雨降りて・・・・? 
 


 
 
 
 
 
「うわぁ〜・・・」
 
 
 
 
ザー・・・・・・
 
 
 
 
「降ってきちゃった・・・、どうしよう・・・・・」
 
 
 
 
秋、学園祭も終わり、晴れて薔薇の館の住人になったある日、
 
 
ザー・・・・・・
 
 
傘がないのに、おもいっきり降られてしまったのです・・・・・はあぁぁぁ・・・・
予想はしていたのだ、朝どれだけ格闘しても髪がまとまらなかった時点で。
それなのに・・・・・
 
 
 
 
「なんで傘が入ってないかな・・・・・」
 
 
 
 
悔やんでも傘はなし。
折り畳み傘は水きりのために開いたまま、家に放置されているのだから。
 
 
 
 
「さてはてどうしたものか・・・・バス停までダッシュかな・・・・・・」
 
 
 
 
この時期の雨は冷たい。
風邪引きさんへの特急切符なのは間違いないだろう。
 
 
 
 
「でもこのままじゃ帰れないし・・・・しょうがない、バス停までタイムアタックだ!」
 
 
 
 
と、覚悟を決めた時に救い主は現れた。
 
 
 
 
「祐巳ちゃん?」
「ほぇ?」
「あら?傘がないのね。一緒に帰る?」
「ロ・・・・」
「ロ?」
「紅薔薇さまぁー!!」
 
 
 
 
がばっちょっ!
 
 
 
 
「・・・!?」
「・・・はっ!」
 
 
 
 
とてつもなく素晴らしいタイミングで現れてくれた、紅薔薇さまに感謝の涙を流しつつ、
そのまんまの勢いで、
救世主に思わず抱きついてしまった。
・・・・二人して硬直した。
 
 
 
 
「・・・・」
「・・・・」
 
 
 
 
ど、ど、ど、どうしよう・・・・・・・
あ、紅薔薇さま暖かくていい匂い・・・・ってそれどころじゃない!
早く離れないといけない・・・んだけど・・・・・・
名残惜しいというか、なんというか・・・・・
 
 
 
 
「・・・・祐巳ちゃんは暖かいわね」
「・・・・・へ?」
「それにいい匂いがする」
 
 
 
 
聖の気持ちがわかるわね、そう言いながら紅薔薇さまは優しく抱き締めてくれる。
 
 
 
 
「(同じこと考えてたんだ・・・・・)」
 
 
 
 
そう思うとなんだか恥ずかしくて、とても嬉しくて・・・・・
しばらくそのままでいたのだけれど、いつまでもそうしているわけにもいかない。
 
 
 
 
「紅薔薇さま・・・」
「そうね・・・・そろそろ帰りましょうか」
「はい・・・・」
「ふふふ、誰かに見られてたら噂になっちゃうわね」
「はぅっ」
 
 
 
 
その言葉で脳裏に浮かぶのは、某リリアンパパラッチの面々なわけで・・・・・
 
 
 
 
「スクープ!紅薔薇さまと紅薔薇さまの蕾の妹、禁断の愛!?」
 
 
 
 
ぞぉぉー・・・・・・
 
 
 
 
「それはそれで面白そうだけど・・・」
「お、面白くないですよ!?それを見たお姉さまの反応を思うと・・・・・」
「ふふ、確かに怒り狂いそうね」
「笑い事じゃないですよぉ〜・・・・・」
「祐巳ちゃんにとってはそうよね。じゃあ美奈子さん達に見つかる前に帰りましょうか」「はい!」
 
 
 
 
恐ろしい想像はしないに限る。
首を振って頭から追い出して紅薔薇さまの隣を歩く。
間に傘の柄一本分の距離が空く。
さっきみたいに密着するのはドキドキしすぎて・・・・・
今はまだ、この一本分の距離感が心地いいと思った・・・・・・・
 










 


「あぅー、ふってきちゃったよ〜・・・」
 
 
 
 
買い物のために、K駅まででてきたのはよかったのだか・・・・
ものの見事に降られてしまい、現在雨宿り中だったりする。
 
 
 
 
「どうしよう・・・・」
「・・・・・祐巳ちゃん?」
「ふえ?」
「あぁ、やっぱり祐巳ちゃんだったのね」
「蓉子さま!?」
「あら、傘ないの?」
「あぅ・・・・はい。あとはもう帰るだけなんですけど・・・・・・」
「じゃあ一緒に帰りましょうか、送るわ」
「え、あ、ご迷惑でしょうし、駅まででいいですよ」
 
「ふむ、じゃあ言い方を変えましょうか」
「へ?」
 
「・・・・・少しでも長く一緒にいたいの、だから、送らせてちょうだい」
「はぁ・・・・えぇぇーっ!!」
「・・・・祐巳ちゃん、割りと傷つくんだけど・・・・・嫌なの?」
「はわわわ、いえ、そのビックリしただけです、はい!」
「えぇ、もちろん分かってるわ、恋人のことだもの」
「はぅ・・・・」
「さ、行くわよ祐巳ちゃん」
「はい、蓉子さま♪」
 
 
 
 
傘に入り、蓉子さまと並び腕をくむ。
あの時のように隙間はない。
だって、もう一本分の距離は必要ないのだから・・・・・・
 










 
「うひぁぁんっ!!」
 
 
 
 
バタン!
 
