・・・・・・・」
「・・・・祐巳ちゃん、こっちのケーキの仕上げお願い。」
「・・・・はい」


ひたすら続く聖さまの無言の圧力、というか懇願についに蓉子さまも根負けしたらしい。
蓉子さまの言葉を聞いて、"せめて最後だけでも祐巳ちゃんが!"
というオーラを出しまくっていた聖さまが、満面の笑みでガッツポーズをとった。
でも、感謝は込めてもいいけど愛は込めませんよ、聖さま。

まぁ、聖さまのことは置いといてって、っと・・・・
私は、先程まで蓉子さまが作っていた
"ハートのガナッシュケーキ"の仕上げに取り掛かる。
といっても、後はほんとにクリームを塗ったりするだけ、なんだけどね。
同じように、隣では蓉子さまが"スイートハートケーキ"にクリームを塗っている。
そう、どっちのケーキもハートのチョコケーキなんです。
スイートハートケーキは、作者から指定があったからだけど、
聖さまの分もハートなのは何故だろう?
蓉子さまがレシピを見ながら、これにしましょうって言ったんだけど・・・・?


「祐巳ちゃん、終わった?」
「あ、はい、オッケーです♪」
「じゃあ、贈り物の方は箱に入れておきましょう」
「そうですね、早く隔離しないと」
「ええ、誰かさんに『味見』とか言われて、かじられても困るし」


その誰かさんこと聖さまは、
出来上がったケーキを目の前にして、今にも飛び掛らんとしている。
うん、これは目の付くところに置いておくのはかなり危険だ。


「うぅ・・・ケーキィ〜・・・」
「・・・・だから食べに行けばいいって言ったのに」


目が逝っちゃってます聖さま。


「はいはい、貴女のはこっちよ。」


そこに、ご主人様よろしく蓉子さまがエサ・・・じゃなくてケーキを置く。
うぅ〜ん、主従関係がはっきり解る。


「・・・・全部食べていいの?」
「ええ、いいわよ」
「マジで?!やったぁ♪いっただっきま〜す!!」


ご主人様のお許しがでて、嬉々として食べ始めたのはいいんだけど・・・
がっついてます、聖さま。
まぁ今更この人にリリアンの生徒として〜、なんて言うつもりないけど。
基本がオヤジ仕様だもん。


「さて祐巳ちゃん、私達もお茶にしましょうか?」
「はい♪じゃあ紅茶いれますね。」


そしてお茶請けは、スポンジケーキを一口サイズに切ったもの。
ケーキを作るついでに作ったんですよ〜♪食べやすくてなかなかいけます♪


「あぁ〜喰った喰った♪」
「早いわね。まぁあれだけ、がっついてれば当然かもしれないけど」
「・・・・っていうか、ふんぞり返ってお腹をバシバシ叩くのはやめましょうよ、聖さま」


食後のオジサンのような聖さま、これで爪楊枝があったら完璧です。
そして、もう少し味わって食べてくださいよ。
せっかく蓉子さまが作ったケーキなのに・・・しかもハート型!
ハート型ですよ!ハート!!ほんとは滅茶苦茶羨ましいのにー!!
などとヤキモチをやきかけていると・・・


「聖」
「ん?」


と、突然蓉子さまが聖さまに向かって話し始めた。


「ケーキは美味しかった?」
「もっちろん♪祐巳ちゃんの愛がこもってますもん♪」


こめてないってば。


「そう、喜んでもらえてよかったわ」
「うん、満足♪」
「ところで聖」
「なーに?」
「今貴女が食べたケーキだけど・・・・」
「うん?」
「6071.2キロカロリーなの」
「ろくせっ・・!!」
「最低3日分は運動しないとね、聖」


あれって、そんなにカロリー高かったんだ・・・・


「な、な、な、な・・・・」
「がっついて一度に全部食べるからよ。ねぇ祐巳ちゃん、ぶくぶく太った聖、嫌よね?」
「へ?あ、はぁ、そりゃあまぁ」
「・・・・・っ!!」


