Craving 人を好きになれば満たされる。 そう思えたのはいつまでだっただろうか。 始まりはただ想うだけ。 次に肉体を望んだ。 けれど気づいてしまった、自分の中の渇きに。 最初は、想いも肉体も手に入れていないからだと思った。 だけどそれは渇きの一部でしかなかった。 ・・・・誰かを欲しているのだ。 まだ出会ってもいない誰かを。 そして出会えないかもしれない誰かを。 どれだけ恋をしても満たされない。 付き合うことになってもそれでおしまい。 好きな気持ちが消えなくても、望む人ではなかったから。 だから、必要以上に触れられたくはなかった。 求めるのはただ一人。 時として、未だ出会えぬ人への苦痛になるほどの渇望。 全ての魂の中のただ一つ、全ての思い、魂さえも捧げられるたった一人を、ずっと、ずっと探している。 何をすればいいのか、誰を求めているのか、何一つ分からないのに。 どうしようもないほどの衝動と、飢えるほどの渇望を、今日も抱えて私は歩く。 手放すことなど出来はしないのだから・・・・
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