 
 
 
「うえー、びたびただよ〜・・・・・」
「・・・・祐巳?」
「ふえーん、蓉子〜・・・・・」
「あらあら、びしょ濡れじゃないの」
 
 
 
 
突然の雨は容赦なく降り注ぎ、濡れねずみ・・・・・ならぬ濡れ狸が出来上がっていたりする。
 
 
 
 
「うぅ、冷たいよ〜・・・・」
「ほらほら、早く拭いてお風呂に入らないと風邪引くわよ」
「はぁーい・・・・・蓉子拭いて〜♪」
 
 
 
 
などとちょっと甘えてみたら・・・・
 
 
 
 
「・・・・・いいわよ」
「わぁ〜い♪・・・・・って、ちょっ、まっ、ち、力強いって!?イタタタッ!!」
「遠慮しなくていいのよ(ガシガシガシ)」
 
 
 
 
という、ちょっとつれない仕打ちをうけた。
風邪を引くという問題以前に、ガシガシ拭かれた頭が痛い。
 
 
 
 
「も、も、もういいからー!!!」
 
 
 
 
ドタドタドタ!バタン!!
 
 
 
 
「やっとお風呂にいったか。まったく、人が心配してるっていうのに・・・さて私も支度しないと♪」
 





 


「うぅ、酷い目にあった・・・・・」
 
 
 
 
冷えた身体とズキズキする頭、せめてどちらか一方にしてほしい。
しかしながら現実には両方なのだからいただけない。
つーか恋人にこの仕打ちってどうよ?
なんて考えつつ湯船に浸かっていたら・・・・
 
 
 
 
ガチャ
 
 
 
 
・・・・ガチャ?
 
 
 
 
「入るわよ祐巳・・・・ん、ちゃんと暖まってるみたいね」
「・・・・・・」
「祐巳?どうかしたの?」
 
 
 
 
・・・・まぁ、あれですよ。
美しい人は何を着ても美しく、そして何も着なくても美しいわけで・・・・・・
世の中って不公平だよね。
なぁーんてことを思いつつ・・・・・
 
 
 
 
「・・・・・・・」
 
 
 
 
バッシャーン!
 
 
 
 
「祐巳!?」
 
 
 
 
私は湯船に倒れ込んだのであった・・・・・
 
 
 
 
隙がなく、美しい貴女。
でもきっと、よそ行きでないその顔を、見せてくれるのは私だけ。
そんな貴女を、のぼせちゃうくらいに愛してる。
 
 
 
 
 
〜おまけ〜
 


 
「祐巳!しっかりしてちょうだい!?」
「ビィーナスゥ〜・・・・・」
「ビィーナスゥ〜、って何がよ」
 
 
 

比喩じゃなく、ほんとにのぼせた祐巳が倒れてから数分後、
お風呂場から運びだされた祐巳は・・・・・
 
 
 
 
「ふへへへ・・・・・・」
 
 
 
 
微妙に壊れていた。
脳内では間違いなく、先程の蓉子の姿リプレイされていることだろう。
ということは、こんな状況でもそれなりに幸せなのかもしれない。
だけど・・・・
 
 
 
 
「はぁ・・・・、一体いつになったら一緒に入れるようになるのかしら・・・・・・」
 
 
 
 
蓉子のささやかな野望(?)が、達成されるのは一体いつになることやら・・・・・・
 
 
 

 
....fin♪
 
 



あとがき(言い訳)
 
ごきげんよう皆様!
雨が降りまくってるんで、作中でも降らせちゃいましたキッドです(マテ)
が、しかし、降り注ぐ雨をものともせずに、二人は熱々ですね、ほんと(羨)
一応、祐巳→高等部1年→高等部2年→卒業後?的に、
二人の雨の日の一幕を追ってみました。
卒業後?のやつなんか、あれですよ!お互い呼び捨てだし!どうする!!(何が)
同棲か?同棲しちゃってるのか!?(壊)
・・・・作者のくせに二人のプライバシーからは結構締め出しくらってます(泣)
というわけで、例によって、詳しい設定は私にもわからないので、
皆さんのもうそ・・・・じゃなくて、想像力でカバーしてくださいませ♪

4444HITを踏まれたPEROさんへ捧げます〜♪2番の未来話(後半だけだけど)です!新情報は日記部分に(ニヤリ)

それではまた、次回作でお会いしましょ〜♪
ごきげんよ〜(キ^^)ノ
 


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