でも別に、今日だけのカロリー摂取なんだから、
そんなにぶくぶく太るなんてことは・・・・


「・・・・・・・・・・・・でしょ」
「ふぇ?」
「運動して消費すればいいんでしょ!!いいわよ!やってやろうじゃない!!」
「ちょっ・・・聖さま?!」
「太ってたまるかぁー!つーか、嫌われてたまるかぁーーーー!!!」


雄叫びを上げながら、猛ダッシュして玄関から飛び出す聖さま。
いやだから、そんなにいっぺんに、何十キロも太るわけないじゃないですか。
まぁ少しは増えるでしょうけど・・・・


「最近聖は素直でいいわねぇ〜♪」
「素直って言うかなんて言うか・・・・」


楽しそうです、蓉子さま。
・・・・あれ?
ひょっとして・・・・・?


「あのぉ〜蓉子さま〜?ひょっとして・・・・怒ってます?」
「ええ、とっても♪」


うわぁ・・・・笑顔が恐い。


「作者が、例によって例のごとく何考えてるんだか、っていうのはどうでもいいのよ」


いいのか?


「いいのよ、だって基本的に祐巳ちゃんと一緒にいられるもの」


う、さらりと言いますね、蓉子さま。

・・・・・嬉しいけど。


「なのに・・・!!」
「・・・・へ?」
「なんだってこういつも邪魔が入るのよ!たまには二人っきりのを書きなさいよぉ!!」
「よ、蓉子さま、落ち着いて・・・・」


蓉子さま、スパーク。


「大丈夫ですよ、蓉子さま。当分の間路線変更なしでこのままいくそうですから」
「甘いわよ、祐巳ちゃん。リクエストがあったし〜、とか言いながら平気で横道にそれるわよ、きっと」
「う、ありえる」
「でしょ。後でしっかり釘を刺しておかないと」


等々、作者を牽制しつつ二人の時間は過ぎていくのでありました。

(以下のメッセージは美月さんのサイトで反転表示されてますので、同じ仕様にしてます)


"親愛なる美月さんへ
  
お誕生日おめでとう(いくつになったのか知らないけど(笑)
サイトの公開からも早半年が過ぎ、美月さんとの付き合いも
それに比例して長くなってきました。
私がHPをもたないため、お蔵入りにする予定だったSSを
美月さんが、欲しい、と言ってくださったのがきっかけで、
投稿社員にまで昇格しました(笑)
更新は遅いわ、忙しくて連絡はできないわ、おまけに度々
音信不通になるような私ですが、今後とも末永くお付き合い
くださいますよう、お願い致しますm(_ _)m
                          問題児キッドより





私も祐巳ちゃんと一緒で甘い物が好きです(特にチョコレート♪)
あんこや煮豆みたいな甘さはだめだけど。

皆さんはどうでしょう?


甘い物はお好きですか?


「大っっ嫌いだぁーーーー!!!!」


お後がよろしいようで♪



                                  
あとがき(言い訳)

えっとぉ・・・書き上げが8月20日〜21日にかけてって・・・・すんませんんん!!!
待たせすぎですよね、ほんとごめんなさい(−ー;
とにかくですね全然時間が無かったんです(泣)ここんとこお仕事だったし。
定時5時なのに今日私は8時20分に終了でした、そんな職場(笑)
まぁ、そっから更にてれてれ帰ってくるわけですが・・・(疲)
とりあえず聖さまに最後叫んでもらったからコレで許し・・・え、ダメ?
ま、なんにしてもお祝いSSってことで受け取ってください♪
問題児からのプレゼントですが・・・・
そういや掲示板に最近顔出してないし、メールも返してないし、音信普通だったし・・・・・
ごめん、まじでメチャメチャ問題児です。いや、でも愛はあります!!(をぃ)
えっと、とりあえず、すっとぼけた奴ですがこれからもどうぞよろしくですm(_ _)m
・・・・ぜひとも見捨てないでくだしさいまし(ぇ)


→マリみてSSTOPへ

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